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中国、「共産主義」無責任体制で「国土荒廃」経済破綻に追い打ち

勝又壽良 2014-08-29 03:51

荒廃するチベット高原 温暖化は2倍の速度で

水資源は、国家存亡にかかわる基礎条件の一つである。中国の国土は広いが、歴史的に荒れるに任せてきた。満足な「国土保全」を怠り、環境崩壊と言われる惨状を招いた。13億余の国民を抱えながら、対外的な発展だけを追い求めて、国土を含めた内部固めを怠る。その点では、典型的な「帝国主義国家」である。必要な資源は、すべた他国の領土であろうが奪ってくる。対外膨張主義である。それを2000年以上も続けてきた国である。

中国発祥の漢族は、黄河中流域の「中原」に位置した。それが、現在の国土へ広がって55の少数民族を抱えるまでになっている。この歴史こそ、中国の「侵略」の事実を告げている。漢族が本来、平和愛好民族とはお門違いである。他民族の領土を何かと理由をつけて「分捕る」のだ。まさに、「合従」を破壊して「連衡」に持ち込み、漢族の支配下に治めてきた。それが、中国の歴史に外ならない。現在、南シナ海や東シナ海で行っている横暴な振る舞いは、過去に見せた領土拡張劇再現の一コマに過ぎない。

中国の他民族支配と領土拡張政策は、欧米や日本のような「西側諸国」と国土保全政策でも本質的に異なっている。典型的には欧州で見られるが、互いに短い国境線で隣り合っている。簡単に、他国領土を併合したりしたら大変な騒動だ。それ故、帝国主義的な対外的拡張政策を慎み、狭い国土内での集約化を進め生産性を上げてきた。中国やロシアは、「帝政」によって恣意的な領土拡張政策が可能であった。現在の中国もロシアも、その流れを汲んでいる。領土拡張には並々ならぬ関心を持っているのだ。

中国は、安易な対外拡張政策の結果、国土の重要性をないがしろにしてきた。環境崩壊を招いている理由である。水資源汚染、土壌汚染に始まって大気汚染という人間の生存に関わる事態にまで悪化した背景は、「帝国主義的」国土観があったからに外なるまい。欧州が、環境問題に厳しい姿勢であるのはなぜか。市民社会による自治精神の発達。被害がすぐに国境を超えて他国へと波及すること。これらが、環境意識を高めているに違いない。中国では、前記二つの要因が完全に欠如している。これまでの中国は、「国土保全政策」があってもなきに等しかった。この無策が、国民の生存を脅かすまでになっている。

荒廃するチベット高原
『ボイス・オブ・アメリカ 中国語サイト』(8月3日付け)は、次のように伝えた。

① 「米タフツ大学のサルマン・カーン准教授は、青蔵高原(注:チベット)は重要な河川の源流だが、経済成長を促す『西部大開発』により過去十数年にわたって水源に対する負荷が高まっていると指摘。中国政府が早急に対応しなければ、生態環境を回復不能な状態にまで悪化させることになりかねず、そうなれば深刻な被害をもたらすことになると警告している。開発プロジェクトの中には用地が重要な水源の生態環境にまたがるものもあり、インフラ建設がもたらす都市化によって草原が破壊され土地は汚染、河川の生態系に連なる動植物の一部が徐々に消失しており、すでに河床が現れ、干上がっている箇所も出てきている」。

青蔵高原は、中国は言うに及ばず東南アジアにとって重要な水源である。ここが、昨今の異常気象によって温暖化しており、22世紀になると死活的な問題を引き起こす危険性が高まっている。後で詳細を取り上げ、その厳しい現実を紹介したい。中国の「水瓶」が干上がるリスクを抱えている。南シナ海や東シナ海で、他国の領土を分捕ろうなどという邪悪な考えでいると、とんだ「天罰」を受けること請け合いの事態である。

中国は、「西部大開発」を目指している。この開発プロジェクトの中には、用地が重要な水源の生態環境にまたがるものもあり、インフラ建設がもたらす都市化によって草原が破壊されている。前述の通り、異常気象による被害のほかに、大開発によるプロジェクトの進行で、水資源へは二重の被害が及んでいる。GDPだけが唯一絶対の目標である中国にとって、いずれ大きなしっぺ返しを受けることは不可避である。

② 「こうした水源における問題は他にも中国各地で生じているが、中国政府は水資源を保護する法規制定をいまだ具体化していない。インフラ建設による生態環境の破壊と、野放しの工場排水による地下水汚染は今も進行しており、問題解決に向けて可能な限り早急に着手しなければ、さらに深刻な状況を生む危険もある」。

