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朴政権の二股政策は破綻寸前 中国インフラ銀の参加めぐり米中が強烈圧

夕刊フジ (2014年10月30日17時12分)

 韓国の二股政策が破綻寸前だ。中国主導で設立を予定する銀行への参加はひとまず見送ったが、中国は韓国を自陣営に引きずり込もうと圧力をかけ続ける。一方の米国は、韓国の「親中反日」路線が東アジアの安全保障を壊しかねないと警戒を強める。米中を手玉に取るはずだった朴槿恵(パク・クネ)外交だが、いまや股裂き状態で、経済の失速も止まらない。

 アジアインフラ投資銀行(AIIB)は、中国の習近平国家主席肝いりで設立を目指す国際金融機関だ。中国が50%を出資し、本部を北京に置くという事実をみても、中国による中国のための銀行であることは明白だ。

 日米など先進国主導の世界銀行やアジア開発銀行(ADB)に対抗するとともに、人民元をドルに匹敵する国際通貨に育てる思惑もある。「国際通貨基金(IMF)や世界銀行体制、そしてADBなど、いわば自由主義体制への中国の挑戦」と嘉悦大の高橋洋一教授は指摘する。

 24日の調印式に参加したのは、中国のほか、インドネシアを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)の9カ国、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、モンゴル、ウズベキスタン、オマーン、カザフスタン、カタール、クウェートの計21カ国。

 先進国は参加せず、中国は当てが外れた形だ。融資基準やガバナンス(企業統治)が不透明で、麻生太郎財務相は「融資に対する審査能力はあるのか」と実務能力に疑問を呈した。

 調印式に参加しなかった韓国だが、当初は中国の誘いにまんざらでもなかったようだ。「AIIBの本部誘致を韓国に主張するのが妙手」との報道が出るなど、米中の間で好条件を引き出すカードとして利用すべきだとする論調もあった。

 中国の働きかけも積極的で、中央日報によると、調印式前の21日に訪韓した唐家●(=王へんに旋)(とう・かせん)元国務委員が、朴大統領にAIIB参加を繰り返し要請したという。

 韓国の崔●(=日の下に火)煥(チェ・ギョンファン)経済副首相は、出資形態などの問題が解決できれば「参加できない理由はない」とまで語っていた。

 これに対し米国は、AIIBに参加しないよう韓国に強く要請、米国と中国とどちらに付くのか踏み絵を迫った。北朝鮮の金正恩体制に不安定な兆候もうかがえるなか、韓国は安全保障で米国に依存するしかない。有事の際の作戦統制権を米軍主導の米韓連合軍から韓国軍に移管する時期について、韓国は期限を明示せずに延期することを米側に要望していた。米韓両政府が延期で合意したのはAIIB調印式前日の23日。絶妙すぎるタイミングだった。

 ただ、米国側の韓国に対する視線は厳しくなっている。米財務省の為替報告書で「実態より為替を安く誘導するため、不透明な介入を続けている」と、中国と並んで韓国を非難した。

 産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を名誉毀損(きそん)で起訴し、出国禁止としている件についても米国務省のサキ報道官は「(米政府は)言論と表現の自由を支持する」と強調。韓国の人権感覚に疑問を呈した。

 安全保障でも火種は残る。米軍の地上発射型「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備について、韓国側は明確な回答を避けている。中国共産党の機関紙、人民日報系の環球網は、THAADが中国に向けられるとして「中国は韓国の最大の貿易パートナーである。中国庶民の嫌韓ムードが高まればどうなるか、想像に難くない」と脅しめいた記事を掲載した。

 ただ、中国に依存した朴大統領の経済政策は裏目に出ている。中国経済の成長鈍化を受けて、7~9月期の輸出は前期比2・6%減に。製造業もマイナス成長となった。実質国内総生産(GDP)成長率も4四半期連続で0%台と低迷する。

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「韓国がAIIBに参加しても経済的なメリットはほとんどない。それどころか日米韓3カ国の関係に決定的なひび割れをきたすだろう」と警告する。

 AIIBは15年末までの発足を目指しており、中国は引き続き韓国に誘いの手を伸ばすとみられる。前出の中央日報は「韓国は今回AIIBの創設メンバーから外れたものの、どのような戦略的選択をするかについて強いジレンマを抱えている」とする韓国外交筋の話を報じた。外交失敗の傷は小さくない。
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