Entries

トランプ氏を猛追する対中批判の急先鋒、ルビオ候補--オバマ政権の対中政策を批判し「尖閣は日本領」と主張

JBpress 2015.12.16(水) 古森 義久

 米国大統領選で共和党の指名争いがヒートアップするにつれ、若手候補のマルコ・ルビオ上院議員の存在感が高まっている。とくに彼の中国に対する政策提案が注目されるようになった。

 中国が領有権を主張する日本の尖閣諸島について、ルビオ候補は「日本の領土だ」と明言している。日本にとっては目を離せない候補だといえよう。

 共和党の指名争いでは、暴言を続けながらも人気が衰えないドナルド・トランプ候補がなお支持率の首位に留まっている。その後を、元神経外科医のベン・カールソン候補、ルビオ候補、上院議員のテッド・クルーズ候補ら他の13人が追っている状況である。

 この選挙戦で共和党側候補の全員が強く主張するのは、オバマ政権の対中政策の弱さだ。とくに中国の米国官民へのサイバー攻撃や、南シナ海での領有権の一方的な拡張に対するオバマ政権の対応が非難の的となっている。いずれも、オバマ大統領のあまりに弱い対応が中国を増長させ、事態を悪化させてきたという指摘である。

 こうした非難はオバマ政権の国務長官だったヒラリー・クリントン氏にも向けられる。これから本格化する選挙戦キャンペーンの論戦では、米国の対中政策のあり方が主要争点になるとみてよいだろう。

共和党主流派の支持では筆頭候補のルビオ議員

 共和党の候補たちはこれまで以下のようにオバマ政権の対中政策を批判してきた。

「オバマ大統領は中国政府主導のサイバー攻撃と窃盗を許し、なんの対抗措置も取らないため、米国の繁栄や国家安全保障が脅かされている」(トランプ候補)

「オバマ大統領は中国の脅威に対して適切な処置を取らないから、米国はいまや新しい米軍最高司令官が必要なのだ」(クルーズ候補)

 ただし、これらは大ざっぱな政権批判にとどまっている。一方、ルビオ候補は、政権を批判しつつ体系的かつ具体的な対中政策を提示する。その点がワシントンの中国や外交の専門家たちから注目されている。

 ルビオ候補はキューバ移民を両親に持つ44歳の若手政治家である。本来の職業は弁護士だが、連邦議会の上院では外交委員会の東アジア太平洋小委員会の筆頭議員となり、外交政策に取り組んできた。とくに日本や中国との関係に関心を示し、独自の政策を頻繁に提言してきた。

 また、豊富な政策の知識があることに加えて親しみやすいオーラがあることからも、共和党の星として早くから人気を集めた。

 現時点の世論調査では、ルビオ候補は支持率でトランプ氏に水をあけられてはいるが、共和党の全候補のなかで、2~3位から5位までの間に一貫してつけている。共和党主流派の支持では筆頭候補だといってよい。

 民主党のヒラリー・クリントン陣営でもルビオ候補を最大の脅威とみているという。もしもクリントン氏が民主党の指名を得て本番選挙にのぞんだ場合、若さや雄弁さ、オーラなど、ルビオ氏が最も手ごわい強敵になるとみていると伝えられる。

ルビオ候補が唱える対中政策とは

 ルビオ候補は今年8月ごろから、新聞への寄稿や選挙演説で対中政策について明確に主張を語るようになった。11月下旬のワシントンの大手シンクタンク「AEI」での外交演説でも中国を取り上げ、オバマ大統領の政策は「中国にひたすら友好を示し、対話を求めるという融和姿勢だが、そのことがかえって中国を攻撃的で無法にさせた」と批判した

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙への寄稿では「私は大統領として中国にこう対処する」という題の論文を発表した。ルビオ候補は同論文やその他の寄稿、演説などで、次の諸点を主張する。

・オバマ政権は、中国の違法な領海拡張や不当な経済活動、国内の人権弾圧を無視して、ひたすら対話を求め、中国政府の責任を促す。しかし、効果がまったくないままである。

・対中政策の原則は、第1に「米国の強さ」を保持するめに、米国が「太平洋パワー」に留まるよう努めるべきである。第2には、米国経済を中国の果敢な攻勢から守ることだ。第3には、米国の自由と人権の保護の立場から中国の人権弾圧を厳しく非難していくことである。

中国の軍事力を抑止するために、オバマ政権の実施する国防予算の「自動差し押さえ」を止め、アジア防衛を強める一方、日本など同盟国との安保協力を深めるべきである

・中国の習近平政権は独裁統治であり、米国主導のリベラルな国際秩序への脅威となっている。南シナ海や東シナ海での脅威に対しては、必要ならばためらわずに軍事力による抑止に努める。

ルビオ候補の政見は賛同を得られるのか

 以上を総括すれば、中国側の違法で不当な行動には軍事力の行使を躊躇せず、断固、反撃する政策だといえよう。

 ルビオ候補はそのうえ、尖閣諸島についても「施政権だけでなく主権も確実に日本側に帰属する」との発言を続けてきた。その明確な主張は、中国政府当局者から非難を浴びたほどだった。

 同候補はさらに日本の民主主義や国際貢献を賞賛し、平和安保関連法の成立も安全保障寄与の国際的な拡大としてだけでなく、日米同盟の強化に貢献するとして歓迎してきた。

 大統領選での共和党候補の指名争いは、まだまだ激しく続く。ルビオ候補が指名を得るという確実な展望もまだない。とはいえ、大統領選の政策論争で中国問題が大きなテーマとなることは必至である。その論争で、ルビオ候補の政見がどのように評価され賛同を得ていくのか、日本側としては注視していかざるを得ない。
スポンサーサイト
  • コメント : -
  • トラックバック : -

Appendix

最近の記事