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中国、日中首脳会談へ合意か「日本技術」が垂涎の的

勝又壽良 2014-10-13 04:54

水面下で日本へ接触 中国はウドの大木

日中関係は、深く静かに動き出している。相変わらず、中国官営メディアは日本叩きをしているものの、日中首脳会談への青写真ができつつあるようだ。あれだけ日本を「軍国主義復活」とか、「歴史認識を改めろ」など、悪口雑言を重ねてきた中国である。口先では、ご立派なことを言っているが、内心では焦っているのだ。日本企業の対中投資は減少している。代わって、ASEAN(東南アジア諸国連合)へシフトしていることに、しびれを切らして動き出した。日本の虎の子技術に焦点を合わせているのだろう。

中韓は、「反日」で共同歩調をとってきた。自らの経済が抱える「日本依存症」から、そう簡単に脱却できるはずがない。私は、一貫してそのように判断して、このブログで主張してきた。外交の裏には経済ありである。この私の「仮説」から言えば、必ず中韓は、日本への「禁断症状」に苦しみ接近してくる。そういう読みであった。どうやら、この読みに間違いはなかったようである。もっとも、私は市井の一庶民である。外交の舞台裏にコミットしているわけでないから、傍証でそれを立証するしかない。

水面下で日本へ接触
傍証その1。評論家の田原総一朗氏が、『日経BPネット』(10月2日)で、次のように伝えた。

「今年5月、超党派の日中友好議員連盟(会長・高村正彦氏)のメンバーが訪中し、その直後にアジア・アフリカ問題研究会(AA研)のメンバーも訪中した。ほかにも自民党幹部が中国共産党の要人たちと会談している。彼らは、『これは日本からのオファーではない、中国からの要請だ』と言う。韓国は今、中国の対日姿勢の変化に慌てている。森喜朗元首相が9月19日、ソウルの青瓦台で朴大統領と会談したが、これも韓国からのオファーだった。このままでは孤立する――。日中の関係改善への動きを見て、韓国は敏感に反応し、森さんと朴大統領の会談が実現したのである。森さんが朴大統領に安倍晋三首相から託された親書を渡すと、朴大統領は『安倍首相によろしくお伝えください』と語った」。

傍証その2。英経済紙『フィナンシャル・タイムズ』(9月30日付け)は、次のように伝えた。

「日中両国の政府関係者及び研究者が首脳会談実現で合意したと認めているという。中国は首脳会談の前提条件として尖閣諸島に領有権紛争があることを認めるよう求めてきたが、安倍首相はこの点については譲歩せず、代わりに今後は靖国神社に参拝しないことを条件にしたという。中国本土の研究者によると、中国当局や官制メディアが尖閣問題で日本を批判するトーンが下がっているという。先週には、日中の国防関係者が米ワシントンで顔を合わせ、衝突回避のメカニズム構築について意見を交換した」。

以上、二つの傍証固めをすると、「やっぱり」という感じを否めない。私のブログで取り上げたが、『中国青年報』は「日本をよく理解しよう」という記事を掲げていた。中国青年報は、改革派とされる中国共産主義青年団(共青団)の機関紙である。前国家主席の胡錦涛氏が率いている。胡錦涛氏は「知日派」とされるが在任中、江沢民一派に妨害されて苦悩重ねた。日本への理解があったが、ついに対日政策ではそれを実行できなかった。

江沢民一派の政治的な凋落を背景に、中国が日本へ接近する環境は整ってきた。だが、中国国内の反発を恐れて、日本から挨拶させるという「手練手管」を弄している。その点は、昔も今も変わらない「権威主義」を見せつけて不愉快である。安倍首相は、中国の要求した尖閣諸島問題の存在を認めず、自らの靖国参拝中止を代案にしたという。安倍氏のしたたかな外交手腕が生かされた言うべきであろう。これを意識して、事前に「靖国参拝」を行い「条件作りをしていた」とも読めるのだ。自らが「転んだ」形にして、相手を交渉の場に引き出す。最近まれな、日本外交の「したたかさ」を発揮したと言える。

『人民網』(9月30日付け)は、「中日関係が悪化しても日本の良い所を否定することはできない」との論評を掲載した。筆者は、馮昭奎・中国社会科学院日本研究所研究員である。

① 「近頃、『中日のどちらがより多く損をしたか』について議論し合っている人がいる。こんなことをして何になるのだろう? どちらにせよ両国ともに敗者であり、両方のご機嫌をとった『第三者』が漁夫の利を得ただけだ。特に米国は、中国の発展をけん制し、日本の勢力を削いでより『言うことを聞かせる』という、戦略面での実益を得た」。

