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シリア内戦の主役はISか?列強(米・仏・英・独・露)と周辺大国の利害がからみあう代理戦争ではないのか?

白髪頭でズバリと斬る -じじ放談- 2015年12月01日

はじめに

なぜ、造物主(大自然)は草食動物を創造したことに満足できず肉食動物を創造したのか?といえば、おそらく草食動物が増えすぎて環境破壊に至ることを避けるためであった。同じく、肉食動物間の食物連鎖も特定の肉食動物を増やし過ぎないための造物主(大自然)の配慮であった。

造物主(大自然)が想定していなかった数万年乃至数億年の一度の環境異変があると仮定してみる。あるいは食物連鎖の好循環が途切れる事態、又は何らかの事情によって特定の種が大量発生し世界を覆い尽くすことがあると仮定してみる。万能の神(大自然)は想定外を含むあらゆる事態を想定して幾重もの自爆装置を準備していると仮定してみる。

これ以上、我々人間には、人間が繁殖しないための自爆装置が埋め込まれている。生殖意欲と生殖機能を低下させる装置(先進国)、毒性の強い病原菌に感染させて病死を促進する装置(アフリカ等の開発途上国)、人間同士が殺しあって自然増を抑制する装置(中東やアフリカのイスラム圏)が組み込まれているように見える。天変地異による死も、病死も、交通事故死も、戦死さえも人間の異常繁殖を抑制する装置として組み込まれているように見える。人間は造物主(大自然)が設計した(繁殖し過ぎないための)防波堤を次々に突破し、異常繁殖を続けて地球環境の破壊を企てているように見える。「人間的な、余りにも人間的な」という意味は「反自然的な、余りにも反自然的な」という言葉と同義語ではなかろうか。

造物主(大自然)は自然災害、事故、疾病及び食物連鎖等、特定の種が異常繁殖しない防波堤を築いたが、さらに、念には念を入れて、個体の中に「生(エロス)」と「死(タナトス)」の自爆装置を組み込んだ。個体の生存期間を短く設定、種の繁殖活動を抑制した。生まれ落ちた個体は限定された時間に追われる如く生殖活動に励み、子孫を残すべき活動が終わると自爆装置が起動するよう設計されている。

造物主(大自然)が創造したのは動植物だけではない。国家・企業・団体・集団という社会有機体も造物主(大自然)の作品なのだ。したがって、動植物に意思があるように、社会有機体の一種である国家にも意思があるとみなければならない。国家の意思とは何か?国家の意思とは「国民の総意」とか、政府の安全保障政策や経済方針という表層的なものではない。、筆者は「変化する国策や時代状況を超越する社会有機体国家の内的衝動(情念)を「国家意思」と考えたい。「国家意思」は時代を超え、体制の違いを乗り越え、何百年も何千年も国家の在り方を規定するのではなかろうか。深層海流が黒潮や親潮の流れを規定しているように。

第1:西欧軍事介入とオリエント・コンプレックス

約6000年前、ナイル川流域で栄えた古代エジプト文明、チグリス・ユーフラテス川流域で栄えたシュメール文明は世界最古の文明といわれて いる。
シュメール・エジプト文明から派生したギリシャ文明の最盛期は約2500年前であるから、中東地域は前4000年頃から前500年頃までの約3500年間、世界文明をリードした。文明は高い所から低い所に流れる。文明の中心地がエーゲ海、クレタ島、ギリシャ、ローマと地中海を西に移動した。

古代ギリシャのアレクサンダー大王による中東遠征、古代ローマ帝国による中東遠征、中世の十字軍による中東遠征、第1次世界大戦による英仏軍の中東遠征とオスマン帝国の分割、そして第2次世界大戦以降、米国が主導した湾岸戦争・アフガン戦争・イラク戦争など、米国と西欧列強は異様なる執着心をもって中東地域に侵攻した

数百年前まで文明の僻地にあって野蛮(暴力)だけが取り柄の西欧は産業革命によって莫大な富を獲得、いわゆる富国強兵政策を推進して軍事力で他を圧倒した。西欧文明が創造したのは他を圧倒する経済力(資本主義)と軍事力(海軍)で、それ以上でもそれ以下でもなかった。西欧文明は(古代エジプト文明やシュメール文明から派生した)ギリシャ文明を源流とみなす。文明史的に見ると西欧文明は古代エジプト文明とシュメール文明の傍系の、さらに傍系に位置する。西欧知識人にとって耐え難く、かつ到底容認できない事実なのだ。

