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中華帝国・ロシア帝国・イスラム帝国の亡霊が蘇った。中央アジア5か国は周辺強大国の草刈り場になるのか?

白髪頭でズバリと斬る -じじ放談- 2015年06月15日

はじめに

群雄割拠して均衡を保っていた諸勢力(州)や諸部族が「何らかの事情」に誘発されて連携し又は連合して大勢力(合衆国)に変身することがある。この強大国は周辺の弱小勢力を併合又は服属させて大帝国となる。

中央アジアでは地元の遊牧民が月氏(前3世紀)、匈奴(1世紀)、突厥(6世紀)、モンゴル帝国(13-14世紀)と強大な帝国を築いたこともあるが、これらの帝国が分裂し弱体化すると、周辺の強大国中華帝国(漢・唐・清・中共)やイスラム帝国(アッパース朝)、ロシア帝国(帝政ロシア・ソ連)、オスマン帝国(セルジューク朝)などの支配下に置かれた。

中央アジア5か国は19世紀中葉頃から帝政ロシアに併合され、共産革命によって成立したソ連邦の自治共和国とされたものの、1991年のソ連邦崩壊によって独立国家(独立国家共同体)になった。安全保障はロシアに依存、中共への経済依存が深まっているほか、イスラム過激派ゲリラが日本人誘拐事件(1994)を惹起したこともあった。現在、中央アジア5か国や東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)ではタリバン・アルカイダ・ISなどイスラム過激派組織のゲリラ闘争に対する警戒心を隠していない。中露両国と中央アジア5か国は(SCO)「対テロ作戦」と称する合同軍事演習を定例化。

朝鮮半島がシーパワー(海洋勢力)とランドパワー(大陸勢力)の邂逅点とすれば、中央アジアは東の中華帝国、北のロシア帝国、西のイスラム系帝国が邂逅する地域だ。目下、習近平の「陸のシルクロード(一路」とプーチンの「ユーラシア同盟」が対峙し、イスラム過激派も浸透、いわゆる三つ巴の暗闘中だ。中央アジア5か国は「生き残りと国家の自立」を念じて、日米欧やインドにも接近する多角的外交に踏み出し、周辺強大国を相互けん制させる「勢力均衡策」に踏み出す。周辺強大国は世界有数の資源大国中央アジア5か国や東トルキスタン(新疆ウングル自治区)に熱い視線を送っている。

第1:中露の「癒着と反目」の不思議な関係

日米同盟が推進している「中共包囲網作戦」に脅えている中共は「中露同盟」で対決すべくロシア取り込みで忙しい。ロシアは先進7か国による経済制裁と原油や天然ガスの価格が暴落したことで深刻な経済悪化に悩んでいる。中共はロシアの弱みにつけ込み、ロシアへの経済支援を強めて懐柔することに成功した。中共の申し出は、ロシアにとって「干天の慈雨」であり断ることができない。中共が日米同盟への対抗軸として中露同盟の結成を画策していることは明白であるが腹が減っては戦はできぬ。

先般、中共海軍は地中海においてロシア海軍と合同軍事演習を行ったが、今後、日本海において中露両国海軍艦艇約30隻で大規模な合同軍事演習を行う予定だ。以上は、いずれも中共の申し入れによって実現したものと考えてよい。だが、ロシアは中共の弟分に甘んじる意思はないし、中共に対するロシアの経済依存が高すぎる現状に満足していない。習近平は「一帯一路」の戦略構想を推進するほか、シベリア東部で広大な農地を賃借し農民(屯田兵)を送り込む。これはトルコ・東欧・モスクワ・シベリア・カムチャッカ半島を領有し大モンゴル帝国や清王朝の最大版図を自国の固有領土と見做す蛮行だ。習近平が掲げる「中国の偉大なる夢」は周辺国を阿鼻叫喚の地獄に突き落とす身勝手な戦略なのだ。知恵者プーチンが習近平の計略を見抜けないはずはないから、目下、隠忍自重、臥薪嘗胆に徹しているのだろう。

