Entries

【李登輝氏会見詳報(下)】「尖閣は日本のもの」「集団的自衛権の行使は当然」と明言 質疑応答編

産経    2015.8.2 08:00更新

 訪日した台湾の李登輝元総統(92)が7月23日に都内の日本外国特派員協会で行った記者会見の要旨は以下の通り。
 
安倍首相の安保法制は世界の平和に貢献

 --(欧州紙)日本も台湾のように移民を受け入れるべきではないか

 「日本の人口減少は、移民を受け入れることで解決されるとは思わない。別の方法で改めていくべきだ。アベノミクスで今大きな問題になっているのは結局、経済成長がなかなか伸びないということ。私はイノベーション(技術革新)にかかっていると思う」

 --(中国系メディア)1992年ごろ、一中各表というコンセンサスが発表された(注・馬英九政権は「中台が定義の違いはあれ中国は一つと認めた『92年コンセンサス』が存在する」と主張。当時の総統である李登輝氏や野党、民主進歩党は存在を否定している)。そのときは中国と統一したいという思いがあったと思うが

 「当時の国民党時代の台湾は『反攻大陸(中国大陸を取り返す)』を実行することにより独裁政権を維持するという考え方だ。私は独裁政権をなくすために『国家統一綱領』を制定した。これは中国で自由化、民主化、所得分配の公平化が実現された際に統一の話し合いを始めるという内容だが、当時は中国が自由化することはほとんどないと思っていた。これは中国との関係をつくりあげるということではなく、国民党の保守勢力に対して反攻大陸、内戦をやめようという意味だ。(内戦状態のために)憲法は凍結され、国会は選出されず、総統は死ぬまでやれる。これでは台湾の政治は革新できない」

 「92年コンセンサスの『一つの中国』という考え方が本当の台湾の実体を表現しているとは思わない」

 --安倍晋三首相は台湾出身者も含まれる慰安婦の問題に関して戦後70年談話の中で謝罪すべきだと思うか

 「慰安婦の問題について私たちは実情をよく知っているが、これは日本側としてコリアと中国に対してよく説明していくべき問題で、私はこの問題に対しては何も言いたくない。安保法制については、私は非常に安倍首相の日本に対する貢献を肯定する。安保法制はアジアの平和、世界の平和に貢献するものだと信じている。そして日本と台湾における関係、交流を強化し、もう少し密接な関係を持つべきだと思っている」
 
集団的自衛権の行使は当然

 --(香港テレビ局)日本の台湾統治は、先生の見方では幸せなことのか。安倍政権の安保法制に関して日本国民はほとんど理解していない。この大変な時期に日本に来た意味と目的は。安倍政権が呼んだのではないか

 「台湾人がなぜ東日本大震災のときにあれだけの貢献をやったか。日本の台湾における植民地政策が非近代的な社会から近代的な社会に引き上げたということが、台湾の人民に影響した。そして親日的であることは間違いない」

 「私の今回の日本訪問、国会における講演は、安倍首相によって招請されたのではない。全然関係ない。二十数年間の不景気から回復させ、国を正常な形にもっていく安倍首相の日本に対する貢献について、私は非常に肯定している」

 --(日本フリーランス)中国の領土拡張意欲は留まることを知らない。日本やアジア諸国はどう対応すればいいのか

 「米国のアジア政策は残念ながら、力が非常に落ちてきている。そのときに日本が米国を支援する形で集団的自衛権を行使する、そしてアジアのために平和な国としての形をとるというのは当たり前のことだと私は思う。まず自分の国は自分で守る。アメリカに頼るという一方的な考え方から世界が変わってきた。自分の国を守っていく、これは非常に大切なことだ。長い間、日本の指導者はこういう考え方が欠如していた」
 
台湾は第二次民主改革を

 --(欧州メディア)馬英九総統は対中接近政策を進めてきたが、その評価は

 「残念ながら今の馬総統の政策に対し、人民の支持率が9%まで落ちている。台湾から大陸への投資は増加しているが、国内的に経済は伸びず、失業者が増え、今の台湾の経済は以前と比べて大変な状態に陥っている。来年の総統選後に、おそらく新しい総統が新しい方向に持っていくだろう。憲法の修正、第二次民主改革をやらなければならない」

