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安倍の絶対的優勢 (11月、APECで日中首脳会談か)

週刊文春 2014.09.04 12:00

 7月27日、羽田発の北京行き日本航空便。ビジネスクラス最前列に搭乗した福田康夫元首相は、「尊敬する習近平閣下」と書かれた原稿を取り出し、予行練習を始めた。中国・習近平国家主席との極秘会談に向けて準備に励むその姿は、真剣そのものだった。

 中国が対日対話路線に舵を切り始めたのは7月中旬。そんな中、福田は習に対し、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相と会談するよう働き掛けた。悪化を続ける日中関係に危機感を強める習も関係打開の必要性を訴え、その意向は安倍首相ら官邸側にも届いている。

 APECでの日中首脳会談は実現するのだろうか。

 日中関係筋は「習主席に比べて安倍首相の方が絶対的優勢にある」と言い切る。「東シナ海・南シナ海問題で孤立する中国にとって北京APECは、平和的に台頭する中国を国際社会にアピールする絶好のチャンス。『対話のドアはオープン』と言い続ける安倍に対して習が一方的に会談を拒み、その結果、APECで安倍がこれまでと同様『力による現状変更の試みに反対する』と中国を批判すれば、習のメンツは丸つぶれ、APECが台無しになる」(日中関係筋)。

 逆に言えば、安倍が「中国の発展は脅威でなくチャンスだ」などとリップサービスすれば、習はメンツが立つ。中国側は首脳会談に応じる条件として、安倍に対して尖閣領有権の棚上げや靖国不参拝を求めているが、日本側に「大きく譲歩しなくても首脳会談は実現するだろう」との強気の読みがあるのはそのためだ。

 APEC前の10月中旬、イタリアでアジア欧州会議(ASEM)首脳会議が開かれ、共産党ナンバー2・李克強首相と安倍が顔を合わせる予定だが、「中日関係のような重要問題は習主席が決める」(共産党筋)。ASEMよりもAPECという大舞台で「日中関係改善」を誇示したいのが習の本音だ。

 習との会談に福田が動いたのは、安倍の意向ではなく、日中関係への危機感を共有する習の意向を安倍に伝えるのが狙いとみられる。複数の中国政府幹部は「中国はもうボールを安倍に投げた」と漏らすが、会談実現に焦りを感じているのは習の方だろう。
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