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中国経済の失速は間違いなく長引く 目がくらむほどの過剰な供給能力--三橋貴明

zakzak 2015.10.30

 現在の中国経済が抱えている「最大のバブル」は、実のところ不動産バブルでも株式バブルでもなく、「設備投資のバブル」である。設備投資は、民間企業設備としてGDP(国内総生産)に計上される投資になる。

 設備投資は、マクロ経済から見るとなかなか厄介で、目的は「供給能力の強化」であるわけだが、同時にGDPの需要項目にも計上される。逆に言えば、確固たる需要が存在しているわけではないにも関わらず、設備投資を増やせばGDPは成長する。

 中国経済の投資依存は、もはや「異常」としか表現のしようがない水準に至っている。中国の総固定資本形成がGDPに占める割合は、2013年の数値で何と約46%にも達しているのだ。

 反対側で、04年には4割を超えていた個人消費支出が、13年には約36%にまで落ち込んでしまった。ちなみに、日本の個人消費がGDPに占める割合は約6割で、米国は7割だ。中国が極端なまでの「投資依存経済」と化していることが理解できるわけだ。

 「投資が経済の中心だったのは、日本の高度成長期も同じでは?」

 と、思われた読者がいるかもしれないが、そんなことはない。日本の高度成長期に投資がGDPに占める割合は、高くても35%だった。現在の中国は、明らかに投資依存が行き過ぎている。

 これほどまでに、個人消費がGDPに占める割合が小さく、逆に投資のシェアが拡大してしまっている以上、中国が過剰な供給能力を抱えてしまったのは、あまりにも当然だ。

 現在、中国では鉄鋼や自動車の供給能力過剰がとんでもない規模にまで拡大している。

 15年の中国国内の自動車メーカーの生産能力は、3年ほど前に始まった設備投資の効果で、昨年比2割増の約5000万台に増強されたのだが、新車販売予測は2500万台強に過ぎない。さらに、中国は鉄鋼の余剰供給能力「だけ」で、日本の鉄鋼需要の4倍規模になってしまっている。これだけ膨大な鉄鋼の供給能力を、いかなる市場が吸収しうるのだろうか。

 現在の中国経済の失速は、単なるバブル崩壊ではない。人類史上空前の規模に膨らんだ「設備投資バブル」が、調整局面入りしたという話なのだ。目がくらむほど過剰な供給能力が解消されるまで、中国経済は復活しない。そして、供給能力の解消は、GDPの民間企業設備の激減を伴う。すなわち、GDPはマイナス成長に突っ込む。

 断言するが、中国経済の失速は、間違いなく長引く。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国との貿易をやめても、まったく日本は困らない! 中国経済の真実』(ワック)、『超・技術革命で世界最強となる日本』(徳間書店)、『亡国の農協改革』(飛鳥新社)など多数。
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