中国も随分と変わったものである。自らの地位を誇示して、「政冷経冷」となることで日本を脅かしてきた。日中間の政治関係が冷却化すれば、経済も冷却化して日本は困りますよ。こう言って、日本に尖閣諸島で問題が発生していることを認めさせようとしてきた。日本は、最後までこれを拒否したのだ。尖閣諸島は日本固有の領土である。日中間に領土問題は存在しない。日本は、はっきりと拒否した結果、中国が再度の「靖国参拝」否定で折り合った。外交的には、日本の勝利である。

中国が、日本に妥協せざるを得なかったのは、環境崩壊が国内問題を超えて国際問題になっていることだ。地球温暖化の「主犯」として中国が断罪される立場に追い込まれている。「政冷経冷」は、逆転して中国の問題になった。日本は、中国を飛び越えてASEAN(東南アジア諸国連合)へ企業進出している。中小企業にも集団で進出できるように工場団地をASEANに造成している。中国だけが、日本企業の進出先ではないことを証明して見せたのだ。日本の環境技術を欲しい中国としては、ASEANの「二番煎じ」で甘んじるわけにはいかない。何としても、日本との関係修復が絶対的な条件になった。中国は、尖閣諸島でとんだ誤算をしたのである。

中国はウドの大木
② 「現在の中国の製造業は、『規模は大きいが強くはない』との見方が一般的だ。コア技術の対外依存度が高く、ハイエンド・チップの80%は輸入に頼っている。中国は世界の産業チェーンの中でもロー・ミドルエンドに位置する。一方の日本は産業チェーンのミドル・ハイエンドに位置するため、中日の経済貿易関係の冷え込みが、中国にマイナス影響をもたらすことは明白だ」。

正直に、中国の弱点を認めている。このように「下手」に出られると、中国へのイライラさせられている気持ちが少しは和むのだ。「大言壮語」(ほら吹き)がトレードマークの中国である。控えめな態度になると、話しを聞いても良いかな。そういう感じになるから不思議なものだ。「中日の経済貿易関係の冷え込みが、中国にマイナス影響をもたらすことは明白だ」、と正直に「告白」している。日中間の「政冷経冷」で、困ったのは中国であったと認めている。日本の技術開発レベルから見れば、中国は「月とスッポン」ほどの違いがある。冷静にそれを認めたとすれば、よほど中国が困難な状況に追い込まれている証左であろう。

中国の「技術敗者」をさらに決定づけたのは、今回のノーベル物理学賞で日本人3氏が受賞したことだ。エネルギー効率が高く親環境的な光源である青色発光ダイオード(LED)を開発した功労だ。今年のノーベル物理学賞は、これまでにない新しい基礎固有技術を開発した基礎科学者ではなく、人類に有益な技術開発に成功した応用科学者に渡ったという点で意味が大きい。「省エネルギー」の切り札になっている。日中の技術格差をこれほどあからさまにした象徴的な一件もない。中国は冷静に頭を垂れて、日本に教えを請う姿勢が求められるのだ。これまでの「大言壮語」は、何の意味もないことを示したと言える。

③ 「我々は、中日関係が悪化しているからといって、日本の良い点を認めないわけにはいかない。中国人の多くは日本の近代化の成果を肯定的に見ており、日本のことを、『環境汚染・資源不足を解決し、食の安全、社会秩序、国民の資質を高めた優等生』と認めている。中国は、これからも日本の長所と発展の経験から学ぶべきと考えている。このような声は、たとえ両国の摩擦が激しくなっても排斥されることはなかった」。

ここでのフレーズは、『人民網』で初めて聞く言葉でなかろうか。これまで、「軍国主義国家」、「歴史認識のない国家」、「右翼政治家が跋扈する国家」と罵倒の限りを尽くしてきた。それが一転、ここまでへりくだっている。時代劇調に言えば、日本が中国に対して「頭を上げてくだせい」とでも言うべき場面である。これが本心とすれば、今までの悪口雑言は何だったのか。四六時中、中韓の日本批判を聞かされてきた私としては、わが耳を疑うのである。それにしても、形勢不利と見るやここまでへりくだってくる。それがまた何時、前の傲慢無礼な態度に戻るか分からない。にわかに信じがたい気持ちもある。

④ 「日本政府観光局の統計によると2014年上半期、日本を訪れた中国大陸部の観光客数は前年同期比88.2%増の100万9200人に達した。日本が中国から近く、円安で旅行代やショッピングがお得になったこともあるが、日本の質の高いサービス、環境衛生、社会文明、国民の友好的な態度なども、中国の訪日旅行客が大幅増となった重要な原因だ」。

