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何もしないオバマ。アメリカ不在のまま世界はより混乱する

BLACKASIA 2014-08-04

2001年に同時多発テロが起き、アメリカは中東に兵を進めて泥沼にとらわれた。

アメリカはアフガニスタンでカルザイ政権を樹立し、イラクではマリキ政権を樹立し、パキスタンではムシャラフ〜ザルダリ政権を裏で操った。しかし、アメリカの傀儡となった政権は、まったく国民に信用されなかった。

逆にあらゆる反体制の武力組織から攻撃目標とされているので、アメリカ軍がいかに駐屯しようと治安の悪化はとめることができず、逆に混乱を増長することになった。

アメリカによるイスラム国家の統治は事実上、不可能に近いものがあった。中東で闘っていたアメリカ自身も、最初からそれを悟っていたように思える。

アメリカは、かつてのイギリスのように分割統治を徹底しないとならなかったのだが、それすらもできなかった。

長期戦を強いられると、軍事費が膨張して破綻

経済大国アメリカのアキレス腱は、長期戦を強いられると、軍事費が膨張して破綻してしまうことである。長期戦は避けなければならなかったはずだ。

それなのに、2001年以降のアメリカは、まるでベトナム戦争の二の舞を行っているかのような長期戦を強いられ、膨大な国費を消耗してしまった。

かつての日本軍が毛沢東に中国の奥地・奥地へと誘い込まれて戦局を拡大させたのと同様に、アメリカも、どこまでもアラブ世界の奥地に誘い込まれて兵站が伸びきった。

その結果、2008年のリーマン・ショックでアメリカは実質的に経済破綻に近い状態に追いやられ、もう戦争どころではなくなってしまったのである。

アメリカが10年に1度は大きな戦争をしていたのは、「戦争・破壊・再建」の三段階でアメリカ企業が潤うからである。

戦争して軍需産業を儲けさせ、再建でアメリカ企業が乗り込んで儲けさせる。この両方をうまく回すことによって、アメリカ企業は世界的に影響力を持つようになっていったのだ。

しかし、この「戦争・破壊・再建」の三段階は、戦争が長引けば失敗に終わる。

戦争が長引くと、軍需産業は最初こそ儲かるかもしれない。しかし、軍事費が嵩んでいくと、国家そのものが疲弊する。

その結果、最後は軍事費削減という憂き目になって軍需産業そのものも衰退してしまう。

同時多発テロで中東に乗り出したアメリカは、泥沼に引きずり込まれて「戦争・破壊・再建」の錬金術を回すことに失敗してしまい、今や国家衰退に向かって坂道を転がり堕ちるような目に遭っている。

今まで強者だったとしても、今はまるで敗者

アメリカは今、リングの上でダウン寸前になっているボクサーのような姿に見える。今まで強者だったとしても、今はまるで敗者のような姿だ。

機能不全に陥って、分解寸前のように見える。特にオバマ大統領の弱体ぶりは見るも哀れな状態で、今のアメリカに威厳を感じる者は、もう世界中どこを捜してもいない。

シリア、リビア、イラク、パレスチナでは、深刻な暴力が蔓延しているが、そのひとつひとつがアメリカの衰退を見せつけるものでもある。

これらの地では、まったく問題を解決できないアメリカに対して、怨念のようになった嫌悪感がずっと続いている。

このままでは、いずれ中東で、アメリカの力の及ばない政権が立ち上がっていくことになる。誰もアメリカに期待しないので、アメリカの影響力は中東から排除されていく。

アメリカの影響力が消えていくということは、イスラエルもまた窮地に追いやられていくということでもある。その結果が何を意味するのかは誰にも分からない。

少なくとも、アメリカの影響力がこれから奇跡的に増大する兆しはどこにもないので、アメリカはいずれ中東におけるプレゼンスを完全に失ってしまうことになるだろう。

恐らく、誰も想像しなかった紆余曲折を経て、結果的にアメリカは中東から姿を消す。

アメリカはベトナム戦争のときに現地の国民を捨てて逃げ出したように、今度は中東を見捨てた。これによって国家存続の危機を迎えるのがイスラエルだ。

アメリカの衰退は、まさにそのままイスラエルの消滅につながる可能性もある。回りを敵に囲まれて四面楚歌に陥っているイスラエルが崩壊の危機に追いやられても、誰も驚かないだろう。

戦争・破壊・再建」のサイクルに失敗したアメリカ

ブッシュ元大統領は「戦争・破壊・再建」の戦争経済を回すつもりだった。それでアメリカはさらに強大になると最初は計画していたフシがある。

しかし、2003年に「戦争・破壊」までをやったが、イラクとアフガニスタン内部の敵を完全破壊できなかったので、どんどん泥沼に引きずり込まれて苦境に追い込まれた。

2009年にブッシュ大統領の後を継いだオバマ大統領は、最初から戦争を終わらせることを公約として掲げて大統領になった人物だったので、その時点でアメリカの戦争経済は破綻したのである。

「戦争・破壊・再建」の戦争経済で経済を回そうとしていたのにアテが外れたのだから、アメリカが経済的に衰退し、世界に影響力をなくしてしまうのは、必然だったとも言える。

オバマ大統領は、「戦争・破壊・再建」の戦争経済で経済を活性化させないのであれば、何か他の事業をしなければならない。しかし、それを提示できていない。

代替案がないまま、巨大な戦争事業を放り出したのがオバマ大統領である。

アメリカにとって重要なのは、世の中を平和にすることではなく、アメリカの多国籍企業が成長することだが、オバマ大統領は戦争経済以外の成長を提示することに失敗してしまった。

いずれにしても、もうアメリカはオバマ大統領では乗り切れない状態になっている。しかし、オバマ大統領の任期はあと2年ある。

最後の2年も、オバマ大統領は何もしないで乗り切るつもりでいるはずだから、アメリカの影響力の低下はさらに2年間は続く。それはつまり、アメリカ不在のまま世界はより混乱していくということでもある。
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