西欧人は「オリエント急行列車」を特別の感慨をもって眺めていたに相違ない。「オリエント急行列車」は東方に空間移動する便利な乗り物というだけではなく、西欧文明の源流を求める「先祖還り」という深層意識が刺激されたかもしれぬのだ。中東文明が創造した天文学・数学・哲学・宗教等がギリシャ・ローマを介して西欧に伝播した。古代日本が遣漢使・遣隋使・遣唐使を派遣し古代中国文明を吸収した如く、古代ローマもギリシャ文明(中東文明)の移入で多忙であった。現代中国が和製漢語や最先端技術の移入に励んでいるのも右に同じ。

(西欧から見て)中東地域は原油や天然ガスの宝庫であるだけではなく、「否定したくても否定できない西欧文明の源」なのだしかも西欧に移住してくるイスラム教徒は西欧文明に同化しない。西欧文明の優越を認めない。政教分離に異を唱える。「西洋人のための自由、西洋人のための平等、西洋人のための博愛」という欺瞞性を見抜いている。万人が共有できる普遍的な言葉でないことを見抜いている。

西欧文明がいう「自由・平等・博愛」はキリスト教文明圏限定版であって、イスラム教文明圏、ヒンズー教文明圏、ロシア正教文明圏、仏教文明圏、儒教・道教文明圏は適用外なのだしたがって、西欧文明側はイスラム過激派のテロに報復する権利を有し、イスラム過激派テロ集団(非戦闘員住民)を処罰できるというのである。自己を選良民とみなす一神教信者間の報復合戦には終わりがない。双方又は片方が絶滅するまで続く。

(中東から見ると)「欧米は災難をもたらす疫病神。他人の住居に勝手に侵入して室内を荒らしまわらないで欲しい」と願っていることであろう。「西欧列強はいかなる権限でイスラム教を冒涜し、他人の家を荒らしまわるのか、いい加減にしてくれ。放っといてくれ」と感じているに相違ない。

フランスにおけるイスラム過激派の無差別テロは容認できないが、西欧文明の傲慢かつ唯我独尊的な振る舞いに対する復讐という側面もある。心優しい?西欧人は世界の常識を感じる素養があるのか?選良民が間違いを起こすことはあり得ない、間違っているのは異教徒の方だと考える癖を「心の安全弁」にしているように見える。西欧文明側も異教徒の心の痛みを少しは感じるべきなのだ。

第2:ロシアの南下衝動

ロシアの国土面積は1700万㎡で世界最大、米国や中国の2倍ほどもある。しかし、日照時間が短く、農耕に適さない凍土地帯、年中利用できる不凍港がほとんどない等、経済価値は低く、使い勝手の悪い国土といってよい。「カネをもらっても住むのは御免だわ」という環境なのだ。

しかも、ソ連邦崩壊によって、バルト三国、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、ジョージア(グルジア)、アゼルバイジャン、トルクメンスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス等比較的温暖共和国が独立国家になって離脱した。結果、ロシアには旧ロシア共和国と広大な凍土地帯シベリア、カムチャッカ半島が残っただけ。

ロシアの北方は北極海、東方は太平洋・日本海、西方は人口稠密な欧州、南方はイスラム過激派が跳梁跋扈するカフカス(チェチェン)で年中使用できる不凍港を求めるのも容易ではない。先般、ロシアはウクライナのクリミア半島強奪したほか、不凍港を求めて、シベリア鉄道を北朝鮮羅先港まで延伸した。いずれ韓国フサン港まで延伸する構想だ。いかにもチマチマとした話ではある。「日暮れてなお道遠し」であるから、エカテリーナ女帝、ピョートル大帝、スターリン、ブレジネフのように戦争を仕掛けて局面を打開するか?と考えたとしても不思議ではない。

ロシアの南下衝動は帝政→共産党一党独裁→国家資本主義的専制と政治体制が変わっても微動だにしない。ロシアの普遍的国家意思といってよい。帝政ロシアの末期、ロシアは満州鉄道を敷設し、天然の良港旅順港を手に入れたことがあった。しかし、ロシアは日露戦争に敗北、旧満州地域の権益を失った。元の木阿弥になった。

ブレジネフのソ連はアフガニスタン内戦に介入、約10年アフガンを占領したが、莫大な戦費を費やし、数万人の戦死者を出して撤退に追い込まれた。欧米が支援したイスラム過激派(タリバン・アルカイダ)との消耗戦(ゲリラ戦)で疲弊しソ連邦崩壊を早めた。

プーチンはウクライナ黒海艦隊を武装解除してクリミア半島を併合。ジョージア(グルジア)に戦争を仕掛け、一部州をロシアの管轄下においている、遠くない将来、ロシアに併合する予定。そして今、ウクライナ東部の工業地帯を割譲させるべく親ロ派勢力を軍事支援して事実上の支配下に置いている。シリアの内戦にも軍事介入した。親露派アサド政権の存続とシリアにおける唯一のロシア海軍基地の確保及びロシア空軍基地の既得権化を狙っている。