(以下1-3は、13日付け日本経済新聞より抜萃。「 」内は筆者)

1.ロシアは「対中融和」と「対中警戒」の二面作戦

ロシアのプーチン大統領は7月、同国南部のウファで中露と中央アジア4か国で編成する上海協力機構(SCO)とBrics(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)の首脳会議を主宰する。ロシア政府関係者によると、プーチン政権は両組織と、ロシアが旧ソ連諸国の囲い込みのために結成したユーラシア経済連合の合同会議も計画する。

「中露が中核の上海協力機構(SCO)は中共主導の会議となるから、参加国を増やしてロシアの劣勢を補う戦術だ。中国のやりたい放題は許さないとの存念だろう。米国覇権は認めないの一点において中露の利害は一致するが、共通の敵がいなくなれば昨日の友が敵となるのが自然の道理」

2.ロシアが中央アジア駐留軍を増強する狙い

ロシア軍はタジキ基地に駐留する部隊を現状の1.5倍9000人に増やすと表明、キリギスの空軍基地には無人機などを新たに配備。旧ソ連6か国で構成する集団安全保障条約機構(CSTO)の枠組みで5月にはタジキで大規模な軍事演習を実施した。中国と関係強化してきたトルクメンスタンにも軍事協力を働きかけている。

「プーチンは習近平がいう陸のシルクロード(一路)をテコとする中華経済圏拡大戦略が旧ソ連邦共和国で構成するユーラシア経済同盟とゼロ・サム関係になると感じている。このプーチンの危機感がロシアが中央アジア5か国との軍事的連携を急がせる背景であろう。中華帝国とロシア帝国は中央アジア5か国の縄張り争い(勢力圏争奪戦)を始めたという訳だ」

「中共の勢力圏拡大戦略は、インフラ整備や輸入を増やしてやることで当該国経済が中国経済なしには成り立たない環境をつくること、そして徐々に、当該国に中国人の労動者・商売人等を送り込み、経済的支配力と政治的影響力を確保し、中華冊封体制に組み込むという特徴がある。さらに、東シベリアの地方政府から広大な農地を賃借し数万人の中国人農民(非常時には屯田兵に変身)を送り込んで既成事実を積み上げる予定だ。中共は経済をテコに、ロシアは安全保障をテコにして中央アジア5か国の取り込みを競う宿敵だ」

3.中央アジア5か国は独立国家として生き残ることができるか?

中国はカザフ・トルクメンなどとつなぐ石油・天然ガスパイプラインを相次いで開通させ、カザフなどにとって最大の貿易相手に浮上した。シルクロード構想(一路)に沿って中国は各国の鉄道や高速道路などインフラ整備への投資も加速する。

「中央アジア5か国は原油・天然ガス等地下資源の宝庫であるが、いずれも海洋への出口を持たない内陸国家。中央アジア5か国と国境を接する中国やロシア及び中央アジアや東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)と同じチュルク系民族(突厥系)といわれているトルコは特別な地位にある。イスラム過激派の動向次第では政情が不安定化する虞れもある。したがって、中央アジア5か国との関係改善で得られるメリットとデメリットを比較考量して慎重に対応すべきだろう」

「中央アジア5か国が中華冊封体制に取り込まれるのは中央アジア5か国にとって好ましい話ではない。ミャンマーや北朝鮮は中共帝国の属国となることでは国家の自立を期すことはできないとして多角外交に転換した。中央アジア5か国は地政学的に見て、国境を接する中共やロシアとの関係を断絶することはできないし、中露いずれに偏しても併合される不安がある。つまり、中露両国の圧力を緩和し、経済的依存を低減させることで国家の独立を守ろうとするのは合理的な考えだ」

