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韓国、「輸出異変」対中は4ヶ月連続減少「中小企業」お手上げ

勝又壽良 2014-09-11 03:35:04

中国の過剰生産で輸出減 ウォン高が中小企業直撃

韓国経済は、頼みの輸出が不調である。ウォン高と主力輸出先の中国向けが振るわない結果だ。「反日・親中」が完全に裏目に出てしまった感じである。中国経済が不動産バブルの崩壊過程にあって、景気刺激策を採りにくい袋小路にはまり込んでいる。それを予見できずに、「反日・親中」の旗を振ってきたのが朴大統領である。自ら招いた外交政策の失敗が、いかに大きいか実感しているはずだ。

9月初めに、インド首相が、就任後最初の主要国訪問として日本を選んだ。日印関係は大いに盛り上がっているのに、日韓関係は冷えたまま。朴大統領は、就任最初の訪問国が中国だった。以来、5回も中韓首脳会談を開き「蜜月」振りを演出している。片や、日本とは差しの首脳会談を拒否している。インドへは、中国の習近平主席がわざわざ出向いて会談するという。韓国は、アジアの政治情勢が大きく変わりつつあることを実感しているに違いない。「憎い」日本が、インドから信頼されている。その日本を「袖」にしてきたのだ。韓国の「感情外交」は改めて、その落とし穴の大きさに驚愕して当然である。

中国の過剰生産で輸出減
韓国紙『朝鮮日報』(9月2日付け)は、次のように伝えている。

① 「韓国の8月の対中輸出は、前年同月比3.8%減少し、今年5月から4カ月連続で、前年同月を下回った。中国企業による供給過剰の目立つ石油製品の対中輸出の減少が顕著である。8月は約23%もの減。鉄鋼製品も9%落ち込むなど、8月の韓国の輸出全体に占める中国の割合は前年同月の26.9%から25,9%へと低下した。中国は、輸出中心の成長方式から内需産業育成へと転換を図り、加工貿易の割合を引き下げている。韓国の対中輸出は、中国に部品・素材などの中間財や半製品を輸出し、加工した上で欧米などに再輸出する加工貿易が主体である。専門家はこうしたモデルが限界に達しているとみている」。

韓国の全輸出に占める対中国は、ほぼ4分の1にも達している。その多くは、部品・素材などの中間財や半製品である。これを中国で加工・製品化して欧米などへ再輸出するもの。ところが、中国自体が、これら中間財や半製品が生産過剰で価格が下落しているのだ。わざわざ、韓国から輸入しなくても中国産で賄える。韓国は中国経済と一緒に「沈没」する憂き目に遭っているのだ。

私は、韓国が「反日・親中」の旗を高々と揚げている事実に対して、なぜ中国の「泥舟」に嬉々として乗り込むのか。再三にわたり疑問を呈してきた。私ですら予測できた中国経済「沈没」を、韓国の青瓦台(大統領府)が読めなかった理由は何かだ。実は、韓国の大統領制は絶対的な権限を持っていることである。「元首」であるから、政治は思いのまま動かせる。ただし、国会は別である、法案の議決には「3分の2規定」がある。与党議員数は60%(現状は52.7%)に達せず、野党が反対すれば法案は成立しない制度だ。現在の韓国国会の混迷は、この「3分の2規定」が災いしている。

オールマイティの大統領が、「反日・親中」と言えば、有無を言わせずにそちらへ引っ張れるのだ。ましてや、韓国の国会情勢では野党の「反日」派が大きな影響力を持っているから、朴大統領の「反日」に反対するはずがない。かくて、輪に輪をかける形での「反日・親中」の政治状況が作られた。これが、韓国経済の苦境を生み出した原因である。

中国の過剰生産は、常軌を逸している。過剰債務=過剰設備=過剰生産という悪循環のなかで、中国の主要産業はすべて苦吟している。例えば、鉄鋼を紹介したい。驚くべき鉄鋼価格の低下が起こっている。

『サーチナー』(8月30日付け)は、次のように報じた。

② 」「中国メディア『広州日報』(28日付け)は、中国では建物の構造用材料のひとつである異形鉄筋が野菜の単価よりも安くなっていることを紹介し、鉄鋼業界全体として各種鋼材の在庫が積み上がっていると論じた。中国では設備の過剰が『過剰生産』をもたらしたことで鋼材価格が大きく値崩れしており、異形鉄筋の1トンあたりの価格は2年前の4500元(約7万6000円)から現在は2900元(約4万9000円)と約35%も値下がりした。異形鉄筋の500グラムあたり単価はわずか1.45元(約24円)にとどまり、500グラムあたり5元(約84円)の白菜や、同10元(約168円)のニンニクよりも安い単価となっている」。

