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安倍外交に死角なし! 日韓首脳会談、朴大統領も驚いた安倍首相の「切り札」とは?

現代ビジネ  2015年11月07日(土) 歳川 隆雄

安倍首相が漏らした日韓首脳会談の感想

「安倍外交」の成果が際立ってきた――。11月1日~2日に韓国・ソウルで開催された日中韓首脳会談および個別に行われた安倍晋三首相・朴槿恵大統領と安倍首相・李克強首相のことだ。

2日午前、ソウル市内の青瓦台(大統領府)で約3年半ぶりの日韓首脳会談が実現した。最大の懸案であった元従軍慰安婦問題について、両首脳は早期の妥結を目指すことで一致した。

だが、安倍首相は訪韓前、首相周辺に「(朴大統領との会談を)遺恨試合だ」と語り、慰安婦問題を巡る協議の決裂もあり得ることを示唆していたのだ。事実、官邸サイドは当初、安倍首相と朴大統領が握手している写真が配信されるだけで良しとする意向だった。

「遺恨試合」という意味は、7月にドイツのボンで開かれたユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産委員会がそれまでに「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録したことに対して、韓国が、産業革命遺産23の施設のうち7施設で強制徴用された朝鮮人が働かされたことを理由に、登録反対の大キャンペーンを展開したことである。

報じられたように、韓国側が登録決定文中に「forced labors」の表現を盛り込むよう強く求めたが、日本の外交当局が交渉巻き返しによって「force to work」で決着した経緯がある。

ところが、朴大統領との1時間45分の会談を終えて帰国の途に就いた安倍首相は、政府専用機内で随行員に対し「今回、首脳会談をやって良かった」と感想を漏らしたほどの変容ぶりであった。

では、いったい何が安倍首相をして「良かった」と言わせたのか。

死角が見当たらない

まず「慰安婦」問題についてだ。

新聞各紙(3日付朝刊)は、「慰安婦問題 早期妥結探る――協議加速で一致」(『朝日新聞』)、「慰安婦協議年内にも――賠償問題、『解決済み』堅持」(『読売新聞』)、「慰安婦 局長協議を加速――日韓首脳、TPP協力期待」(『毎日新聞』)、「慰安婦 財政支援拡大――政府検討、韓国と調整難航も」(『日本経済新聞』)と、一面トップの大見出しの付け方が大きく異なった。

実際の話し合いはどうだったのか。

朴大統領は一貫して「年内妥結」を主張、安倍首相は期限を決めるべきでないと反論、最終的に両氏は「できるだけ早い時期」で妥協した。逸る朴氏を安倍氏が制した結果となった。

その切り札となったのが安倍首相の「お詫び」の気持ちを手紙にして、存命する元従軍慰安婦のもとに届けるというものだ。

その時期は、帰国後の4日に会談した谷垣禎一自民党幹事長に「越年」を示唆したように年明けの1月初旬になると見られる。そしてその手紙を持参するのは、河村建夫・日韓議連事務局長(元官房長官)になると思われる。

日中韓首脳会談の一応の成功によって、同会談は再び定例化されることが決まり、来年5月中旬の東京開催が確定した。

すなわち、2016年前半の安倍外交は、年初の「慰安婦」問題妥結から始まり、「桜の花が咲く頃」のプーチン・ロシア大統領の日本公式訪問、5月中旬の日中韓首脳会談、そして同26~27日の伊勢志摩G7サミット開催と間断なく展開されることになる。

もちろん、その前に11月15~16日の主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議(トルコ・アンタルヤ)、18~19日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(フィリピン・マニラ)、20~22日の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議(マレーシア・クアラルンプール)、30~12月2日の国連気候変動枠組み条約第21回締約国首脳会議(フランス・パリ)出席で、安倍首相は休む暇もない。12月中旬にはインドを訪れ、原発と高速鉄道(新幹線)をトップセールスする。

さらに現在なお、ひそかに進行しているのが水面下での日朝接触である。これもまた外務省頭越しの官邸主導だ。日経平均株価が再び上昇トレンドに戻ったうえに外交成果が喧伝されるとなると、当面、安倍政権にとっての死角は見当たらない。
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