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中国のチベット人虐殺こそ世界記憶遺産に登録せよ!--ケント・ギルバート

web Voice 12月10日(木)12時3分配信

大失敗に終わった習近平の外交

PRCこそ「胸に手を当てて自問せよ」

 今年9月3日、中華人民共和国(以下、PRC)の習近平国家主席は、「抗日戦争と世界反ファシズム勝利70周年記念」と銘打った式典を開催し、大規模な反日軍事パレードを行ないました。

 PRCの王毅外相は、日本を標的としていることが明らかなこの軍事パレードに、海外首脳を招待すると発表した際、安倍総理を「日本の政権を握る者」と名指した上で、「まずは胸に手を当てて自問せよ」「自分の良心に尋ねてみよ」とかなり偉そうな発言をしました。

 神戸大学の梶谷懐先生によると、PRCはヨーロッパにおいても反日工作をかなり強めているそうですが、欧米諸国は、「PRCはなぜそこまで日本に絡む必要があるのか?」という疑問しかもっていません。

 そもそも、日本との戦争でほとんど戦ってすらいない中国共産党が、いったい何様のつもりでしょうか。一党独裁政権が日本を指さして「反ファシズム」と叫ぶのは悪い冗談でしかありませんが、軍事パレードへの参加は諸外国に対して、「おまえたちはどちら側に付くのだ」と迫る「踏み絵」でもありました。

 今回の軍事パレードを見ていて思わず笑ってしまった「笑点」が、二つあります。一つ目は、式典冒頭で人民解放軍が「抗日の狼煙を上げろ」「日本を東方に駆逐せよ」と合唱していたことです。おそらく、戦時中に自力で日本に勝てなかったことが、中国人にとっては、よほどのトラウマになっているのでしょう。

 もう一つの「笑点」は、この軍の合唱を報じた中央電視台(CCTV)の映像です。この映像には、第2次大戦中に撮影された、プラカードを持ってデモ行進をする中国の人びとの古い映像が挿入されたのですが、映像の途中で「服従 領軸訓示(指導者の訓示に従おう)」と書かれたプラカードの前に、共産党最大の仇敵だった国民党のリーダー、蒋介石の顔を描いた別のプラカードが掲げられていたのです(46分51秒あたり)。

 つまりこれは、「蒋介石の訓示に従おう」という映像です。何度も見直しましたが、間違いありません。

 歴史をまったく知らないのか、あるいはかなり深刻な健忘症を患っているのかはわかりませんが、これでよく日本に対して「正しい歴史認識」を迫れるものです。

「胸に手を当てて自問せよ」という有り難いお言葉は、熨斗を付けてお返し致します。

ユネスコへの対応が遅れた外務省にも落ち度

 ところで、今回の軍事パレードの参加者のなかに、その場にいるべきではない出席者が3名いました。ユネスコ(国連教育科学文化機関)のイリナ・ボコバ事務局長と、潘基文国連事務総長、そして韓国の朴槿惠大統領です。

 国際平和と人類の福祉促進をめざすはずのユネスコのトップが、いったい何の理由があって軍事パレードに参加したのでしょうか。じつは、女性初のユネスコ事務局長として知られるブルガリア出身のボコバ事務局長は、ブルガリア共産党機関紙の編集長を父にもち、自身もモスクワの大学を出たバリバリの親共産主義の人物です。

 今回の軍事パレードの直後、ユネスコはPRCが申請した「南京大虐殺文書」を世界記憶遺産に登録するという決断を下しました。しかしその手続きの詳細はおろか、登録された資料の中身さえ明らかにされていないなど、すべてが不透明なままです。PRCから裏金でももらっているのではないかと、誰もが疑いたくなります。

 一方で、土壇場になるまでユネスコへの申請を問題視しなかった日本政府にも大きな落ち度があります。古森義久氏も指摘していますが、外務省はこの問題にタイムリーな対応をとらず、また、ユネスコという国連機関の特殊性や世界記憶遺産の登録システムの特徴を十分に把握していなかったのです。

 ユネスコの内情に詳しいある関係者は「日本側はボコバ氏が自分たちと同じ価値観を持つと思って働きかけていたが、それは間違いだった」(『産経新聞』2015年10月11日)などと、信じ難いまでの「お人好しぶり」を晒しています。つまり政府も国民も、国際機関というだけで、ユネスコ側の判断や発言すべてを頭から信用し、疑わなかったのです。これはじつにナイーブで恥ずかしい姿だといわざるをえません。