異形鉄筋とは、建物の構造用材料のひとつで、鋼を圧延して表面に「リブ」や「節」と呼ばれる凹凸の突起を設けた棒状の鋼材である。普通の工事現場でよく見かける鋼材である。その価格が、500グラムあたり単価はわずか1.45元(約24円)にとどまり、500グラムあたり5元(約84円)の白菜や、同10元(約168円)のニンニクよりも安いというのだ。

白菜やニンニクは投機でもない限り、価格は需給関係を反映して妥当な水準にきまるもの。異形鉄筋の価格は、過剰生産によって大幅な値崩れを起こしているのだ。コスト割れの価格でも、ともかく生産していないと倒産する。これが、中国経済の実態である。GDPでは、今年の目標が「7.5%前後」である。無理矢理な生産で辛うじて、この目標をクリアしようとしている。舞台裏を見ればみるほど呆れかえるのだ。

③ 「中国鉄鋼業界が深刻な不振にあえいでいる理由は、経済成長が鈍化し、不動産の販売が不振であることが大きい。中国鋼鉄工業協会の王曉齊副会長の発言として、『中国の不動産市場の低迷がもっとも直接的な原因』と伝えた。生産設備の過剰による供給量の増加および在庫の積み上がりも鉄鋼業界の深刻な不振につながっている。経済成長が鈍化しているにもかかわらず、供給量は今なお増えている。中国政府が経済の柱として定めた『重点企業』の8月上旬における鉄鋼在庫量は、1456万8800トンにも達している。7月下旬に比べて3.44%増となった。7月下旬から8月上旬にかけて、鉄鋼業界は60万トン増産して、うち48万トンがそのまま在庫になった」。

中国鉄鋼業界が赤字操業を続けているのは、主要需要先の不動産開発が低迷しているからだ。7月、主要70都市の住宅価格は、ほぼ全てが前月比値下がりになった。これでは、不動産開発が停滞して当然である。長いこと、不動産バブルの存在さへ認めなかった中国政府だが、個別産業の価格動向をチェックすれば、その嘘はすぐにバレルのだ。

私は東洋経済当時、鉄鋼産業の担当記者を経験している。鉄鋼市況がいかに変動の激しいかを経験した。新日鐵(八幡製鉄と富士製鉄の合併)時、旧富士製鉄の財務担当専務の藤木氏は、「農協まで借金してきた」と自嘲気味に語っていた。市況産業は、これほど浮き沈みが激しい産業である。

それにも関わらず、中国の鉄鋼産業は、国有企業であることから「親方・日の丸」ならぬ「親方・五星旗(注:中国国旗)」産業の惰眠を貪っている。7月下旬から8月上旬にかけて、鉄鋼業界は60万トンの増産を行い、うち48万トンがそのまま在庫になったという、信じがたいことが起こっている。この無謀生産も、GDPを押し上げている。裏を知れば知るほど、中国経済のデタラメさ加減が浮かび上がるのだ。

韓国は、この中国経済にすべてを賭けた。経済の実態分析をすることなく、ただGDP規模の大きさに惚れ込んだのであろう。中身を知ろうとしないで、「泥舟経済」と心中する積もりであったと言って不思議はない。それほどまでに、中国経済の成長力を過信したのだ。韓国の青瓦台が中国経済の実態を把握して、朴大統領に「真実」を進言すべきであった。重大な職務違反である。

ウォン高が中小企業直撃
『朝鮮日報』(9月4日付け)は、次のように伝えている。

④ 「円安の進行で円・ウォン相場も金融危機以降で最も円安ウォン高に振れている。9月3日の東京外国為替市場は一時。心理的抵抗線と思われた105円台まで円安が進んだ。ソウル外国為替市場では、円・ウォン相場が100円=971.32ウォンを付け、6年ぶりの円安ウォン高水準となった。中小の輸出企業の間では、『これ以上の円安に耐えられない』と訴える声が高まっている。中小企業中央会によると、輸出中小企業のウォン・円相場の損益分岐点は1059ウォンだ。首都圏で携帯電話用の電子回路関連部品を生産する業者の社長は、『過去2年で、輸出単価が20%も低下したが、さらに引き下げる必要がありそうだ。これ以上は持ちこたえられない水準まで来た』と話した。同社は、ライバルの日本企業が円安を武器に価格を一斉に値下げしたことで、追随値下げを強いられている」。

⑤ 「産業研究院のイ・ハング博士は、『輸出中心の大企業はまだましだが、部品メーカーは営業利益率が2~3%にとどまるほど既に限界へと追い込まれている。価格競争力が失われ、輸出大企業が円安の負担を部品メーカーに転嫁すれば、多くの中小企業は存続が危ぶまれる事態になりかねない』と警告した」。

輸出中小企業のウォン・円相場の損益分岐点は、100円=1059ウォンとされている。9月4日は、917,09ウォンになった。前日の971.32ウォンよりもさらにウォン高が進んでいる。ここまで来ると、韓国の中小企業は輸出で総崩れになる。2008年9月のリーマン・ショック後、円は世界の「安全通貨」として買われてきた。日本企業が、超円高でどれだけ苦しんだか。今、韓国企業がそれを「追体験」する番になっている。

