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3兆2000億ドルの日本、マイナス43億ドルの韓国

朝鮮日報日本語版 10月26日(日)8時13分配信

 欧州の特派員だったころ、大英博物館の特別書庫を訪れる機会があった。一般人には公開されていないその書庫は、四面が棚で覆われており、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ピカソなど西洋美術史に登場する有名画家たちが描いたスケッチが保管されていた。学芸員が開けて見せてくれた引き出しには、木炭で描いた下絵とみられるミケランジェロのスケッチが数十枚入っていた。「1枚いくらくらいの価値があるのか」と尋ねると「さあ…。少なくとも100万ポンド(約1億7000万円)はするのでは」という答えが返ってきた。学芸員は、書庫にある巨匠たちのスケッチは全部で数万枚に達すると胸を張った。

 2011年の秋、欧州の債務危機を取材するためイタリアに出張した。経済省庁の次官と会い「負債が多すぎてデフォルト(債務不履行)が避けられないのでは」と尋ねると、次官はこう返した。「ベネチアにある家1軒がいくらか知っているか。4-5階建ての邸宅なら1億ユーロ(約136億円)だ。ワインの産地で有名なトスカーナ地方の田舎の家は基本的に1軒100万ユーロ(約1億4000万円)以上する。われわれの資産がこれほど多いのに、デフォルトだと?ばかばかしい」

 韓国経済が成長エンジンを失い、長期にわたる低成長の沼にはまり込んでいるが、多くの国民は、韓国はそれでも大丈夫な国だと錯覚している。お隣の日本は、20年にわたる不況にも国がつぶれることなく持ちこたえた。過去30年間の好況期に稼いでおいた資産が支えになったためだ。

 日本の対外純資産(企業や政府、個人が海外に保有している資産から負債を差し引いたもの)の残高は、今年3月末時点で3兆2000億ドル(約342兆円)に達する。一方、韓国の対外純資産残高はマイナス43億ドル(約4600億円)だ。一生懸命稼いでも、いまだに資産よりも負債が多い。人に例えるなら、韓国経済は多額の借金を抱えるサラリーマンで、日本経済は資産の運用益だけでも十分食べていける銀行のプライベート・バンキング(PB)の顧客ということになる。日本は昨年、資本収支だけで460億ドル(約4兆9000億円)の黒字(流入超)だった。これに対し、韓国の昨年の資本収支は2億ドル(約214億円)の赤字(流出超)だった。

 国内総生産(GDP)の規模で見ると韓国は世界13位の経済大国だが、だからといって錯覚してはならない。GDPは1年間に国内で生産された物やサービスの総額だ。現在の現金の流れが少し良いだけで、資産が多いという意味ではない。

 もちろん、負債が多いからといって必ずしも国が駄目になるわけではない。米国は対外純資産残高がマイナス5兆ドル(約535兆円)に達する。だが、米国は基軸通貨国だ。印刷機でドルを刷るだけで、いくらでも負債を償還できる。韓国は資源も、世界の富裕層が欲しがる田舎の家も、有名画家たちのスケッチもない。頼れるものは知識と労働だけだ。

 経済再生への期待をつないだチェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部(省に相当)長官率いる経済チームの景気浮揚策が、次第に勢いを失っている。国会などに足を引っ張られ、これさえも効果を出せなければ、韓国経済の未来は暗い。まずは国民が危機意識を共有することから始めなければならない。このままでは、国を奪われるという屈辱を味わいながらも発奮せず、子孫に何も残せなかった先祖と同じ轍(てつ)を踏むことになるだろう。
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