戦争によって領土を拡大する、不凍港を求めて南下するというロシアの伝統は、帝政ロシア、ソ連邦、新生ロシアを貫くロシアの国家衝動であって変わることはない。

第3:習近平の露骨な強盛大国主義(膨張主義)

謀略で敵国の反抗を弱めて侵攻し、軍事占領して併合するのが秦の始皇帝以来の中華歴代王朝の伝統的行動様式である。「力による領土拡大」は国家の意思とみなしてよい。中華王朝に勢いがある時は領土が拡大し、勢いがなくなれば周辺蛮族に侵攻され領土が縮小する。したがって、領土拡大という国家意思を完遂するためには、軍事力増強を再優先する先軍国家とならざるを得ない。環境がどれほど悪化しても放置するか、又は歴史問題で日本国を恫喝し環境浄化技術を無償提供させる、又は日本外務省を騙して資金を出させるか。中共が何よりも優先すべき軍事予算を削ってまで環境浄化予算を組むことはあり得ない。

習近平は7大軍区制を4大戦区に再編し、陸・海・空3軍と第二砲兵部隊(ミサイル部隊)、宇宙戦とサイバー戦の統合的運用を行うほか、海軍と空軍の戦力を大幅に増強すると述べた。陸軍を中心に約20万人を削減するというが、雀の涙、焼け石に水だろう。この程度の節約で、米国型の軍隊編成に脱皮することはできない。世界帝国への野望だけは一人前だが、絵に書いた餅で食える代物ではない。

中共は尖閣諸島と南シナ海西沙諸島・南沙諸島を中国領と一方的に宣言し既成事実化を進めている。今後、国内法を改正し、シベリア全域、カムチャッカ半島、朝鮮半島、沖縄諸島、フィリピン、インドシナ3国、タイ・、ヤンマー、中央アジア5か国のすべてを自国領と決定し既成事実化を図る虞れもある。習近平は「国境線の変更は、自らの意思と判断で行うものであって、外部(米国)から文句をいわれる筋合いはない」と考えている。周辺弱小国の不満と抗議は歯牙にもかけない帝国主義者だ。

第4:米国の国家意識(リバランス政策)

アメリカ独立宣言(1776)から47年後の1823年、第5代大統領ジェームス・モンローは年次教書の演説において「アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉」を提唱した。その骨子は以下のとおり。

1.米国はヨーロッパ諸国の紛争に干渉しない。
2.米国は南北アメリカ(大陸)に現存する(ヨーロッパの)植民地や属領を承認し干渉しない。
3.南北アメリカ(大陸)の植民地化をこれ以上望まない。
4.独立に向けた動きがある(南北アメリカ大陸の)旧スペイン領に対して干渉することはアメリカの平和に対する脅威とみなす。

以上はアメリカ合衆国が旧宗主国であった英仏等西欧列強の干渉を排して地域大国として自立するとの意思表明であるが、旧宗主国側(英仏)から見ると殻に閉じこもる「孤立主義」と感じられた。そして、合衆国は西欧列強の干渉を排除しながら南北アメリカにおける「植民地からの独立闘争」を支援するとともに、対メキシコ戦争をしかけてテキサスを併合(1845)、カルフォルニア、ネバダ、ワイオミング、コロラド、ニューメキシコ等を併合した(1848)。

1853年、ペリー提督率いるアメリカ海軍東インド艦隊はアフリカ喜望峰、中国各地、琉球(沖縄)を経て江戸湾久里浜沖に侵入、徳川幕府を威嚇。翌年、再び大艦隊を率いて来日、徳川幕府を砲艦外交で屈服させ、250年続いた鎖国政策を解かせ、不平等条約(日米修好条約)を押しつけた。

アメリカ合衆国が南北に別れて戦った唯一の内戦・南北戦争(1861-1865)の痛手は大きく、合衆国には外征する余裕がなかった。南北戦争終結後33年、自信を回復した合衆国は、対スペイン戦争を仕掛けカリブ海におけるスペインの権益を強奪、初めて太平洋に進出した合衆国はハワイ王国を滅ぼして併合、太平洋でも対スペイン戦争を仕掛け勝利してグアム、フィリピン等スペイン植民地を強奪した(1898)

以上、アメリカ合衆国は「英仏等西欧列強との軋轢と衝突を巧妙に避ける戦略(モンロー主義)」で生まれた余剰戦力を、米国の領土拡大と権益
拡大に振り向けることができた。

