Entries

中国、円安で日本企業・欧米企業は「事業見直し」対中直接投資が減少

勝又壽良  2014-11-05 04:04:24

前略

欧米企業も見限り始める
『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語サイト』(10月24日付け)は、次のように報じた。『レコードチャイナ』(10月27付け)が転載したもの。

③ 「米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(中国語版)』は、中国でコスト削減を計画している企業の割合が、2013年の22%から14年には24%に増加したと報じた。また、在中国米国商工会議所(AmCham-China)の調査では、中国に進出している米国企業のうち、今後1年間に投資を拡大する計画を持っていない企業の割合が、13年の16%から14年には27%へと増加した。中国EU商工会議所の調査によると、中国で人員削減を実施した欧州企業の割合は、12年が10%だったが13年には16%に増加した。一方で、長期的な人員増加計画を持つ企業の割合は、12年の61%から13年には48%へと減少している」。

世界企業による「中国詣で」の時代が終わった。それを印象づける記事である。私は、一貫して中国からASEANへのシフトを主張してきた。人件費の野放図な引き上げ、外資企業への差別的な扱い。これでは、外資が「中国戦略」見直しを始めて当然である。中国という国家は、自国が優位に立ったと判断した途端に居丈高になる。それを見事に証明して見せたのである。残念ながら、油断ならない取引相手である。

中国でコスト削減を計画している外資企業の割合が、2013年の22%から14年には24%に増加した。中国に進出している米国企業で、今後1年間に投資を拡大する計画がない企業割合は、13年の16%から14年には27%へと増加する。すり足で中国から身を引いていく感じがはっきりと捉えられている。中国以外へのシフトや米国内への回帰など、理由はいろいろである。だが、すでに中国経済は最盛期を過ぎたのである。

中国EU商工会議所の調査でも同様な傾向が認められる。中国で人員削減を実施した欧州企業の割合は、12年が10%だったが13年には16%へ増加している。一方で、長期的な人員増加計画を持つ企業割合は、12年の61%から13年には48%へと減少した。要するに、欧州企業も中国から「後ずさり」を始めている。「中国の時代」は、静かに幕を下ろす準備に入っている。

④ 「中国のヘッドハント企業は、『外国企業の中国でのゴールドラッシュはすでに終わった。中国で規模を拡大し過ぎた多くの外国企業は、現在調整を行っている』と指摘する。中国EU商工会議所のデータによると、中国市場における利益率が世界の平均を下回っている欧州企業が増加している。こうした現象は、過去になかったという。また、中国における業務収入に対する長期予測では、金融危機以降で最低の水準を記録している」。

外国企業による、中国での「ゴールドラッシュがすでに終わった」という表現は、象徴的である。これにも関わらず、日本の民間シンクタンクのある研究員は、日本企業の中国進出を頻りと呼びかけていた。私は当然、これに反論してその危険性を指摘した経緯がある。多分、中国から依頼されての「記事」であったろう。読む者が読めば、すぐにその裏は分かるのだ。テレビでも同一発言を繰り返していた。中国のお先棒を担いでいたに違いない。

中国EU商工会議所のデータによると、中国市場における利益率が世界の平均を下回っている。こうした欧州企業が増加しており、過去になかったことだという。中国でのビジネスは、コストアップが激しく採算に乗らなくなっているのだ。コストアップ要因には、人件費・家賃の高騰があるほか、中国政府による国内企業の露骨な保護策が自由なビジネスを妨害している。

外資企業が、揃って中国から静かな撤退を始めると、中国ビジネスはどうなるのか。特に製造業では、外資の持ち込む技術やノウハウに依存してきた。それが剥落する。「後発国の優位性」とやらを信じ切って来た中国にとって、外資系企業が背中をみせることは、一大事なはずだ。