2012年1月に発表された報告書、「長江保護・発展報告2011」によると、中国では過去50年間に面積1平方キロメートル以上の湖243カ所が消失したことが明らかになった。北部と西北部の干害地区の湖は、水位の低下などによる収縮現象が深刻になっている。青藏高原の湖では、水量と湖面の変化が激しくなっている。湖の状況変化は各地区の生物多様性にも大きな影響を及ぼしている。最も代表的なケースは、長江流域の多くの湖で土着の魚類が絶滅の危機に瀕していることだという。中国の三大淡水湖の一つである太湖では、1960年代に106種存在した魚類が、現在は60~70種類程度にまで減少し、回遊性の魚類はほぼ絶滅している。同様に、水生植物の生態系も各地区で深刻な影響を受けている。

深刻な環境破壊に陥ったのは、インフラ建設による生態環境の破壊と、野放しの工場排水による地下水汚染の結果である。日本でも高度成長時代には、こうした環境被害が出たものの、すぐに修復作業が始まって事なきを得た。中国の場合、GDP最優先であるから「歯止め」がかからないのである。これは、中国の政治体制と深く関わっている。地方政府官僚は、最大3年程度の任期であるから責任を持って行政に携わらない。自分の任期中に表面化しなければそれで良いのだ。この無責任体制が中国中にはびこっている。

日本のように、地方自治体職員は多くが地元出身者であり、地域への愛着心が強い。ここでは、見て見ぬ振りができないのだ。仮にあるとすれば、職務怠慢で地域住民から「告発」の憂き目に遭う。こうした民主政治と中国の専制政治では、環境問題でも取り組み姿勢が異なるのである。専制政治と環境崩壊は一体化している。旧東ドイツの環境破壊は、目を覆うばかりであった。専制政治は国民生活に関心を持たず、外部拡張だけに力を注ぐ政治体制である。その典型が、中国に見られるのだ。

中国の水質汚染や土壌汚染では、土地国有制度が災いしている。土地は国家所有である。「国有土地使用権」には用途により次のような使用年限がある
居住用地は70年
工業用地は50年
教育、科学技術、文化、衛生、スポーツ用地は50年
商業、観光、娯楽用地は40年
総合又はその他の用地は50年

これらの利用期間が終われば、いずれ国家に戻される。純然たる「私有財産」でないから、土地を大事に使うという意識そのものが生まれないのである。民主主義国ならば、親の財産は子どもや孫、ひ孫へ相続される。土地への愛着も湧き、地価を損ねるような使い方をするわけがない。その点で、中国は土地国有制度による「弊害」が顕在化している。土地の使い方が荒っぽく、汚染物を平気で地中に埋めて汚染化を放置している。

もともと、中国社会では「社会的費用」概念が顕著になる風土である。本来なら、公害防止で自ら費用を負担すべきところ、それを回避して逃げ回る。自分さえ利益になればそれでよい。他人や社会が、迷惑を被り損に(社会的費用)なろうとも知ったことではない。この極端な「損得主義」こそ、秦の始皇帝以来の専制国家が生み出した中国の病癖である。市民社会が育たないことが、自己のコスト負担を回避して、社会全体の費用(社会的費用)にツケを回す。中国が現在、直面している環境崩壊の根源は、共産主義政治と土地国有制度のもたらした「複合汚染」と言って間違いない。

次の記事は8月15日、私のブログへの読者コメントである。

■トインビー氏
トインビー氏の話で思い出すのは人間に与えられた「3つの能力」と言う言葉。これがキリスト教精神と儒教精神の最大の違いなんだろう。目の前主義、ご都合主義の中国にイノベーションとは、盗むものなんだろう。

■無題
現在の日本の繁栄があるのは、戦争時における多くの犠牲者の上に成り立っていると思ったのは、私の壮年期でした。大きなきっかけがあったらこそ今がある、と今でも思っております。でも中国は民主主義的な、または風な国家になるには、時間がかかる。中国共産党の起因による自然災害・汚染によって国が亡びる気がする。

■21世紀はどんな世界が予想されるのか?
中国は13億人の生活レベルを先進国並みにすることを考えているのだろう。しかし現在の20世紀型テクノロジーと資源を前提とする限り世界を破滅させると予想されている。中国は現在のレベルでも環境破壊、周辺国の反発、資源開発に伴う軋轢に直面している。これを乗り越えるには21世紀型今はまだ萌芽しか見えないテクノロジー、あるいは前世紀にもあった予想もされなかった画期的なテクノロジーがひつようになる。これは地球人口が100億の向かっていることからも必須のじょうけんだろう。中国が大国と思うなら地球全体の問題を解決するにはどうすべきか位の気概を持ってほしい。今の態度は余りにも後ろ向きで情けない。

