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事態急変!? のイラクで今、起きているコト!

推摩 一黙のブログ 2014年06月13日 09時30分

さて、本日は、この辺りの現状とコレまでの経緯、それに舞台に登場する関係者や組織の説明をしていって、突然、風雲急を告げるイラク情勢を見て行きたいと思います。
で、まずは今回の騒動の元凶主役であるイスラム原理主義テロ組織――ISIS(イラクとシャームのイスラーム国)について触れたいと思います!

☆目的は中東の真ん中に国を新設!?

さて、今、イラク北部地域一帯を武力で占領し、南へ南へ、ついには今、バクダットへ侵攻している武装集団ですが、アルカイダと同様のイスラム原理主義テロ組織のISIS
であったりしますが、このISISとは「イラクとシャームのイスラーム国」の略で、その名の通り、ISISとは――

 イラク・レバントのイスラム国(ISIS)とは2003年のイラク戦争後、イラクで凶悪な無差別攻撃を繰り返してきた国際テロ組織アルカイダ系組織の流れを くむ過激派。
 04年にイラク旅行中の香田証生さん=福岡県出身=を拉致、殺害した「イラクの聖戦アルカイダ組織」出身者らで構成される。
 かつて 「イラク・イスラム国」を名乗ったが、シリア情勢が混乱に陥った11年以降、シリアでの勢力拡大を画策。
 シリアやレバノンを含む地中海東岸地域を指す「レ バント」を名称に加えた。
 最近はシリアで別のアルカイダ系組織「ヌスラ戦線」と衝突し、アルカイダ指導者のザワヒリ容疑者との関係も悪化している。
            (カイ ロ時事)(2014/06/10-23:02)

――という、イスラム原理主義テロ組織の集団で、その目的はビンラディン容疑者が夢見たイスラム国家樹立を実現しようとする新世代の過激派を代表するような組織です。
上のカイロ時事のまとめにもありますように、元々はイラクで過激で凶悪な無差別攻撃を繰り返していた、アルカイダ系のテロ組織でしたが、シリア内戦をキッカケに反政府勢力側に参戦し、シリア内戦を通じて勢力拡大と更なる武装化凶暴化を遂げています。

そして今回、シリア国内で築いた一定の地歩――いわば戦国大名でいうシリアの領地から、東に隣接するイラク国内に侵攻し、またたく間にイラク北部を切り取ってしまった……と、いう感じなのですよねぇ┐( ̄ヘ ̄)┌

ちなみに、なぜ『今』なのか? と言いますと、イラク現政府がせっかく獲得したはずの「住民の心」を再び手放したことに起因します。

……中東というのは実はと言いますと、基本的にどの国も多数の部族と大きくはシーア派やスンニ派といった宗教の派閥争いも相まって複雑な御家事情を抱えています。
でもってイラクという国は国民の95%を占めるイスラム教徒の内、三分の二がシーア派教徒が占めるというシーア派の国です。
ですが、勿論、非主流派とはいえ、クルド人を始め、スンニ派等の勢力も無視できぬ人数を抱えており、特にイラク北部はシリア東部地域とまたがって、イラクとシリアに線引きされているダケで実はというと同じスンニ派の民族だったりします┐( ̄ヘ ̄)┌
なので実はと言いますと、むしろイラクとシリアのスンニ派が合同して、南部のシーア派とクウェートが合同して2つの国にわかれた上で、イギリスが勝手に連れてきて王にしただけのわけのわからんクウェートの王族を国外追放すれば一番まとまるんですがネー。
あ、あとクルドは独立でw

……と、まあ、そんな感じでそもそもが、ぶっちゃけて言えば、全部国境線の引き方が悪い!
まあ、英国が「悪意を持って」ワザとそうしたんだけど、本来の歴史的な背景や現地の民族、宗派分布の全てを分断してしかもゴッチャにするような国境線の引き方をされたんで、特にスンニ派、シーア派、さらにクルド人を内包するイラクにおいては、多数派の南のシーア派のみならず北部で少数派ながらも一定の数、勢力でまとまっているスンニ派やクルド人といった現地地域住人の心を獲得するコトも、湾岸戦争後のイラク国内をまとめて行くには重要なのでしたよね。