「シルクロードとは東西交易の主要ルートであったこと以上に軍馬が往来する軍用道路であった。中共が構想する東南アジアや中央アジアとの鉄道と高速道路のインフラ整備は交易専用輸送路という看板を立てているが、<この道は北京に通ず>の軍用輸送路という秘められた狙いもある。帝政ロシアが満州鉄道を敷設し、プーチンがシベリア鉄道を北朝鮮・羅津港まで延伸した理由も右に同じ。先軍国家は軍の輸送路確保を何よりも重視する」

第2:中央アジア5か国の地政学的位置づけ

古来、中央アジアに割拠した遊牧民は勇猛果敢な戦士(騎馬民族)であった。漢族は自らを中華となし、荒ぶる周辺族を「北狄・西戎・東夷・南蛮」と称して見栄を張ったが、漢族がいかに荒ぶる周辺族を畏怖していたかの証であろう。北方又は西方騎馬民族に対する恐怖心が世界最大の建造物「万里の長城」を造らさせた。騎馬民族は「万里の長城」を乗り越え又は迂回して漢族歴代王朝を打倒、何度も騎馬民族王朝を樹立した。中国4000年の歴史の過半は異民族王朝史といわれている。

騎馬民族の中で特に有名なのは北方の「狄(てき)」と西方の「戎(じゅう)」(いずれも紀元前1000年以上前ー紀元前300年頃?)、「匈奴」(前4世紀-93年)、「突厥(とっけつ)」(最盛期は6世紀中葉)、「モンゴル帝国」(1271-1368)および満州族の清王朝(1616-1912)だ。戦後、我が国で一世を風靡した「騎馬民族渡来説」は現在の歴史学会では実在を否定されているようであるが理解できない。明日香村の博物館に展示されている弥生時代の土器(須恵器など生活用品中心)から古墳時代の騎馬兵土器への急激な転換は余りにも不自然すぎる。3世紀の稲作農耕民族(邪馬台国)が4・5世紀の騎馬民族に変身したとは思えない。

つまり、北方系騎馬民族「突厥」の一部族が日本列島に侵攻して支配権を確立したと仮定せざるを得ないのだ。海中に潜り、漁労と稲作を正業としていた邪馬台国の住民が全く異質な文明遺産(騎馬民族の古墳)を残すことはあり得ない。古墳時代の出土品から勘案すると、「倭の大乱」を担った4・5世紀の主役は稲作農耕民族ではなく騎馬民族であったと考えざるを得ない。我が日本民族は太陽神を尊崇する稲作農耕民(農耕民族)の原木に北方遊牧民(騎馬民族)を接ぎ木したハイブリッド(合成物)と考えるのが合理的ではなかろうか。我が民族は平和を愛する稲作農耕民と、戦争が好きな北方遊牧民の混血児と考える。いずれの血が騒ぎ出すかは「時と場合」による。「海ゆかば」の鎮魂歌を口ずさみながら万歳突撃することもあり得る。

稲作農耕民は戦争のない平和な暮らしを求めるが、遊牧民は羊や馬を養う必要があって広大な草原を移動せざるを得ない。稲作農耕民の生活が安定的であるのに対し遊牧民の生活は干ばつや疾病で大量の羊や馬が死ぬこともあるから生活基盤が安定しない。遊牧民は大量の羊や馬を死なせ生活基盤を失ったときいかなる手段で一族郎党を養うかといえば、他族の財物(生活資材)を略奪して充当する以外にない。遊牧民にとって「略奪」は緊急時の正業であったと思う。遊牧民は誰もが「略奪行為」を飢えた遊牧民が生き残るための緊急避難行為(自然権)とみなした。「略奪する側」と「略奪される側」の生き残りを賭けた死闘が何千回、何万回も繰り返され「強者」だけが生き残った。優勝劣敗のトーナメントゲームを繰り返すうちに世界最強の騎馬民族集団が誕生した。

