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ホンハイが中国から逃げだした。 中国製造業の黄昏とインドシフト

おゆみ野四季の道  新 (27.7.16)

 台湾のホンハイが中国撤退作戦を開始した。ホンハイは世界最大規模のEMS企業(受託生産専門企業)で、中国本土に約12の大規模な工場を持っており、アップルのアイフォーンやシャオミのスマートホン等を生産している。中国国内で100万人の雇用をしているといわれ、民間企業としては最大規模の雇用を誇っている。
そのホンハイがとうとう中国の生産に嫌気をさして工場をインドに移転させる計画を発表した。
発表では2020年までにインドに中国と同規模の工場を建設し、そこで100万人の雇用を創出するというのだから簡単に言えば中国の工場をインドに移すといっているわけだ。

 中国での雇用情勢は日々厳しくなっており、かつてのような低賃金は期待すべくもなく、それに輪をかけて共産党の支部からホンハイが理由のない嫌がらせを受けるようになっている。なぜ嫌がらせを受けるかというとこうした工場を中国共産党が乗っ取ろうとしているからである。
「もうEMSという仕組みは分かったので、今度は俺たちがやるからあんたは出ていってくれ」

注)地方政府によるホンハイに対する嫌がらせの実態は前に記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-1547.html

 ホンハイとしたらアップルのアイフォーンなどを生産している拠点なのだから、「出ていってくれ」といわれてもおいそれと出るわけにはいかなかった。
仕方なく労働者の待遇を改善し、それだけではコスト増になるために作業用ロボットを大量に導入して生産性の向上を図ったりしてきたが、それなら何も中国本土で行う理由はなく世界を見渡せばいくらでも工場適地はある。

 時あたかもインドのモディ政権はインド経済の飛躍のためにインフラの整備や複雑な労働慣行の見直しに着手し、かつての中国の深圳のような労働特区を作る約束をしたので、ホンハイは中国にこだわっている理由がなくなってきた。
「それなら低賃金のインドに工場を移すのが最も合理的だ」
2020年までに12工場100万人の雇用計画を発表したが、このことは同時に中国から100万人の雇用が失われることを意味している。

 中国が低賃金労働を武器に発展した時代はすでに終わり、毎年のように労務費は上昇し、そればかりでなく労働争議も多発するので、中国進出企業はすっかり中国での生産に嫌になっている。
ホンハイは最も中国進出に熱心だった企業だが、そのホンハイが逃げ出すということは他の台湾企業もほぼ同様のビヘビアーをとると思った方がいい。
すでに日本企業は伊藤忠商事という中国の商社になり下がった企業を除けば撤退をしており、自動車産業もピークを打ったのでドイツ車(VW)の投資もおしまいになるだろう。

注)伊藤忠商事が中国シフトをさらに強化していることはすでに記載した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/01/post-62c9.html

 昨今のホンハイの業績は必ずしも満足の行くものでなく、かつては毎年50%以上の売上げ増があったのに、最近は10%増がやっとこというような状況になっている。
さらに利益率はEMSの性格から必ずしも高くはなく10兆円以上の売り上げでせいぜい1000億円だ。
「わが社は低賃金労働がないととてもやっていけない。もう中国ではそれを期待するのは無駄だ」

 なおホンハイはシャープとの提携をしきりに望んでいる企業だ。何回もラブコールを送って来ているが、それはホンハイは販売力はあるが技術力がないためである。
一方シャープは技術力だけの会社で販売力に欠点があり15年3月期は最終利益が2000億以上の赤字だった。
日本の輸出企業が過去最高益を稼ぎ出している時に赤字だとは信じられない惨状だ。
現在は金融機関の支援のもとになんとか資金繰りをつけているが、早晩販売力の面で限界がくるだろう。
私はハイホンとシャープの提携は非常に良いものだと思っており、特にホンハイが中国ではなくインドに軸足を移すのであれば積極的に参加するのが良いと思っている。

注)ホンハイとの提携を推奨する理由は前に書いた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-8190.html
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