アメリカ合衆国が東アジアに重心を移した契機はペリー艦隊による東アジア歴訪の大航海(1853・1854)ではなかったか。以来、合衆国の関心は東アジアに向けられた。太平洋の覇権を握っていたスペイン艦隊を撃破してスペインを太平洋から放逐、スペインに代わって合衆国が太平洋の覇権を握った。そして、太平洋の覇権を巡って戦われた日米戦争(1941-1945)に勝利した合衆国は名実共に太平洋の覇権を確立した。

その後、ソ連太平洋艦隊(原子力潜水艦部隊)の挑戦を退け、目下、中国海軍が新たな挑戦者に名乗りを上げている。広大な太平洋の覇権を維持するのも容易ではない。軍事予算の大幅削減が想定されている合衆国は太平洋(インド洋)、東シナ海、南シナ海の覇権を守るべく我が海上自衛隊との連携と一体化を深めている

先般、中共習近平総書記は「アジアの事柄はアジア人が決める。米国がでしゃばる必要はない」と語った。192年前の相互不干渉主義を唱えた合衆国第5代大統領の教書演説を彷彿とさせる出来事であった。中共は米国を東アジアと西太平洋から追い出し、東アジアの覇権国家として君臨したいとの野望を隠していない。

第5:戦略なき我が国の国家意識(吸収と内向)

我が国2000年の国家意識を見ると、(1)先進文明を貪欲に吸収する時期(突進)、(2)外国との交流を必要最小限に縮小する時期(内向)を数百年単位で繰り返してきたが分かる。紀元前後から9世紀頃までの我が国は、漢王朝との朝貢貿易、国家の財を傾けて遣隋使船、遣唐使船を派遣し先進文明を貪欲に吸収した。16世紀中葉から17世紀初頭までの数十年、我が国はポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス等西欧列強から西欧文明を吸収した。そして西欧列強の野心を嗅ぎとった豊臣・徳川政権は宣教師を国外追放、キリスト教布教禁止令を発して外交の扉を大きく縮小した。19世紀の幕末から現代に至るまで、西欧近代文明を貪欲に吸収し「脱亜入欧」の欧化政策を進めてきた。

我が国の国家意識は時代によって「外向」と「内向」の間を極端にブレる傾向がある。「あれか、これか」の二者択一的な短絡的思考が基底に宿っている。「生きるか?死ぬか?それが問題だ」というハムレット的な苦しみを抱き続ける耐性がない。「面倒くさいわ」として議論を深めないし、、情勢に応じて臨機応変に動く戦略的思考がない。我が国は「生き馬の目を抜く」ほど苛烈な新帝国主義時代を生き抜くための素質が欠落しているのではあるまいか

「無知であることを知っている(自覚している)」ことは、「無知であることを知らない(気づいていない)お隣さんより若干マシというべきか。

なお、ロシアとトルコの両大統領が険悪な関係に陥った。双方の友達を自認する安倍総理は仲介の労をとりたいと申し出たようであるが先走ると危険だ。当事者だけでなく欧米列強も警戒する。トルコとロシアの喧嘩はいずれ、米英仏独が「関係改善すべき」と唱えるはずで、我が国は機が熟するまで、待機しておればよい。周囲の求めに応じて動けば感謝され、周囲が求めないのに先走りすると警戒されるとしたものだ。「匹夫の勇」「猪突猛進」は我が身を危険にさらす。

まとめ

帝国主義列強にもいろいろなタイプがある。「力」でゴリ押しする帝国はロシア・中共であるが、かってはスペイン(無敵艦隊)も、大英帝国も、創成期の合衆国も右に同じであった。齢を経て髪が乱れ苦しくなれば、「勢力均衡」とか、「同盟国と連携して」と戦略を変更せざるを得ない。

時と、場合と、情勢によって「正解」は異なる。「正解」は時々刻々変化する。昨日の「正解」が今日の「正解」とはいえないから誰でもミスを犯す。ゴルフや囲碁・将棋だけでなく政治も「ミスの最小化を競うゲーム」と心得ておくべきだろう。欲ボケして「満塁ホームランをかっ飛ばす」などと妄想すべきではない。

列強はそれぞれ異なる国家意思を持っている。国家意思を実現するために、ある時は頑固一徹に、ある時は融通無碍に、ある時は相手に花を持たせ、ある時は相手に譲歩を迫る。その意味で、イランの外交手腕は注目に値する。一筋縄では動かない米英仏独露等列強と粘り強い外向交渉を重ね、一戦を交えることなく一定の結論を得た。ペルシャ5000年の歴史と伝統が育てた外交力かもしれぬ。 白髪爺 at 22:32
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