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米国は「世界主導機能」喪失へ 日本の安保政策にも重大な影響 米中間選挙

 日高義樹 2014.11.05

 米国で4日(現地時間)、中間選挙が行われた。選挙の結果がどうであれ、国内の政治的な対立や分裂が激しくなり、米国は世界を主導する機能を失うことになる。

 州の力が強い米国では、各州で選挙の規則が異なり、州によっては、候補者が50%の票をとれない場合、再選挙が行われる。このため、最終的な結果が出るのは2、3カ月先になるが、結果より注目するべきことは今度の選挙に現れた、米国内の対立と分裂のひどさだ。

 中間選挙は、現職大統領の業績を国民が査定する選挙でもあるが、今度ほどオバマ大統領に対する批判が強い中間選挙はなかった。オバマ氏を支持してきた議員は、ベテランまでが苦戦を強いられ、8つの重要な州で最後まで選挙結果を予想することができなかった。

 こうした状況で『ニューヨーク・タイムズ』など米国のリベラル派のマスコミは、共和党をはじめ保守勢力の台頭を懸念して、異常なほど厳しい保守叩きを行った。また選挙戦の間に黒人と白人の人種的対立が激しくなり、あからさまに黒人としてのオバマ氏を批判する声が上がった。

 白人男性の80%が反オバマ票を投じるといわれる。中間選挙後の米国では、いわゆる政治のねじれが一段とひどくなるだろう。

 私はニクソン元大統領からブッシュ前大統領まで7人の大統領を身近に見てきたが、どの大統領も政治的な危機に追い込まれると、主要閣僚やスタッフの入れ替えを行っている。その場合、選挙を一緒に戦った、話のしやすい小型政治家で政権を作るのが常であった。

 今度の選挙戦で厳しい批判を受けたオバマ氏も、ケリー国務長官やヘーゲル国防長官、ライス安全保障担当補佐官らを更迭することを考えているはず。だが、その後にできるのは小型で内向きの政権で、ますます世界に関わろうとしなくなる。

 オバマ氏と米国の国際的な立場も低下する。10日から、中国・北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも、オバマ氏の影響力が大きく落ち込み、指導的な役割を果たせなくなる。中国にとっては好ましい状況だが、安倍晋三首相は独自の力で東南アジアの国々をまとめていかなくてはならない。

 北朝鮮が核兵器の小型化の技術を独自に開発したとされる状況で、日本の同盟国・米国は内戦ともいえる国内対立で国内政治にしか関心がない。わが国は、抜本的な安全保障政策を考えなければならないときにきているが、今や日米安保条約の改定について米国と話し合うといったことで、お茶を濁せない状況になっている。

 以上が私の米中間選挙を分析した第一報だ。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。
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