 さすがの日本政府も今回の事態に対しては怒り、ユネスコ分担金の拠出停止をも検討するといっていますが、これについてPRCは「日本がユネスコを脅迫した」と非難しました。まったく、「どの口がいっているんだ」といいたいところですが、率直にいって、拠出を完全停止する必要はありません。分担金をゼロにすると発言権を失うからです。ユネスコに対する2014年度分の国別分担金は、1位のアメリカが22%。日本は2位で10・834%を占めています。ところが偉そうなPRCは6位、比率では日本の約半分の5・14%にすぎません(『産経新聞』2015年10月14日)。日本はPRCと同じ金額だけ拠出すればいいのです。

日本人は「性善説」の妄想から目覚めるべき

 今回の軍事パレードには、潘基文国連事務総長も参加しました。この人も相変わらず自分が置かれた立場を理解しているとは思えませんでした。潘氏の参加に対して菅義偉官房長官は「国連は中立であるべき」「きわめて残念」と批判しましたが、これに対し潘氏はCCTVのインタビューで「一部に、国連事務総長や国連組織が中立であるという誤解があるようだ」と反論しました。

 潘氏は、韓国での人気も高く、次期大統領候補とも噂されているので、ある意味、近い将来の日韓関係が思いやられます。しかし、この潘氏の主張は「正しい」といわざるをえません。なぜなら、国連は設立当初から、けっして中立な機関ではないからです。

 国連はそもそも、第2次世界大戦のあと、「戦勝国」が中心となってつくり上げた機関であり、日本やドイツを引き続き「敵」と見なす「敵国条項」を今日までその憲章に残しているような偏った組織です。それにもかかわらず、戦後の日本人は、国際機関というだけですべてが公平・平等だと勝手に思い込み、盲目的に国連を崇め奉り、深く信仰してきたのです。

 英語の“United Nations”を普通に和訳したら、「連合国」です。「国際」を意味する単語は無い。「国際連合」という名称は意図的な誤訳でしょう。ちなみに「世界記憶遺産」という翻訳もおかしい。“Memories of the World” のなかに「遺産」なんて単語はありません。

 キッシンジャー元米国務長官は以前、「中国は伝統的に世界的な視野をもち、日本は部族的な視野しかもっていない」と指摘しましたが、残念ながら、それも「正しい」といえます。国際社会全体がじつはルールなき「性悪説」に支配されている現実から見れば、何でも「性善説」的な思い込みで他者に接する日本人に比べ、他者を信頼せず、横柄でずる賢く立ち回るPRCのほうが「世界的な視野」をもっているといえるからです。それほど、国際社会なるものの現実は厳しいのです。

 話は少しそれますが、『森のくまさん』という有名な童謡があります。これはもともとアメリカの歌ですが、日本語に訳され、多くの子どもに歌われています。ところが、じつはアメリカの原曲と日本語の歌詞はかなり異なっていることを、多くの日本人が知りません。

 日本語の歌詞では、森のなかで熊に遭遇した女性に対し、熊は「お逃げなさい」とやさしく諭してくれます。しかし熊はその後、彼女が落としたらしいイヤリングを拾い、それを返すためそのあとを追いかけるのです。しかしアメリカの原曲は、熊が森のなかで遭遇した人間に向かって、「おまえ、銃を持ってなさそうだなあ。だったら逃げたほうがいいんじゃないのか?」という警告を発した上で、しつこく追いかけ回すという内容です。

 日本人はそんな厳しい内容の歌を、底なしの「性善説」に改変してしまうのですが、このような平和的なメンタリティこそが、国連を公正中立と信じる勝手な「思い込み」や、憲法前文にあるように「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」して、自分たちの命の安全まで委ねようと「決意」し、「憲法9条が戦後の日本を守った」という危うい妄想を信じてしまう原因でしょう。この辺りも日本人は、早急に目覚める必要があります。

「公平不偏」の国連事務総長

 国連では、潘氏の事務総長就任後に、韓国人の登用が急増しましたが、そのほとんどが「コネ登用」だといわれています。一方で、激変した職場の雰囲気に嫌気が差して、退職する他国の国連職員が続出したそうです。

 また、今回の軍事パレードには、「ダルフールの虐殺」を行なった戦争犯罪人として国際刑事裁判所(ICC)から国際指名手配されているスーダンのオマル・バシル大統領も出席していました。習近平はバシル大統領をして、「中国人民の古くからの友人だ」として熱烈歓迎、潘事務総長もこのバシル大統領と一緒になり、核弾頭を搭載して日本の大都市に狙いを定めている長距離ミサイル部隊の行進観覧を大いに楽しみました。しかし、以前国連加盟国に対して、このバシル氏の逮捕状執行に向けた手続きを取るように要請したのは、何を隠そう潘事務総長自身なのです。さすがは、「公平不偏」の国連事務総長というべきでしょうか。

 ただ私は、潘基文国連事務総長や、前述したユネスコのイリナ・ボコバ事務局長らには、心から「感謝」したいとさえ思っています。なぜなら、今回の一連の問題で、日本人の多くが、ようやく馬鹿馬鹿しい国連信仰から目覚め、国際機関の看板がいかに胡散くさいものであるかに気付き始めたのですから。

