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「韓国政府は打つ手を無くした」 3年ぶり日中首脳会談に米・中・韓紙の評価は?

zakzak 2014.11.19

 日中首脳会談が平成23年12月以来、約3年ぶりに実現した。日中関係の冷え込みに気をもんできた米国のメディアは、辛抱強く会談を呼びかけてきた安倍晋三首相の「功績」を評価する。中国メディアは、習近平国家主席が「日本の誤った言動」を会談で修正させたと主張。韓国メディアは、中国が「韓中の歴史同盟」を離脱したと解説し、日中接近がもたらしかねない韓国の外交的な孤立に不安をのぞかせた。

 □ワシントン・ポスト(米国)
 ■歓迎の一歩「首相の功績」

 米紙ワシントン・ポストは12日付の社説で、双方が「笑顔をみせないことに気を使っていた会談」は、東アジアの緊張緩和に向けた「歓迎される一歩だ」と評価した。東シナ海での中国の挑発や歴史問題をめぐる対立は解消していないが、悪化の一途をたどっていた日中関係の「危険なきりもみ」が食い止められたのは「会談の実現を習氏に求めていた安倍首相の功績が大きい」と歓迎した。

 社説は、安倍首相の靖国参拝が「地域の指導者や世論を苦しめてきた」とする一方で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に関する中国の「独断的な主張」や中国公船の領海侵入への対処で、日本が挑発を控える「受け身の行動」を取ってきたと指摘した。

 これに対し「(習主席は)南シナ海で他国への強引な行為を繰り返し、容易にかき立てられがちな(中国)国民の日本に対する敵意をもてあそんできた」と批判した。中国が会談の条件として、尖閣諸島に領有権問題が存在することを認めさせ、靖国神社を参拝しないことを約束させようとしたことも紹介している。

 それでも、日中が戦略的互恵関係の発展などで合意したことは「習氏との緊密な関係の構築を望んできたオバマ大統領の助けになった」との見方を示した。

 習主席が「しかめっ面」で首相と握手したことは「緊張緩和の兆しには見えない」と指摘。首相が会談後に「日中両国が戦略的互恵関係の原点に立ち戻る」と語ったことを挙げ、社説は「中国もその目標を共有することを望む」とした。

 一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルは11日付の分析記事で、「日中や米中には紛争や戦争を招かないために戦略的な競争関係を管理することが必要であるという現実があるが、お互いに対話をしなければ管理することはできない」(ジェラルド・カーティス米コロンビア大教授)との見方を紹介している。(ワシントン 加納宏幸)

□人民日報海外版(中国)
 ■日本に正しい方向を示した

 中国メディアは今回の首脳会談について、安倍首相からの再三の会談要請を中国側が「聞いてやった」とでも言わんばかりの構図を描いている。人民日報(海外版)は11日付のコラムで、「中国側は今回の会談を『受け入れたもの』であることを強調し、安倍氏に対して、その言葉を聞く以上に(今後の)行動を見る必要があるとの姿勢を示した」と伝えた。

 首脳会談の冒頭、凍り付いたような表情で握手する両首脳の姿は、冷え込んだ日中関係の象徴として世界のメディアが配信したが、コラムも「中日関係の現状をありのままに反映している」と同調した。

 一方、中国側は日頃から、尖閣諸島(沖縄県石垣市)や歴史認識での対立、軍事・安全保障政策に関する「日本政府の誤った言動」が日中関係を冷却化させたと主張しており、その独善的な見解はコラムにも貫かれている。

 コラムは「熱意に欠けるものの、重みがある会談だった」との見方を示した上で、そうなった理由は「方向を見失った安倍政権に正しい方向を指し示し、両国関係が正常な軌道に早期に戻る可能性をもたらした」からだと主張する。あくまでも“正しい”中国が、日本の“誤り”を矯正したとの立場を崩さない。

 また、日中間に横たわる「3尺(約90センチ)もの厚い氷は1日の寒さでできたものではない」と強調し、冷え切った関係がすぐには氷解しないことも示唆した。

 しかし、それでも中国が、安倍首相の「次の一手」を不安視しているのも確かなようだ。「(今後の安倍首相が)北京で一致した意見の精神を遵守するのか、しないのか、どちらの道を選ぶのかに人々は関心を持っている」との言葉の背後には、国内向けに保ってきた中国のメンツが潰されかねないことへの懸念もうかがえる。「自らまいた種は自ら刈り取れ」と声高に迫るのも、そうした不安の裏返しと言えそうだ。(北京 川越一)

 □中央日報(韓国)
 ■習主席は「歴史同盟」を離脱

 朝鮮日報は10日付の社説で、日中関係が「新たな段階に一歩前進した。軍事面、外交面での衝突を回避し、対話の窓口が開かれた」と会談を評価し、「中国と歩調を合わせ、安倍首相との会談に応じないことを重要カードと見なしてきた韓国の外交政策」を問題視した。

 社説は「韓国は『中国は日本からの首脳会談要求に簡単には応じないだろう』と都合よく解釈し、中日関係の大きな流れの変化から顔を背け、身勝手な『外交原則』ばかりを強調してきた」と批判した。その上で、「韓国政府は今、完全に行き詰まり、打つ手をなくした状態といってもいい。突然の中日接近を尻目に、韓国民はより不安を感じざるを得ないだろう」と指摘した。

 また、13日付の中央日報は、日中対立の構図はそのままだが「最悪の葛藤を避ける契機を作った」とした。一方で、「韓日は関係改善の糸口をつかめずにいる。日本の歴史修正主義が最大の問題だが、より積極的、柔軟になる必要がある。中日間の新しい流れを逃してはならない」と韓国政府に注文をつけた。

 一方、別のコラムでは「(日中首脳会談は)奇襲的で、韓国は不意をつかれた」とし、習主席が安倍首相にみせた冷たい表情を「中国内の反日感情を念頭に置き、韓国も意識したのだろう」とする半面、「習主席は韓中の歴史同盟から離脱した」と解説した。

 「習主席は韓国を親中・反日で縛っておこうとする」と今後の中国側の対応を推測し、「日本の反応は巧妙だ。習主席の態度は無礼だが、日本は節制で応じた」と評価した。

 また、首脳会談は「名分よりも国益を優先した(結果だ)」と指摘し、日中接近は「韓国には機会の喪失だ。韓国外交は対立仲裁の機会を失い、中国が韓日関係仲介の主導権を握った」と分析している。(ソウル 名村隆寛)
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