イラクの内戦は北部スンニ派地域に割拠するISと、中部以南のデルタ地帯を勢力圏とするシーア派民兵の宗教戦争の様相もあるが、地政学的に見ると北部・中部乾燥地帯の遊牧民とデルタ地帯の農耕民との戦争という雰囲気もある。農耕民主体のイラク政府軍の士気がさっぱり向上せず、戦争が始まると米国から供与された武器を戦場で放棄して逃げるというのだから米国が苛立つのも無理はない。遊牧民(IS)は戦争が性に合っているようで死を恐れない。だから何十倍の兵力を擁するイラク政府軍には負けない。中央アジアと同様、中東においても遊牧民は好戦的で士気が高い。耕作不能の乾燥地帯では戦争が嫌いなダメ人間は絶滅危惧種に指定され消えた。

1.中共、ロシア、トルコおよびイスラム過激派の利害は相反する

24年前までの約70年間ソ連邦の共和国であった中央アジアは、今や中華経済圏に組み込まれた。アフガン戦線では首都カブールにもタリバンやアルカイダのゲリラが出没し自爆攻撃やホテル占拠事件を頻発させている。中央アジア5か国は今、東方からは中共の経済的攻勢、西方からはイスラム過激派各組織の浸透やトルコ系の蠢動、北方からはロシア進駐軍の増強等、三つ巴、四つ巴のねじれた外圧が高まっている。原油・天然ガスの暴落という経済困難も同時進行中であり国家存亡の危機が迫っている。

習近平の「陸のシルクロード構想(一路)」が成功すれば、プーチンの「ユーラシア経済同盟構想」は破綻する。その逆も同じ。中央アジアにおいて習近平とプーチンはまさしくゼロサムゲームを戦っている最中なのだ。一方、アルカイダやISは中央アジア5か国や東トルキスタン(新疆)から参加している戦闘員を訓練し、ゲリラ戦士に育て上げ、中央アジアに送り返す戦略を立てている。トルコは騎馬民族国家「突厥」の末裔という「血の利」で東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)からの避難民を受け入れるほか、我が国企業と提携する等して企業進出に取り組む。苛烈な陣取りゲームだ。

2.中露提携(準軍事同盟)に楔を撃ち込む

米国歴代政権(クリントン・ブッシュ・オバマ)はソ連の幻影におびえていたのか?プーチンのロシアを主敵と位置づけてきた。反面、共産党一党独裁の中共中央には矯正可能性があるとして激アマの対応を行ってきた。同様の犯罪でも「ロシアには経済制裁」、中共には「厳重注意だけ」という格差処遇も不可解だ。米国の法治主義は罪刑法定主義ではなく御都合主義の便法といわざるを得ない。

米国歴代政権が経済制裁を加えた国家を中共が拾って友好国となすとの図式が何十年も続き定着してきた。誰もが、「米国の経済制裁は中共への貢物」と疑う所以だ。米国の経済制裁主義が中共帝国の勢力圏拡大を助けた。オバマ政権の対露経済制裁がロシアを中共の懐に飛び込ませた。プーチンはオバマの差別的扱いにハラを立て、「米国の一極支配は許さない」と胸に刻んだ。「米国覇権の経済的土台となっている米ドル基軸通貨体制を掘り崩すまでは中共と組む」と心に刻んだ。

オバマ政権は「中露提携に楔を打込んで分断し、中国包囲網を形成して中共を追い込むこと」に熱心ではない、腰が引けている。しかし、日本国安倍総理閣下が中共周辺国との関係強化を図っているから、米国もうかうかしておれない。「米国も頑張っている」との態度を示しておく必要がある。東アジアの主導権を日本国安倍総理に奪われてはならない、と考えている。

オバマ政権は対露経済制裁を強化し、ポーランドおよびバルト3国に米軍を駐留させる等してロシアに圧力を加えながら、中共に対しては「口頭注意・お咎め無し」では片手落ちというものだろう。したがって安倍総理としてはオバマ政権の真意を疑わざるを得ない。かって米国は蒋介石率いる中華民国軍を見捨て毛沢東率いる中共を支援して国共内戦に勝利させた前科がある。日米同盟基軸という安全保障の枠組だけ(第1の矢)では心もとない。いつ何時「捨て駒」とされるか分かったものではない。仮にオバマ政権が「日米同盟基軸を捨て、米中2極路線(G2)に回帰した場合、我が国は日露印越(第2の矢)で対峙せざるを得ない。