これらの「読者コメント」を読ませていただき、共通していることは次の点にある。「中国のご都合主義」、「中国共産党の起因による自然災害・汚染によって国が亡びる気がする」、「中国は現在のレベルでも環境破壊、周辺国の反発、資源開発に伴う軋轢に直面している」、「中国が大国と思うなら、地球全体の問題を解決するにはどうすべきか位の気概を持ってほしい。今の態度は余りにも後ろ向きで情けない」。

日本人の率直な中国への感想は、こういった諸点に向けられている。「反中」などと言う感情レベルでなく、真にアジアを思い世界に目を転じれば、こうした思いがよぎって当然であろう。中国政府は、「反日」をやっていられる一刻の余裕もない。素直に、「反日」の旗を降ろして13億の民に謝罪する必要がある。

温暖化は2倍の速度で
『人民網』(8月15日付け)は、次のように伝えた。

③ 「8月12日、報告書『西蔵高原(チベット高原)環境変化科学評価』によると、短期的(現在から2050年まで)に見ても、長期的(2051~2100年)に見ても、チベット高原の気候は温暖化・多湿化という特徴を示すことが予想されるという。すなわち、チベット高原のこの特徴は、今世紀末まで続くことになる」。

④ 「同報告書によると、過去2000年間でチベット高原の気温に寒冷化・温暖化が生じたが、全体的に見て気温は変動しながら上昇してきた。20世紀に入ってから温暖化が加速し、過去50年間の気温上昇率は全世界の2倍に達し、過去2000年間で温暖化が最も深刻な時期となった」。

チベット高原の温暖化は、急速に進んでいる。過去50年間の気温上昇率は、全世界の2倍に達し、過去2000年間で温暖化が最も深刻な時期となったのだ。これは、中国の環境崩壊の結果と言うべきであろう。「PMI2.5問題」で象徴されるように、中国全土はすでに人間が住める環境でなくなりつつある。それでもなお、「GDP第一主義」を捨てられずにいるのだ。国民の選挙で選ばれた政権でない。高い成長率達成だけが、唯一の正統性の「支え棒」にしている。この矛盾こそ、中国を環境破綻に追い込んでいる理由である。「目先主義」である。中国の将来を睨んだ「展望」は存在しないのだ。13億の民にとって、これ以上の不幸はない。

⑤ 「中国科学院院士、青海チベット高原研究所所長の姚檀棟(ヤオ・タンドン)氏は、『チベット高原の水循環が強化されているが、これは水の温暖化・多湿化に対する反応だ。21世紀全体にわたり、チベット高原の氷河と積雪は減少を続け、河川の水量は増加を続ける。現在の科学研究によると、21世紀が終了するまで、チベット高原の氷河と積雪が完全に融解することはない』と指摘した」。

チベット高原の温暖化は、地球全体の2倍のスピードで進んでいる。21世紀全体にわたり、チベット高原の氷河と積雪は減少を続け、河川の水量は増加を続けるという。問題は、その後に来る。氷河と積雪が減り続ければ、いずれ限界にぶち当たる。その時、中国はもとより東南アジア諸国は深刻な事態に遭遇する。「GDP世界2位」の大国である中国の責任は、まことに重いのである。その認識が、中国には存在しない。存在するものは、他国領土をいかにして分捕るか。「合従連衡」という手練手管だけである。中国は、アジアにとって由々しき存在となるのだ。これから一層、その危険性が高まる。

経済面でも深刻な事態を迎えている。不動産バブルの処理を先送りすればするほど、中国経済にとって崩落の危険度が高まる。こちらも、その認識が中国政府に希薄であるから、依然として「GDP」の7%台成長率にこだわっている。IMFは、すでに「6.5~7.0%」成長率に落とすべきだとしている。つまり、債務増加が地方政府の財政を逼迫化させるのだ。不動産バブル崩壊による地価下落が、地方政府の歳入減をもたらしている。これにより、「政府投資」は激減して、経済成長率は一挙に引き下げられる。どうあがいても、中国経済は追い詰められている。これに、環境崩壊が重なるのだ。中国の将来の帰結は、誰の目にも明らかであろう。明るい展望は描けず、暗い見取り図が浮かび上がる。
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