この間、日本企業は研究開発に全力を上げて「攻めの経営」を貫いてきた。コストダウンも徹底的に行った。現在の円高修正局面では、過去のこうした努力の成果が一挙に花を開いているのだ。企業収益は大幅な改善を見て、賃上げやボーナスにも回している。さらに設備投資への胎動が確認されている。

韓国からうらやましがられる理由は一つもない。冷たい言い方だが、この際、韓国はかつての日本企業が舐め尽くした辛酸を、経験することである。それによって初めて、日本企業並びに日本社会を理解できるはずだ。過去の問題をほじくり返す時間があれば、現在の日本のビヘイビアを真剣に学ぶべきである。そこから、今後の韓国が進むべきヒントを探すことが可能になろう。

1971年8月16日、日本は突如、円切り上げの大波に飲み込まれた。それまでの1ドル=360円の防波堤が突き崩されたのだ。それ以来、円高の大波に翻弄されている。この経験に比べれば、韓国の現状は「小波」程度であろう。泣きごとを言わずに、合理化に努力することである。安易な「反日」と唱える暇があれば、韓国経済と社会を改革することであろう。責任を日本に転嫁せず、自らがそれを引き受けることだ。

9月3日、私のブログに次のようなコメントがついている。ご紹介したい。
■他虐的国民性?
「日本は自虐社会、何か問題があると、自分が悪いと思い、自分を鍛え直して問題を克服する性向がある。戦後幾多の困難に遭遇した際、この精神で乗り越えてきた。
中韓は他虐社会、攻撃こそ全てという態度だ。もっといえば絶対的価値観だ(ニュートン力学的な軌道が決まれば未来永劫、その軌道は変わらない)。しかしアインシュタインの相対性理論、ハイゼンベルグ、シュレジンガーの量子力学が出てからは文科系の世界でも永井荷風が恋愛は相対論的、量子力学的世界(観測すると変わる)だと喝破したように、絶対的価値観とは異なる主張が見られる。中韓の今後に期待しよう」。

解釈は、皆様にお任せしたい。要は、中韓が「他虐社会」(注:「自虐社会」の反対語)であって、自らを反省しない国家という意味である。日本が「自虐社会」であるゆえに、同じ過ちは繰り返さないのだ。それが、進歩発展の原動力になっている。中韓は、責任をすべて日本に転嫁してくる。「イノヴェーション能力」がない証拠である。

⑥ 「日本企業が円安を武器に競争力を強化した効果は時間がたつにつれてはっきりしてくる見通しだ。例えば、日本の自動車メーカーは中国に工場を新設し、生産を増やしている。日本の自動車大手3社は昨年、中国での研究開発投資を前年比で4~10%増やし、新車開発に3000億~9000億ウォン(約310億~920億円)をつぎ込んだ。その結果、今年1~7月の中国での販売台数はトヨタと日産が前年同期比でそれぞれ12%、17%増え、現代・起亜自(10%)の伸びを上回った。米国でも昨年まで現代・起亜自を下回っていた日産が今年1~7月に逆転に成功するなど、破格の値下げ戦略が日本車の販売増につながっている。トヨタは最近5カ月、月20万台以上を売り上げた」。

かつて、韓国企業がウォン安を武器にして、日本製品を追撃した局面と逆のことが起こったに過ぎない。もっとはっきり言えば、1971年8月16日の円高開始以来、韓国に製造業が根付いてきたのである。その間、日本企業の技術「漏洩」をテコにして国際レベルに接近してきた。こうした「棚ぼた」式のプロセスを考えれば、円高修正局面が訪れたことは当然と受け止めるべきであろう。40年以上にわたる円高によって、韓国産業が生き長らえたのだ。自らを冷静に分析して、日本へ「感謝」すべきであろう。

韓国は、ウォン安時になんらの経済・社会の改革もせずにきた。例えば、個人を対象にした現在の国民年金制度が導入されたのは、1994年である。企業年金に相当する退職年金制度が導入されたのは2005年だ。これでは、国民の老後を支えるにはあまりにも不十分である。現在、退職年金制度を導入している企業はわずか16%に過ぎない。韓国政府は8月27日、企業に対して来年から段階的に退職年金(企業年金)制度の導入を義務付ける「私的年金活性化対策」を発表した。法律化されるには、魔の「開かずの国会」が動かなければ絵に描いた餅である。

韓国経済は、現在のウォン高において何をすべきかを真剣に議論すべきであろう。「反日」などと言って、国民の関心を外に向けず遅まきながら国家改造を考える最後の機会であろう。朴大統領が、相変わらず「反日」を唱えているならば、韓国の将来はなきものと見なければならない。
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