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中韓にそのまま言い返したい「歴史を直視せよ」

JBpress 11月11日(水)6時20分配信

 11月1日の日中韓首脳会談の共同宣言では、3国が「歴史を直視し、未来に向かう」ことが合意された。だが、日本は中国や韓国に対してこそ歴史を直視することを求めるべきである。

 私はこのことを、日韓首脳会談から帰国したばかりの安倍晋三首相が出演した11月2日夜のBSフジのニュース討論番組「プライムニュース」で主張した。

 共同宣言に記された「歴史の直視」はもちろん中韓両国からの日本に向けての要請であり、期待である。日本がその期待に応じようとすること自体は問題ではない。

 だが、これまでのように日本だけがただ責められ、説教され、うなだれたまま、というのでは、真の友好など生まれはしない。国際関係はどの分野でも、相互主義が健全なあり方である。一方通行では、バランスのとれた二国関係、三国関係は成り立たない。まさに「お互いさま」でなければならないのだ。

■ 歴史を直視すべきなのはお互いさま

 とくに、中国の「歴史を直視しない」姿勢はあまりに露骨である。
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 米国でも年来、中国が自国の歴史や米国、日本など諸外国との歴史を激しくゆがめてきたことへの非難が絶えなかった。その非難はここにきてまた一段と輪を広げている。

 中国の歴史の歪曲や糊塗に被害を受ける国は日本だけではないのである。

 前記のテレビ番組で、私は結論として以下のように述べた。日中韓3国首脳会談の宣言に盛り込まれた「歴史を直視して」という方針に、日本や他の2国はどう対応するべきか、という問いかけに対してだった。

 「歴史を直視して、というのはお互いさまです。日本は中国に対しては、天安門事件の歴史を直視せよ、と求めたい。韓国に対しては、ベトナム戦争で韓国軍のために働かされたベトナム女性慰安婦の歴史を直視してもらいたいですね」

 中国や韓国が指摘する「歴史」とは、日本が中国領土に軍隊を送りこんで戦闘をした歴史、そして日本が韓国を日本領として併合し、ときには厳しい統治を続けたという歴史、あるいは慰安婦の歴史である。だが、もはや日本だけが高圧的な要請に応じて歴史を真剣に受け止め、中韓両国が自国の歴史に対しまったく知らん顔、あるいは無責任のままであってよいはずがない。

■ 米国で非難される中国の歴史捏造

 「中国の歴史はプロパガンダそのものであり、正確な描写に欠けている。中国の歴史の改ざんを許してはならない」

 米国政府の元国防総省中国部長で元国務次官補代理のランディ・シュライバー氏が最近、発表した論文の一部である。

 私は同論文の骨子を本コラム2015年9月3日付記事(「中国の『抗日戦争勝利』式典に憤る米国の元政府高官」)で紹介した。シュライバー氏は論文で次のようにも述べていた。

 「アジアの歴史認識については日本の態度だけが問題にされるが、政治目的のために歴史を歪曲し、修正し、抹殺までしてしまう点で最悪の犯罪者は中国である。中国共産党は大躍進、文化大革命、天安門事件など自国民の悲劇の歴史を隠したままなのだ」

 中国のこの種の大規模な歴史の隠蔽や歪曲は、米国ではかなり以前から指摘されてきた。2004年12月にはニューヨーク・タイムズが「中国の教科書は歴史をゆがめ、消し去る」という見出しの記事で詳しい実態を報道した。

 同記事は「ゆがんだ歴史観」の実例として「中国は他国を攻撃や侵略したことはないと教え、1950年のチベット侵略も、1979年のベトナム侵攻も教えない」ことや、「朝鮮戦争で北朝鮮が韓国に大侵攻をかけたことを記さずに、逆に韓国側が米国の支援で戦争を始めたと教える」ことを報じていた。

 2002年2月には、当時のブッシュ大統領が訪中した際、北京の清華大学での演説で、「中国の教科書には『連邦捜査局(FBI)の特別捜査官は労働者の弾圧のために創設された』とか『米国人は伝統的に弱者をいじめ、貧者を弾圧する』などといった間違った記述が多い」と述べ、中国の歴史教育の偏向を自ら批判している。

 そんな中国から一方的に日本が「歴史を直視せよ」と指示されることは、どうみても不公正だと言わざるをえない。

■ 韓国政府が無視する自国の慰安婦問題

 一方、韓国では2014年6月、米軍慰安婦として働かされたとして、韓国人女性ら122人が韓国政府を相手に国家賠償を求める訴訟を起こした。

 この女性たちは、日本軍慰安婦については日本や韓国政府からすでに一定の賠償を支払われたが、同様の境遇の米軍慰安婦については事実関係が明確であるにもかかわらず韓国政府が隠ぺいしていると非難した。

 1950年からの朝鮮戦争時に韓国政府が、米軍(国連軍)を相手にした売春を認める「特定地域」を設け、女性たちの売春を管理していたことは歴史的な事実であり、多数の証拠や記録がある。特定地域での管理売春は強制的に行われ、慰安婦の中には親に売られたり、欺されて連れてこられた10代の少女もいたという。

 また今年春には、ベトナム戦争時に当時の南ベトナムに戦闘部隊として送られていた韓国軍将兵用に、サイゴン(現在のホーチミン市)市内に売春用施設の慰安所が開設され、未成年の少女を含む多数のベトナム人女性が半強制的に奉仕させられていたことが日本で報じられた。

 この事実を「週刊文春」で報じたのは、TBSテレビのワシントン支局長だった山口敬之氏である。山口氏は米国政府の公文書をも根拠にして、1960年代末から70年代にかけての南ベトナムでの韓国軍用慰安婦の実態を詳しく伝えていた。

 韓国政府は当然のようにこの報道を無視した。だが、ベトナム戦争時に韓国軍用の慰安所が存在していたことは揺るぎのない事実である。この歴史を、韓国政府はどう扱うのか。日本側としてはぜひとも韓国に直視してほしい歴史である★。

■ もはや一方的な断罪は許されない

 このように、どの国でも自国の歴史には汚点や錯誤が存在する。

 大きな流れ、長い歳月の間で重ね合わされていく歴史のごく一部分だけを、背景を無視して切り出し、拡大して、現代の倫理基準に合わせて判断し、相手国への非難の武器とする。こうした要素が、中韓両国が日本に対して提起する「歴史問題」には満ち満ちているのだ。

 だが、一方的な断罪をいつまでも許してはならない。

 私が「歴史の直視ならば、中国も、韓国も、同様にぜひ!」と求めるのはこうした理由からである。
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