我が安倍内閣がロシアとの首脳会談と日露平和条約の締結を志向する背景はエネルギー供給源の多元化や経済交流と貿易促進による経済の活性化の一助にしたいという狙いもあろうが、国家安全保障上の保険をかけるという意味もある。もっとも、韓国を除くアジアの主要国(インド、ベトナム、フィリピン、モンゴル、中華民国(台湾)、北朝鮮、ミャンマーな)はいずれも中共を最大の脅威と位置づけているから、オバマ政権が同盟国や友好国の意向を無視して「ロシア主敵論」に固執した上で「中共に免罪符を与えた」とすれば、米国はアジアにおける政治的影響力を失うことは自明であり、(中共と中共軍による対米政治工作(調略)があったとしても)米国が世界から孤立する愚鈍な選択はしないであろうとのヨミもある。

もともと、中共とロシアは「米国の一極支配は認めない」の一点で一致しているだけであって、中露両国は地政学上「水と油」のゼロ・サム関係にある。ロシア(ソ連)は中印戦争でインドを、中越戦争でベトナムを、そして親中派張成沢一派数千人を処刑した北朝鮮を支えた。戦後70年、ロシア(ソ連)は反中国家を一貫して支援した。これが確かな物的証拠だ。中露提携は当座の契約に過ぎないのであって、対露経済制裁が緩和又は解除されたならば中露蜜月時代は終わる宿命(さだめ)なのだ。中露間に楔を打ち込む意味は「破綻時期の前倒し」というところか。

3.イスラム過激派を「中共打倒」の聖戦に向かわせる

イスラム過激派は東トルキスタン(新疆)において、イスラム教徒が漢族の軍隊や武装警察に惨殺されていることを知っている。「中共に対するジハード(聖戦)」を宣言した過激派もいる。近未来、タリバンはアフガン全土を実効支配するであろうし、その時アフガン駐留米軍は完全撤退に追い込まれる。アフガン政府軍はイラク政府軍と同じく戦闘意思が高くない。米国等が供与した武器を戦場に捨てて逃げるから、タリバン軍は無償で米国製武器を入手できる。

中共が盟友と認識している唯一の国家はパキスタン。中共は戦闘機を含む各種兵器を供与した。極秘で、パキスタンの核保有を支援したともいわれている。パキスタンの政情も安定しない。経済危機と若年層の失業率が高止まりしていることもあって、近年、パキスタン・タリバンがゲリラ闘争を活発化させている。パキスタンは日米欧や中共からの経済支援に加え、中東湾岸諸国(サウジアラビア)とも特別な関係にあるといわれている。パキスタンは治安も乱れ、政情も不安定で「時と場合」によってどちらに転ぶか誰にも分からない。アフガンのタリバン政権が復活した後、(中共にとっては最悪のコース)パキスタンはアフガンと連携して東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)独立戦争の後背地となる可能性が高い。

IS(イスラム国)は古代イスラム帝国(662-750)の復活を表明。
(以下、1-3はウイキペディアから抜萃)

1.イスラム教の開祖ムハンマド時代の領土拡大。アラビア半島の大半を領有(622-632)

2.正統カリフ時代の領土拡大。エジプト、リビア、イラン、イラク、シリア、パレスチナ、レバノン、トルコ、アゼルバイジャン、アフガ二スタンの一部、トルクメン(632-661)

3.ウマイヤ朝時代の領土拡大。パキスタン、アフガンの全部、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメンスタン、スペイン、ポルトガル、アルジェリア、チェニジア、モロッコ(661-750)