その「住民の心を獲得する」コトの一つには、政権から外れた非主流派にも閣僚などのポストを配分し、不満の大きいスンニ派にも政権参加意識を持たせることがあったのです。
そして現イラク政府マーリキー政権は、2010年、つまり第2期が始まる頃までは、スンニ派の中心的な政治家に、要職を与えて権力分与を心掛けて融和に心も砕いていたのですよね。
ところが、米軍の撤退後は一転して、こうしたスンニ派政治家を政敵として排除するようになってしまうのです。
なかでも問題だったのが、2012年末にアンバール県出身のイーサウィ財務相の追い落としを開始したことで、結果としてそれをキッカケにして、せっかく 落ち着いていたアンバール県で政府不信が再燃してしまいました。

そして反政府デモが続き、それを政府軍が鎮圧するという混乱の中で、ISIS(イラク・イスラーム国)の武装集団が、それをチャンスと捉え、この地に再び拠点を確立した……というのが、今回のイラク国内の内乱の発端というか経緯なのですよネェ┐( ̄ヘ ̄)┌

ザックリと説明し、見て来ましたが、要するにアメリカのイラク撤退を契機にイラク国内少数派への配慮を捨て、権力を独占しようとした現イラク政府マーリキー政権に、イラク国内のスンニ派を始めとする少数派が反発し、デモや暴動の混乱が深まる中で、シリアで地歩を築き武装と資金を蓄えたISISが、そのシリアの隣国イラクの混乱を好機として侵攻し、領土を切り取っているのが今、イラク国内で起こってる事態なのです。

そして、三年以上続くシリア内戦の中で反政府側で参戦し実戦経験を積んできており、さらに実はというとサウジやドバイ、カタールといったスンニ派の国々から資金援助等を受け武装も資金も潤沢なISISは、錬度も士気も劣るイラク正規軍をまたたく間に蹴散らして、モースルとアンバール県を支配下に収めてしまったのでした。
そして、イラクの北部と西部を押さえたISISは北と西からバグダードを見据えており、このまま首都(バクダット)陥落……などという悪夢が、悪夢ではないかもしれない、という不安が、イラクを包んでいるんですが、実はと言いますと、ISISがコレまで侵攻した地域の内、アンバール県に比べて、北のモースル陥落の方が、事態は深刻と言っていいでしょう。
と、いいますのもモースルのスンニ派住民は、政府に不満を持ちながらも議会制度を通じて政権参画を着実に続けていたからです。

地元出身の政治家が現政権にパージされたアンバール県と異なり、モースルに基盤を持つヌジャイフィー国会議長は、今やスンナ派政治家の中では最も支持を集 める要人です。
アンバール県が、政権から排除されてその結果、武装勢力につけ入られたのだとしたら、そのような環境はモースルの場合は無い――いいかえれば、住民の間に武装勢力が入り込む隙がないにも関わらず、ISISの武装集団は、街一つを制圧できるほどの力を持っていた、ということであります。

この意味は、2006-07年の内戦の頃よりも事態は深刻だといえるでしょう。

なぜなら、これは宗派対立ではないからです。

過去の内戦当時、武装勢力は住民の間に入 り込む隙を作る必要があって、あえて宗派対立を助長するような無差別テロを行ってきたという経緯がありました。

例えばサマッラーのシーア派聖地、アスカリ廟が爆破されたのは、その代表的な例としてしられていますが、しかし、今展開しているのは、そのような挑発というよりは、本格的な軍事行動です。

宗派対立の挑発を受けていた時には、「それに乗らないように」と自制を効かせることで、対応できたのですが、今のISISの攻勢には、イラク側の住民側が自制してどうにかなるものでは無く、住人の支持や協力が別に無くてもISISは切り取りたい、占領したい地域を実力で侵攻し占領してしまえる武力を有しています。

ですので、単に今までもあったテロを中心にしたアルカイダ系の騒乱騒擾ではなく、まさに日本の戦国時代を彷彿とさせる「国盗り」がISISの武力によって現在のイラクでは進行しており、このままで行くとイラクの首都バクダット陥落、そしてイラク北部からシリア東部にまたがる『イスラム原理主義の新国家』が武力によって成立しかねません!?

