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まるで北朝鮮!習近平の「外国人狩り」が始まった~日本人を「スパイ容疑」で逮捕、中国なら死刑もあり得る

週刊現代   2015年10月13日(火)

まるで北朝鮮

〈中国遼寧省と浙江省で5月、「スパイ行為」にかかわった疑いで日本人男性2人が相次いで中国当局に拘束されたことがわかった。スパイ行為の疑いで日本人が中国で拘束されたことが明らかになるのは極めて異例……〉

朝日新聞が9月30日に報じたスクープ記事に日本中が騒然となった。

菅義偉官房長官は同日夕刻の記者会見で、事実を認めた。中国外交部の洪磊報道官も同日午後の会見で、「スパイ行為の嫌疑で日本人2人を逮捕し、日本側にも通知している」と述べた。

今回拘束されたと報じられたうち一人は、中朝国境の町である遼寧省丹東で、もう一人は東シナ海に面した浙江省温州だった。

日本政府関係者が憤って語る。

「実はもう一人、70歳の日本人男性が、6月に北京で捕まっている。これら3人のうち日本政府が送り込んだスパイなど、一人もいない。すべては中国側のでっち上げなのに、日本政府が交渉しても釈放しない」

中国は昨年11月、習近平主席の「鶴の一声」で、「反スパイ法」を制定した。今回はこの反スパイ法を適用したものと思われる。反スパイ法は、全39条からなり、以下のような恐ろしい条文が満載だ。

第3条 すべての社会団体や企業などは、スパイ行為を防止・制止する義務を負う。
第6条 外国機関、組織、個人が中国でスパイ行為を行えば、必ず法律の追及を受ける。
第8条 国家安全機関は反スパイ活動を捜査中に、偵察、拘留、逮捕その他の権限を持つ。
第22条 国家安全機関がスパイ行為の調査中は、どんな組織・個人も必要なものを提供し、拒絶してはならない。

このように、習近平政権はまるで北朝鮮のような法律を定めたのである。実際、中国のネット上では、こうした現状を「西朝鮮」(朝鮮の西にある中国の意)と自虐的に呼んでいる。

捕まったのは日本人だけじゃない

「昨年は遼寧省でキリスト教の布教活動をしていたカナダ人夫妻が捕まりました。今年3月にはアメリカ人女性観光客が拘束されています。

今回の日本人たちも、とてもスパイとは言えない理由で拘束されていると思われます。習近平政権としては、とにかく投資目的以外の外国勢力が中国国内に入ってくることを阻止したい。

それで『われらの民族が外国勢力に狙われている』と煽って、外国人にスパイのレッテルを貼っていくのです」

今回、日本人がターゲットにされたのも理由があるという。

「習近平政権の発足直後は、日本人と深く付き合っている中国人を引っ捕らえていました。'13年7月に『上海で失踪』と話題になった朱建栄東洋学園大学教授は、その典型例です。

ところがこれからは、中国に入ってくる日本人をターゲットにしていくというわけです。なぜなら、9月の抗日勝利70周年軍事パレードを終えたいま、反日のネタが尽きてしまったからです。

習近平主席は、日本人を叩けば叩くほど国民から支持されると考えている。中国社会は、いまや毛沢東時代とソックリになってきました」(矢板特派員)

こうした「習近平の外国人狩り」に対して、日系企業の駐在員たちは、警戒感を強めている。

北京在住の大手企業駐在員が明かす。

「つい先日、中国事業の縮小について、本社の幹部と携帯電話で話しました。するとその直後から、携帯電話の通話に雑音が入り、すぐ途切れるようになった。そればかりか、会社で使用しているパソコンの電子メールが約1ヵ月分、ごっそり消えてしまったのです。以来、恐ろしくて、夜のカラオケも自粛しているほどです」

天津在住の日本人駐在員も続ける。

「先日、取引先の中国企業と新契約がまとまったことで、先方の社長の自宅に招待されて祝宴を挙げました。その時、白酒で乾杯を繰り返したら眠くなって、ついウトウトしてしまった。

するとしばらくして、深刻な顔をした社長に揺り起こされ、『済まないが帰ってください』と言う。『外国人を泊めたら、近隣の居民委員会に咎められ、反スパイ法で逮捕されるから』というのです。それを聞いて、一気に酔いも覚めました」

恐怖の拘束体験を告白

また、別の駐在員は、数年前にスパイ容疑で捕まった時の「恐怖体験」を明かした。

「私の場合は、今回日本人が捕まった温州の北側に位置する、同じ浙江省の寧波でした。ある業界の国際展示会があって寧波に出張したのですが、最後の日が空いたため、タクシーをチャーターして郊外の観光に行ったのです。

ある小道を走っていたら突然、中国当局の車に遮断され、『軍事施設に入ったので拘束する』と言われた。その小道が軍事施設だという標示すらありませんでした。

私は近くの『招待所』と呼ばれる施設に連れて行かれ、3時間くらい取り調べを受けました。向こうに日本語ができる人がいなかったので、互いに片言の英語でのやりとりです。携帯品はすべて取り上げられ、携帯電話に残していた写真も、念入りにチェックしていました。

おそらくタクシー運転手も、私がただの観光客だと証言してくれたのだと思います。夕刻になって『二度と付近に近寄ってはいけない』と念を押して釈放されました。

いまにして思えば、胡錦濤政権の時代でよかったです。いまの習近平政権なら、何ヵ月も拘束され、最悪死刑になっていたかもしれない。そう思うとゾッとします」

このような「習近平の恐怖時代」を、中国日本商会の関係者が嘆いて言う。

「いま日系企業は、中国からの撤退や規模縮小が相次いでいます。昨年の日本の対中投資額は前年比38%も減少し、今年も上半期はさらに16%も減少しています。

これに加えて今後は、日本人駐在員がある日突然、捕まってしまうリスクも考慮しないといけない。こんな暗黒の時代は、日中国交正常化後、43年で初めてです」

実際、中国は年間2500人も死刑にしていると見られ、世界最大の死刑大国である。ここに日本人を含む外国人も加わるとなれば、日系企業はおののいて、今後ますます中国から身を引くに違いない。

ほんの少しの疑いで死刑—中国は「第二の北朝鮮」になりつつある。 「週刊現代」2015年10月17日号より
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