なお、当時は「国土」とか「領土」とかの観念がなかったから「軍事侵攻して、一時的に勢力圏とした」と解するべきだろう。古代の戦争はもっぱら道路沿いの城郭都市や集落を襲撃して占拠、抵抗する男子は全員殺害、従順な青年男子は奴隷として持ち帰り売買、無抵抗な婦女子は強姦して弄び、略奪した宝物は山分というのが常識であった。目下、ISがこの原始的な戦争行為を再現しているが、70年前の満州においても、ソ連軍が同様の蛮行を行った。45年前のベトナムにおいても、韓国軍が似たような蛮行を行ったとされている。死を賭して戦う兵士にとって唯一の楽しみが虐殺・強姦・略奪であった。人間は「罪悪」を背負って生まれてきた。

イスラム帝国の全盛期は我が国では飛鳥時代、中国では唐朝初期、中央アジアでは騎馬民族国家「突厥」が東西に分裂し衰退の兆しを見せていた。さらに遊牧民には国境も、国家も、定住する家もないから、広大な中央アジアの大草原に散在しているから、例えイスラム帝国軍数万人が侵攻してきても突厥軍に出会う確率は限りなくゼロに低い。イスラム帝国はシルクロード沿いの集落を襲撃し、略奪し、通り過ぎた。占領地を管理し、傀儡政権を立ち上げ、傀儡政権軍に軍事訓練を施すという馬鹿な真似はしていない。いかなる軍事訓練を施しても、傀儡政権軍の士気は向上せず、供与した武器を戦場に放棄して脱走する臆病な軍隊だ。これが、米国が占領し傀儡政権を立ち上げたアフガン、イラクおよび韓国の現実なのだ。

まとめ

中央アジア5か国は今、中共帝国の経済力による支配、ロシア帝国の軍事力による恫喝、そしてイスラム過激派の自爆テロと3方面からの脅威に曝されている。一歩舵取りを間違えると国家滅亡の危機を招く。

中央アジア5か国が抱えている難題の背景は「中国経済への依存度が高く、かつ安全保障をロシアに委任している」というネジレにある。安全保障を米国の軍事力に依存しながら、中国経済への依存度が高い韓国・台湾・アセアンでも、米中のどちらを優先し、どちらを劣後させるかの軸足が定まっていないから外交姿勢が迷走する。目下、韓国・中華民国(台湾)、シンガポールは危ない橋を渡っている。進むも地獄、退くも地獄、留まるも地獄の賭けをしながら体力をすり減らす。そして、最期は米中両国にも見捨てられ橋から転落する。

強大国は我慢強くないし裏切りを許さない。強大国は「結論先延ばしのツートラック(二股外交)」を認めない。弱小国に決断を迫り、忠誠心を試す。結果(事実)を見て処遇方針を決める。

先進国(G7)はアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明した英独仏伊と、不参加の日米加に分裂した。国益が相反したから協調できなかった。さらに、対露関係を巡っても制裁強化・圧力強化を求める米英と話し合い解決を優先すべきと考える日独仏伊の溝が埋まらない。制裁後も、プーチンはメルケル(独)と頻繁に会談し連携を保っている。プーチンはローマ法王との会談後イタリアの首相と会談した。そして、日露首脳会談への意欲も失っていない。米国が世界の警察官を辞任し、列強が国益第1で動くようになったから、世界の治安は大いに乱れている。国際世論をまとめる仕切り役が不在。世界は今、犯罪者天国になった。

不安定な国際情勢、国益第1で動き始めた列強、約束手形を濫発して仲間を集める中共、国際政治に一定の影響力をもつようになったイスラム過激派、大国の狭間で迷走する弱小国。

単純明快な時代には能力差が目立たない。「それなりにやっている」と評価してもらえるからだ。しかし、複雑怪奇で明日が見えない時代になると「誰も助けてくれない」から独力で問題を読み解く以外にない。国家も、企業も、そして個人も、ハッタリではない真の実力が試される時代となった。 白髪爺 at 13:50
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