と、いうかイラクという国がISISの侵攻の前に陥落しようとしています。

無論、そんな事態を米国が黙って見ているハズもなく――

●イラク武装勢力、首都バグダッドに迫る 米軍空爆の可能性も

2014年 6月 12日
 イラク北部で、国際テロ組織アルカイダ系の武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が11日までの2日間で2つの主要都市を制圧し、首都バグダッドに迫った。
 危機感を強めるイラク政府は、武装組織の進撃を食い止めるため、米軍による空爆を容認する可能性を示唆した。

 イラク政府はまた、米国に対し、アパッチ戦闘ヘリやF16戦闘機、偵察機などを中心とした軍事支援の強化を要請した。
 米政府は、イラクに対する武器供与は常に迅速に実施していると述べた。

 イラクのジバリ外相は、ISISによって同国は「存続を脅かす危険」にさらされていると述べた。

 米当局者は、米国が無人機か有人機で武装勢力に対する空爆を検討するかについてコメントを控えた。
 米高官によると、オバマ政権は複数の選択肢を用意しているが、決定はまだ下されていないという。
 米国家安全保障会議のミーハン報道官は、イラク情勢について議論の焦点は「(ISISの)脅威にうまく対抗し、対処する能力をイラク国民に身につけさせること」だと述べた。

  ISISは10日にイラク第2の都市モスルを制圧した後、11日には独裁者だったフセイン元大統領の出身地ティクリートを掌握。
 ティクリートはサラヘディン県の県都で人口は約25万人。
 首都バグダッドから北に約137キロの地点にある。県の幹部は、ISISがティクリートを制圧したことを認めている。
 武装勢力はティクリートの刑務所に捉えられていた数百人という受刑者を解放した。
 11日夜までに、ティクリートよりさらに南の、バグダッドから130キロ弱の距離にあるサマラで、イラク軍と武装勢力の間で戦闘が起きたと報じられた。

 イスラム教スンニ派のISISにとって、ここ2日間の進撃はかつてないほど大きな意味を持つ。
 ISISは隣国シリアの内戦でも一部の地域を支配してきた。

 ISISはイラクとシリアにまたがるイスラム国家の樹立を目指している。

――イラク政府による米軍の支援と介入の要請が行われ、オバマ政権もコレに応える姿勢を見せています。

☆オバマ政権と国務省vs米国防省の温度差

さて、ところがそのイラク現政権を支持支援するアメリカでオバマ政権と国務省に対して、米国防省が対照的な態度を見せています。

無論、さすがに首都バクダットまで危機が迫るとなれば、軍の派遣も致し方ないという見方に傾いていますが、上で紹介した記事の中でも安全保障会議の報道官が『イラク情勢について議論の焦点は「(ISISの)脅威にうまく対抗し、対処する能力をイラク国民に身につけさせること」だと述べた』と、いうように、オバマ政権と国務省側が危機感を募らせてるのに対して、当初から米国防省は「イラクの国内問題」と、今回の危機に対して冷淡でした。

今後の展開については、期待される米国米軍の介入について、米政府内の今のイラク危機に対する温度差や、そうでなくとも言われているオバマ大統領の腰砕けの弱腰姿勢が、シリアやウクライナの事態のように状況を悪化させないか? と危惧されています┐( ̄ヘ ̄)┌

☆棚ボタ!? クルド人も国を持つチャンス!

さて、こーしてタダでさえややこしいのにさらに問題を複雑化させているのがイラク内に居るクルド人の存在です!
実はと言いますとイラク北部にはクルド人の自治区が存在します。
その領域はイラク北東部のアルビール県、ドホーク県、スレイマニヤ県の三県からなり、自治区の首府はアルビール市で、皮肉な話ですがクルディスタン(あいまいさ回避)地域なんて呼ばれています┐( ̄ヘ ̄)┌
まあ、そう呼ばれる理由も、フセイン政権時代からの度重なる弾圧や、イラク北部最大の都市であるモースルを含むニーナワー県やイラク最大の油田地帯であるキルクークを含むキルクーク県もクルド人地域(クルディスタン)の一角であるが、クルディスタン地域には含まれていない――というように、クルド人自治区と言っても重要な都市や油田地帯はクルド人の手から取り上げられていますからネー。

さて、そんな状況が今、劇的に変わろうとしています!?

