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中国の「抗日戦争勝利」式典に憤る米国の元政府高官

JBpress 9月3日(木)6時25分配信

 中国が開催する「抗日戦争勝利」記念の式典と軍事パレードは歴史を極端にねじ曲げて日本を不当に糾弾する催しであり、米国など諸外国は抗議すべきだ―─。

 米国政府の元高官がこんな意見を発表した。

 米国の首都ワシントンでよく読まれている外交専門誌「ザ・ディプロマット」(8月31日号)は、アジア安全保障問題研究機関「プロジェクト2049」の会長、ランディ・シュライバー氏による「中国は自らの歴史問題を抱えている」と題する論文を掲載した。

 シュライバー氏は、東アジア、特に中国の安全保障の専門家として、クリントン政権では国防総省中国部長を、ブッシュ政権では国務次官補代理(東アジア・太平洋担当)を務めた。

 同論文は「中国の歴史の扱いも精査されるべきだ」という見出しで、中国共産党政権が9月3日に開催する「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」記念式典を批判していた。同式典は「中国のプロパガンダそのものであり、中国が勝利した経緯の正確な描写が欠けている。それは私たちへの侮辱であり、反対すべきだ。中国による歴史の改ざんを許容してはならない」という。

 シュライバー氏の主張は、日本側にとって十二分に有益な米国の認識を示している。そこで今回は同氏の主張の内容を紹介したい。
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■ 中国が行っているのは「歴史の倒錯的悪用」

 同氏は論文で以下のような骨子を述べた。

 ・アジアの歴史認識については日本の態度だけが問題にされる。だが、政治目的のために歴史を歪曲し、修正し、抹殺までしてしまう点で最悪の犯罪者は中国である。中国共産党は1931年から45年までの歴史を熱心に語るが、1949年から現在までの歴史は率直に語ろうとしない。

 ・戦後のこの期間に、大躍進、文化大革命、天安門事件など中国共産党の専横によって不必要に命を奪われた中国人の数は、太平洋戦争中に日本軍に殺された数よりもずっと多い。北京の中国国家博物館は、大躍進などの人民の悲劇をまったく展示していない。だが、日本の靖国神社の遊就館に対するような国際的な批判は何も起きない。

 ・中国共産党は日本の過去のひどい過ちに光を当てることに全力を挙げ、日本が戦後70年にわたりアジア・太平洋の平和実現に貢献してきた歴史を無視している。中国当局は、2014年だけでも日本の過去の侵略を糾弾するための新たな休日を2日も設けた。日本の過去をののしることに全力を挙げて、どうして日本と和解することができようか。

 シュライバー氏は以上のように述べたうえで、日本が戦後、中国へ巨額なODA(政府開発援助)を供与し、投資してきた事実を報告した。また、英BBCなどの世論調査結果で、日本が中国や韓国を除くアジアで最も好感を持たれる国となっていることを示し、「中国の国民は戦後の日本のこうした実績をまったく知らされていない」と批判した。

 中国の子供たちも、戦後の日本の国際貢献についてはまったく教わらず、戦時中の日本の残虐行為ばかりを教わるために自然と反日感情を増していく、という。

 シュライバー氏は中国のこうした態度を「歴史の倒錯的悪用」と呼び、米国にも大きな悪影響を与える、と述べる。習近平政権は、中国共産党の歴史を少しでも批判する声をすべて「歴史的ニヒリズム(虚無主義)」と断じ、「中国側の歴史解釈をそのまま受け入れない限り、協調的な米中関係は築けない」と宣言しているからだ。

■ 式典は米国と同盟国に対する政治的戦争

 さらにシュライバー氏は論文の終盤で次のような主張を展開していた。

 ・米国の政府や関係者たちはこの式典やパレードを単なる見世物として放置せずに、米国の同盟国や友邦、さらには米国に対する政治的戦争として位置づけ、注意を喚起すべきである。

 ・私たちの同盟国である日本は、はるか昔に起きた出来事だけを標的とされ、近年70年間の前向きな国際貢献の評価を完全に否定されている。

 ・私たちの友邦であり安保上のパートナーである台湾は、日本との戦争における役割、功績を中国に奪われている。戦時中、中国側の死傷者の90%は中華民国の人間だった。人民解放軍が日本軍と戦闘することはほとんどなかった。

 ・米国は、今回の軍事パレードで誇示される中国人民解放軍の実態を特に警戒しなければならない。その軍事力は将来米国に対して脅威となる可能性が十分にあるからだ。

 シュライバー氏は論文の結びとして、欧米の100人を超える歴史学者たちが安倍晋三首相あてに「アジアにおける第2次世界大戦の正確で公正な歴史」の認識を求める書簡を送ったことを示しながら、「中国に対しても、歴史認識の正しさが同様に求められるべきだ」と強調していた。 古森 義久
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