Entries

日中首脳会談、習近平の無表情の裏にあるホンネ?

田原総一朗 2014年11月25日 13:37

11月10日、安倍晋三首相はAPEC参加のため訪れた北京で、習近平国家主席と会談した。2年半ぶりの日中首脳会談だった。約25分の会談の間、習主席に笑顔はなかった。そればかりか、安倍首相と視線を合わせないようにしていた。この様子を見たメディアのなかには、「成果なし」と報じるものもあった。だが、「おおいに成果あり」と僕は考えている。

この会談は、中国からの要請で実現した。日本の対中投資の激減や、環境汚染などの問題解決を中国は迫られていたからだ。それにもかかわらず、なぜ習主席はにこやかな表情をみせず、しぶしぶ会ってやっているのだという態度をとったのか。それは、中国国内の世論に慮ったため、いたし方がないことだったのだ。もしカメラの前で習主席が、笑顔のひとつでも見せようものなら、「なぜ日本に甘い顔をしているのだ」と反発する意見が噴出し、大混乱になるのは間違いない。日本側も、そこは織り込み済みだった。だから安倍首相は「大人の対応」をしたのだ。

この日を迎えるまでに、日本は下準備を重ねに重ねてきた。まず福田康夫元首相が7月に訪中。10月29日には習主席と会談した。国家安全保障局長の谷内正太郎さんも2度にわたって訪中している。会談に先立って4項目の合意文書も発表している。

この4項目とはどんな内容か。1 日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認2 両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた3 尖閣諸島など東シナ海の海域において、近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、情勢の悪化を防ぐとともに、不測の事態の発生を回避する4 政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努める

まず1の「戦略的互恵関係」は、2006年の第一次安倍内閣で行われた、安倍首相と胡錦濤主席の会談で生まれた言葉である。「原点」に帰ろうということだ。

2の「異なる見解を有していると認識し」、「不測の事態の発生を回避」といった表現にも関係者の並々ならぬ苦労を感じる。お互いの不利益にならぬよう、けれど会談を実現し関係改善を図ろうという、思いを込めた表現だ。

合意文書、首脳会談への産経新聞の社説に、「関係改善の一歩にすぎぬ」とあるように、否定的なメディアも多い。だが、凍りついていた日中関係にとって、これは間違いなく大きな前進だと僕は思うのである。

さらに、見逃せないことがある。韓国が焦り始めたことだ。韓国はいままで、非常に強固な「反日」の姿勢をとってきた。中国という強い後ろ盾があったからであろう。ところが、中国が日本との関係改善へ向かえば、韓国もいままでのような態度ではいられなくなる。

早くも13日、韓国の朴槿恵大統領はミャンマーで開かれたASEANで、日中韓外相会談と、それに続く日中韓首脳会談の開催を希望することを表明した。

過去は変えることはできない。領土問題の解決もたいへん困難だ。けれど大人の知恵があれば、国と国はなんとか穏やかにやっていくことができるのではないか。僕はそう思っている。日中韓関係の今後の進化を、僕はおおいに期待しているのだ。
スポンサーサイト
  • コメント : -
  • トラックバック : -

Appendix

最近の記事