●クルド部隊が油田都市掌握 イラク、政府軍が放棄
2014.6.12
 ロイター通信によると、イラク北部のクルド自治政府の治安部隊が12日、北部の油田都市キルクークを掌握した。
 イスラム過激派の北部進攻を受け、連邦政府の軍部隊がキルクークの基地を放棄して撤退したため、空白を埋める形でクルド部隊が展開した。

 キルクークには同国有数の油田がある。
 中央政府が管轄するが、歴史的にクルド人が多く、クルド自治政府は自治区への編入を主張してきた。

 クルド部隊の展開により、油田はイスラム過激派の攻勢から守られる態勢ができたが、キルクークの帰属争いに影響を与える可能性がある。(共同)

イラクに侵攻したISISが起こしたイラク北部地域の無政府化を奇貨として、クルド人とクルド人からなる部隊は北部の油田都市キルクークを掌握しました。
先にも少し触れましたが、キルクークにはイラク最大の油田地帯があります。
クルド人は、北部にあるクルド人自治区にISISの侵攻軍のみならず、ISISに追われ逃げ出して来たイラク国民の避難民も受け入れを拒否して、クルディスタン地域一帯を守っています。
それはいいのですが、今、イラク国内ではこのままクルド人達が、なし崩し的に状況を利用して「悲願のクルド人国家の樹立に走るのでは?」という不安が噴出しています。

……と、いうかこのままで推移すればそうなる可能性が充分にあるでしょう。
クルド人国家を樹立するだけの人口と地域、そして国家経済と運営の財源となりうるキルクークの油田地帯を押さえることに成功したのですから!

しかし、問題はそうすると下手すればイラク国内一国では済まなくなるというコトですε=(。・д・。)
なにせ伝統的に主としてクルド人が居住する地理的領域として、クルディスタンと呼ばれている一帯がありますが、これはトルコ東部、イラク北部、イラン西部、シリア北部とアルメニアの一部分にまたがり、ザグロス山脈とタウルス山脈の東部延長部分を包含する広大な地域となっています。
当然、その全てを手に入れるコトは出来なくともイラク北部に隣接する、シリア、イラン、トルコの国内のクルド人がイラク北部のクルド人と呼応して分離独立・クルド人国家樹立統合を騒ぎ出し始めかねません!?

そうなれば、イラク周辺の国々にまで騒ぎは広がり、下手すれば収拾が付かなくなります。

まあ、なんにしても下手すれば、このままで行くと、イラクとシリアにおいてISISのイスラム原理主義者の国と、クルド人国家が新たに生まれかねません!?

☆中東版――というかイラク版三国志!?

と、いうワケで、イラクは三つに分割され、いわばイラク版天下三分の計な状態にこの先、陥るかも知れません┐( ̄ヘ ̄)┌

まあ、それ以前に、欧米は――というかアメリカは「力による国境の変更を許さない!」と言っているのに東欧のウクライナ、南シナ海の中国に続いて、中東のイランで“力による国境線の変更”の事態が起きつつありますからネー( ̄_ ̄ i)
アメリカの、オバマ政権の面子丸つぶれでまた権威が失墜するダケでなく、それ以上にアメリカの力の喪失を印象付け、アメリカという――米軍という圧倒的な軍事力によって担保されてきた世界秩序や安定が音を立てて崩れるコトになります!

そして二度の大戦を通じて戦後半世紀以上保って来た国際秩序や対話や経済制裁による国際紛争の解決と世界秩序安定の時代から、再び百年前以前の、力の、外交や大国の横暴が幅を利かせる、弱肉強食の、列強のいわば『帝国主義の時代』が戻って来るコトにもなりかねません┐( ̄ヘ ̄)┌

……そーいえば、今年って第一次世界大戦勃発からちょうど百周年なんですよネ~ェw

偶然といえば、偶然ですが、世界が国際法や国際機関、あるいは国同士の対話で、大国も小国もチカラ(武力)よりも対話(外交)で国同士の問題を解決し、平和共存を基本的に求める時代から、中国やロシアのように、あるいは国家以前のテロ武装組織やクルド人のような民族集団の実力行使によって、国家レベルの問題が解決を図られるようになる時代に逆戻りになるとすれば、皮肉というか悲しい話です。

まあ、戦後60年間も東西冷戦下の代理戦争や、冷戦終結後の二度の湾岸戦争を始めとする“力の行使、大国の横暴はあったじゃないか?”という意見もあると思いますし、そのコトを否定はしません( ̄ー ̄; )
しかし、戦後の世界秩序にはそれでも「なるだけ話し合いや交渉で国家間の問題を解決しよう」や、「軍事力による侵略は許さない! 許されない」という建前が大事にされて来ました。
ですが、最近を見ても判るように、そうした雰囲気は、空気は世界から急速に失われようとしています。

本日は、イラクを巡り急激に動き出した状況を、色々と確認しつつ見てきました。
まずは、皆さんが中東のイラクとその関連の問題について理解していただければ充分ですが、同時にこうした「力による国境の変更」がまかり通る時代をどう思われますか?

また、感想ご意見をお待ちしています!
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