中国メディア『光明日報』(10月23日付け)は、次のように報じた。

⑤ 「北京でこのほど開催された中国質量大会において、中国工程院の周済院長が『2025年までに中国が製造業における強国になる』との構想を打ち出した。周済院長は、2025年までに中国が製造業における強国になるためには、『中国製品の品質を世界最先端の水準にまで引き上げる必要がある』、『複数のグローバルブランドを中国から輩出する必要がある』などと述べた。

中国工程院とは、中国における技術分野の最高研究機関である。中国国務院(中国政府)の直属というきわめて責任の重い研究機関である。その院長の周済氏の発言である。決して見逃されていい内容ではない。ここでは、「2025年までに中国が製造業における強国になる」と宣言したに等しい。これは「大言壮語」(ほら吹き)である。次のパラグラフを読むと、中国製造業がいかに脆弱であるかを包み隠さずに述べているのだ。中国的な発言には一定のパターンがある。冒頭では、威勢のいいことを発言した後で、本音を語るのである。中国人の話は、最後まで聞かないととんだ誤解をする。そんな適例がこれであろう。

⑥ 「一方、『2025年までに中国が製造業における強国になるのは極めて難しい任務』とし、国内総生産(GDP)の伸びに比べて中国の製造業の質は向上が遅れていると指摘した。周済院長が、『製造業の規模に見合うだけの高品質を実現することが製造強国になるうえでの必須事項』と述べた。中国の製造業の問題点として、品質管理などにおける厳しい基準や指標が存在しないことを挙げ、『低すぎる基準のほか、基準そのものが存在しないために製品の品質が安定しない』と指摘した。中国には、国家標準と呼ばれるさまざまな基準が、『3万以上も存在する』と。だが、『国家標準はあくまでも質などの最低ラインを定めた基準であり、中国企業がより優れた製品を提供するためには国際標準をもとに、より細やかな基準を定める必要がある』と論じた」。

ここでの各論では、いささか拍子抜けするような「愚痴」を語っている。周済院長の語る中国製造業の弱点は、次のように要約できる。
(1) 品質管理などにおける厳しい基準や指標が存在しないこと。
(2) 低すぎる基準のほか、基準そのものが存在しないために製品の品質が安定しない。
(3) 国家標準はあくまでも質などの最低ラインを定めた基準である。
(4) 中国企業がより優れた製品を提供するためには国際標準をもとに、より細やかな基準を定める必要がある。

日本の製造業が、世界に冠たる実績をあげている背景には、いわゆる「5S」を厳守していることが上げられる。すなわち、「整理・整頓・清潔・整理・躾け」によって、工場現場が整然としているのだ。これによって、品質管理が徹底化して製品歩留まり率が向上する。均一で高品質な製品が生み出される裏には、ルールを守るという国民性が支えている。中国へ進出した日本企業が、口を酸っぱくして「5S」を説いても、その場限りといわれる。

行列破りが普通の中国社会では、「5S」など遵守されるはずがない。ルールとは基準である。生活ルールさえ守ることのできない民族特性である。ルール破りは、汚職・賄賂という形で典型的に行われている。労せずして利益を上げるのが中国社会である。汗水垂らして働く習慣が根付かず投機を何より好む。こうした民族には、質素で倹約を旨とし、黙々とルールに従って勤労するのは苦手なのだ。

所詮、中国では工業製品の高度の品質管理は不可能と言って間違いない。もし、これに反論があるとすれば、どうぞ存分にしていただきたい。中国は、国家として古い歴史を持ちながら、近代国家としては大きく出遅れた。その原因は、すべてこのルールを守らない一点から始まっている。基準を守れない。絶えず「脱法行為」を模索し、楽をして生きることだけに全精力を注ぐ。公平な競争を回避して抜け道を探す。人間としての真面目さを著しく欠いている社会と言わざるを得ない。工業化社会には不向きな国民性であるのだ。
スポンサーサイト
  • コメント : -
  • トラックバック : -

Appendix

最近の記事