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不正に中国大失速まで…VW経営危機 メルケル首相の露骨な親中路線も裏目

ZAKZAK(夕刊フジ) 2015年9月30日 17時12分

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼルエンジン車の排ガス規制逃れで、同社が違法ソフトウエア使用を決めたのは約10年前の2005~06年だったとドイツメディアが報じた。組織ぐるみの不正が長期化していた疑いが強まり、検察当局の捜査対象も拡大しそうだ。販売台数ありきの拡大路線は過度な中国依存を招き、中国経済の失速で大打撃となるのは確実で、メルケル首相の親中路線も裏目に出た。

 DPA通信が報じたVWの内部調査結果によると、規制逃れの決定は2005~06年で、ベルント・ピシェツリーダー氏が会長を務めていた。

 ドイツ北部ブラウンシュワイクの検察当局は07年に就任したマルティン・ウィンターコルン前会長に対し、詐欺容疑で捜査を開始したが、さらに捜査対象が拡大する可能性が出てきた。

 15年上半期(1~6月)の世界販売台数はトヨタ自動車を抑えてトップとなり、初の年間首位も目前だったVWにとって、最大の課題は米国市場の開拓だった。

 14年の米国での新車販売台数は主要メーカーで唯一の2桁減という「独り負け」。「VWは米国では『安い車』というイメージがつきまとい、販売が低迷していた。価格を抑えたディーゼル車で巻き返そうとしたのではないか」と米自動車販売会社幹部は指摘する。

 自動車産業に詳しい経済ジャーナリストの片山修氏は、「2007年当時の販売台数は約570万台だったVWが、14年に1000万台を前倒しで達成したことで無理に無理を重ねていた。環境対応でもハイブリッドや電気自動車を投入した日本メーカーに対抗しようとクリーンディーゼルを打ち出し、ドイツ政府も補助金を出したが、規制逃れの指摘は数年前から出ていた」と語る。

 一方で依存度を高めたのが中国市場だった。VWは1981年に中国市場に進出し、シェアを拡大。VW全体の売上高のうち約36%、利益の半分超を中国市場から稼ぎ出している。

 ところが、中国経済の減速を受けて、同国の新車販売台数は5月に前年同月比0・4%減、6月に2・3%減、7月に7・1%減、8月に3・0%減と前年割れが続く。VWの主力合弁会社、一汽VWの8月の販売は13%の大幅減だった。

 「中国市場に大きな拠点を築いたVWは、さらに約3兆円を中国市場に投資して生産能力を年300万台から500万台に増やそうとしている。メルケル首相が何度も中国を訪れるなどドイツ政府もバックアップしてきたが、一つの国にのめり込み過ぎで、バランスを欠いているという懸念はあった」(片山氏)

 VWはドイツ政府との密接な関係でも知られる。もともと国営企業として誕生し、現在もニーダーザクセン州が議決権の20%を握る。これについて欧州連合(EU)の欧州委員会が問題視したが、ドイツ政府によって不問に付された。

 VWとドイツ政府の近すぎる関係について米ウォールストリート・ジャーナル紙は「自動車業界の利権を守るためなら道を踏み外してもかまわないという政府の姿勢をこれ以上ないほどはっきりした形で示したのは、メルケル首相自身だった。2013年、メルケル氏はEUによる二酸化炭素(CO2)排出規制の厳格化を阻止するため個人的に介入した。規制が強化されていれば、馬力のあるドイツ車は排出量の少ない他の欧州車以上に大きな打撃を受けていただろう」と報じた。

 13年には欧州連合(EU)の欧州委員会共同研究センターが作成した報告書で、自動車メーカーが違法ソフトを使う手法で規制逃れが起きる危険性が指摘されていたが、十分に実態を調査していなかった。

 メルケル首相は中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を表明するなど、親中路線を鮮明にしてきたが、肝心の中国経済が失速し、VWの経営にも打撃を与える。

 前出の片山氏はこう指摘する。
 「VWが抱える問題の根は深く、1~2年で回復するとは思えない。中国経済の減速もVWの業績に打撃となり、ドイツ経済、さらに欧州経済にとって大きなマイナス要因となりそうだ」
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