中国からの訪日観光客は文字通り、「激増」しているのだ。従来だと、中国観光客が日本を食わせてやっている。こう豪語していた。私のブログで猛反発を受けたのは当然である。日本の訪中観光客が、中国の訪日観光客を上回っているからだ。このように、データを調べずに高飛車に出てくるのが中国流である。この記事では、あくまでも謙虚である。中国人ブロガーの谷小玩(ハンドルネーム)さんは、「日本に住むブロガー自身や知人の経験から、なぜ多くの中国人が望郷の念にかられながらも日本滞在を望むのか、中国人から見た日本にはどのような魅力がある」か。それをブログに綴っている(『サーチナー』2013年12月31日付け)。

⑤ 「中日両国はすでに、環境分野で密接な協力関係にある。煙霧対策、大気・水汚染対策、気候変動への対応、福島原発事故を受けた原発安全の強化などは全て、中日の経済貿易協力の重要な内容、ひいては中心的な課題に据えるべきだ。これらは中日の互恵・ウィンウィンの事業であると共に、『我々の時代における最も重要な問題』の解決に貢献することにもなる。こうした意義から見ても、筆者は『政冷経熱』の中日関係が再び訪れることを期待している」。

私のブログ(10月8日)は、中国が地球温暖化の「主犯」となった事情を取り上げている。中国は、先進国を二酸化炭素(CO2)排出の元凶呼ばわりしてきたが、中国こそ弾劾される立場である。そのことの認識があるから、このようなパラグラフになったのである。もはや、日本の環境技術なくして中国は成り立たないところまで追い込まれている。ここでは、珍しく「福島原発事故を受けた原発安全の強化」を取り上げている。中国にとって原発の安全性強化策も、喉から手の出るほど日本技術が欲しいのだ。

福島原発事故が発生したとき、中国は何と発言していたか。私は忘れられない。「日本の原発技術など大した水準ではない。津波が起こればお手上げするほど幼稚なものだ」。こう斬り捨ててきた。私はブログで次のように反論した。「今は日本を笑っているが、必ず後から後悔するに違いない。日本は、必死になって原発の安全策を追及している。技術的な安全策を確立するであろう。その時、中国はその技術を欲しがってくるはずだ」。

3年前、私がこう反論した問題が、現に中国から要請され始めた。中国は一事が万事、将来が読めないのだ。その場限りの発言や行動をしてくる。私が、中国をもっとも批判する点はこの点もあるのだ。謙虚でない。傲慢である。後先を考えない。力を誇示して来る。非理性的である。数えればきりがないほど失礼な国家である。要するに、「田舎の大将」に過ぎない。この私の言葉に不満であれば、大いに反省して世界の普遍的価値観を理解すべきであろう。

日本が、環境技術でも世界のトップにある。中国は、その理由を考えたことがあるだろうか。多分、一度もないと思う。日本の高度経済成長時代に、甚大な公害発生を見た。当然に政治問題化する。これを解決しなければ政権与党が選挙で大敗する。そこで、環境庁(現・環境省:1971年設置)を創設して環境政策の一元化を図った。

次は、1973年、79年の二度にわたる石油危機発生である。第1次石油危機では、それまでの1バレル2ドルが12ドルへ引き上げられた。第2次石油危機では1981年になんと34ドルまで高騰した。日本経済は大打撃を受けたのは当然である。この間、円相場は変動相場に代わって「円高」で相殺できる面もあったが、経済的に打撃であることは変わりなかった。

結局、(1)行政面での俊敏な行動で環境庁を発足させ、(2)その後の石油価格暴騰には円切り上げという経済政策を織り交ぜながら、(3)最終的には技術開発による「省エネ技術」体系を作り出したのである。

中国には、こういった政策は無理であろう。先ず、(1)選挙制度が存在しない。共産党は万年与党である。(2)石油価格の高騰は市場機能で解決せずに、計画経済で問題の本質を隠蔽してしまう。こうして、(3)「省エネ技術開発」というインセンティブが働かず、GDP単位当たりのエネルギー消費量は、日本の8倍という非効率経済に堕した。

中国は、日本の環境技術が欲しいと言う前に、前記のようなプロセスが日本には存在したこと。中国には、まったくその片鱗さえ存在しないことの認識が必要である。中国は、量的にGDPで世界2位になれたが、中味はとうていその器でない。それは、前記の3つのプロセスを欠いているからだ。今後もこのまま進めば、永遠に「日本依存症」から抜け出ることは不可能である。共産党が支配する限り、中国は日本の「技術属国」であろう。悔しかったら、自ら政治改革に立ち上がるしか道はない。これが、私の中国へのメッセージである。
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