 --(台湾テレビ局)総統選後の新政権への注文と期待は

 「今の民進党の候補者(蔡英文氏)は、私の総統時代に米国との関係において十分に仕事を担当してきた。おそらく台湾の主体性を確立する道に沿って働いていくだろう」

 --(日本メディア)民進党の蔡氏は(中台関係に関して)現状維持といっている

 「おそらく私の今回の日本訪問によって、はっきりした具体的な政策を取るようになるだろう。それを強く信じている」

 --(フリーランス)尖閣諸島は日本に属しているのか、台湾に属しているのか

 「尖閣列島(諸島)については私は何回か発表した。はっきりと尖閣列島は日本のものであると。台湾のものではない」
 
日教組の教育は過ち

 --(日本フリーランス)会見の出席者に配られた木製のしおりに「我是不是我的我」と刻まれているが、直接解釈を

 「私は私でない私という意味で、つまり自我の否定だ。私はクリスチャンで、イエス・キリストに従い対処していく。政治的には自分の考え方や自分の利益を中心にせず、国のため人民のために奉仕する。自我の克服とは自我の超越だ。私は若いときから座禅も組んだ」

 「安倍首相を高く評価するのは結局、国のために奮闘しているからだ。台湾は党のために奮闘する代議士制度であり、これを改めていかなければならない。私に残された時間は5年ぐらいではないか。この5年間は台湾のために奮闘する。日本でも戦後教育の改革が課題になっている。日教組による教育は、日本に非常な過ちをもたらしている」

台湾人への差別はあったが日本統治を高く評価

 --(日本フリーランス)台湾も韓国も日本統治下にあった。韓国では当時の日本統治はひどいものだったという方が多い。実際に台湾で日本統治を体験してどうだったか

 「コリアと台湾はともに日本の植民地だったが、韓国は明治43年に国として日本と合併した。一方、台湾は清朝から『化外の地』といわれるような状態。日本統治に対して私は高く評価している。台湾の非近代的な農業社会から近代的な社会に持ち込んだ。一番大きい問題は司法。行政と司法が分割していない地方社会を日本ははっきり行政は行政、司法は司法と分けた」

 「(台湾総督府民政長官を務めた)後藤新平は本当に台湾のために奮闘した。こういう人がいるからこそ台湾は永久に日本を忘れない。そして嘉南大●(かなんたいしゅう、●=土へんに川)という(総延長1万6千キロに及ぶ)用水路をつくった八田與一先生。こういう人たちに対して台湾では神様みたいに大事にしている。台湾と日本との関係はおそらく韓国とは全然違う。韓国は国として日本と合併したから、韓国に対する対応はむしろ台湾よりいい。台湾人というのはある程度日本からの差別を受けていたが、社会全体が伸びてきていると。そういうところでは台湾人はやはり日本のやり方に対して高い評価を与えている」

 --(日本メディア)台湾では抗日戦争勝利70周年としてさまざまな反日イベントを展開している

 「この問題は馬総統の考え方に強く影響されている。馬総統は結局、台湾人ではない。台湾の人民がどういう状態か分かっていない。日本の東日本大震災においても当時の総理は人民が苦しんでいることを承知していたのか。指導者が一番大切なことは自分を忘れて国や人民のために奮闘することだが、長い間日本でも忘れられている。戦後のこの状態から脱するということが非常に大切だ」

台湾は来年の総統選で変わる

 --(日本メディア)総統在任時は中国が自由化、民主化される日は半永久的にこないだろうと思っておられたそうだが、現在あるいは今後はどうか

 「中国においては、まず宗教が自由ではない。教会をつぶし、牧師を牢屋の中に入れている。最近はもう一歩進んで弁護士に対するいろんな処理(弾圧)を行っている。できることなら台湾のキリスト教あたりから中国に対して宗教の自由を主張し、人民にも宗教の自由が得られるよう努力したいと考えている。中国大陸においては『託古改制』という考え方は捨てて『脱古改新』、世界的な価値に基づいた考え方を指導者は持たなければならない」

 --(台湾紙)馬総統は中国に接近する政策をとってきたが、中国は台湾に引き続き高圧的な態度を示している。最近では人民解放軍が台湾の総統府を侵攻する訓練の映像を公開した。中国とどうやって付き合っていくべきか

 「台湾における政治的な問題は、おそらく来年の総統選挙によって変わるだろう。人民の国民党に対する態度は昨年11月の統一地方選ではっきり示された。大陸とのあるべき関係は、大陸は大陸、台湾は台湾。お互いに平和にやりましょうということ。そして現在の中国一辺倒の経済政策は改めるべきだ。最近の台湾の経済はよくない。新しい経済発展の方向を定めなければならない」

 --今朝、安倍首相を訪問したか

 「私はこのことに対しては何もいえない。ただひとつ、安倍総理の日本に対する貢献を肯定している。それだけだ」

 --(司会)最後の質問だが、今回の訪日で靖国神社に行く予定はあるのか?

 「訪問しない」
スポンサーサイト
  • コメント : -
  • トラックバック : -

Appendix

最近の記事