 日本政府も、片山さつき参院議員がまず抗議の声を上げ、その後に菅官房長官が厳しい口調でユネスコや潘事務総長を非難しましたが、それを見て、「あ、日本もちゃんと反論するようになったのか」と意外に思いました。これまではつねにやられっ放しだったのに、それにやっと気付いたのだなと思い、嬉しくなりました。

中国とアメリカの「踏み絵」を踏んだ韓国

 今回の軍事パレードに参加した各国首脳のなかで、ロシアのプーチン大統領を除いてとくに目立ったのが、韓国の朴槿惠大統領でした。しかし韓国は朝鮮戦争の際、突如、北朝鮮軍側に付いて参戦した100万人ものPRCの義勇軍によって、甚大な被害を受けたはずです。

 朴大統領本人の言葉を借りれば、「加害者と被害者の関係は一千年経っても変わらない」はずですが、PRCから受けた被害は、珍しく水に流したのでしょうか。

 韓国は「日本に勝利した仲間」というPRCの虚言に目が眩み、もはや冷静な判断がつかなくなっています。大日本帝国の一員として共に戦った民族によって戦後に建国された韓国が、日本と真正面から戦ったことすらないPRCと一緒になって「日本に勝った」と連呼しているという、じつに滑稽な姿を世界に晒したのです。

 朴大統領に対して憐みすら感じるもう一つの問題は、自身の行為がPRCに利用されているだけという現実に気付いていない点です。PRCは日本を攻撃する仲間を増やしたいのと同時に、自分たちの手先となって動く国がほしい。韓国を完璧な「操り人形」にしたいのです。ですから、PRCは朴大統領の軍事パレード参加にそうとうこだわり、また、参加に向けた早期の返事がなかったことに対してかなり焦っていたらしい形跡があります。

 今回の軍事パレード参加について、アメリカ政府は朴大統領に自制を求めたのですが、朴氏はそれに耳を貸さないまま飛び出し、自らPRCに忠誠を誓うという「踏み絵」を踏んでしまいました。朴大統領は、慰安婦問題と南京事件を世界に広めるという点で、いまやPRCと共闘しているつもりなのでしょう。しかしPRCは韓国をたんなる「手駒」だとしか見ていません。

 ユネスコはPRCが登録を求めた2件のうち、慰安婦問題の登録を見送り、南京事件の文書だけを登録しました。次回は中韓で共同申請するという「エサ」に食いつけば、あと2年は韓国をアゴで使えます。朴大統領は習近平の思惑に嵌まってしまったのかもしれませんね。

 このような朴大統領の外交姿勢に対し、アメリカ国内では、韓国のあまりの親中ぶりを警戒する声が上がっています。このまずい状況にようやく気付いたのか、朴大統領は今年10月に訪米して、16日には米韓首脳会談を行なったものの、オバマ大統領からは「中国が国際規範に反する行動を取ったときは、アメリカと行動を共にしろ」と対中関係での米韓の連携強化を迫られてしまい、こちらでも「踏み絵」を踏まされることになりました。

 ちなみに、希望した米議会演説は設定されず、公式晩餐会も開かれないなど、歓迎ムードはまったくありませんでした。右に左にあたふたする事大主義も、ここまで来ると滑稽さを通り越して、悲哀すら感じます。

中韓のユネスコへの申請は「諸刃の剣」

 一方、論理的な側面から見てみますと、今回のユネスコによる南京大虐殺文書の採択と慰安婦問題の不採択は、じつは中韓両国にとって「諸刃の剣」になりうるということに気付きます。

 PRCの主張によると、いわゆる「南京大虐殺」というのは、大昔の戦争の最中、1カ所で限られた時間内に行なわれた事件とされていて、一応の被害者も「南京にあった女子供を含む民間人30万人」と限定されています。しかしこういった大虐殺と見なされる事例は、ほかにも似た事件があり、南京大虐殺とPRCがいっているような事件は「ワン・オブ・ゼム」でしかありません。

 そもそも南京大虐殺は、1937年12月に起きたはずですが、国民政府を率いた蒋介石は終戦までこの件で日本を1度も非難したことはなく、またアメリカ政府が日本の戦争犯罪を徹底的に叩くつもりで全力を尽くして調査した「IWGレポート」でさえ、資料がいっさい発見できなかった根拠薄弱なものです。評論家の石平さんはPRCに住んでいた当時、南京大虐殺の話など聞いたことがなく、教科書にも載っていなかったそうです。

 事実認定できる証拠がこれだけ乏しい事件が登録されるのであれば、数千万人単位の死者を出した「大躍進政策」や「文化大革命」、あるいは現在も進行中のウイグル人、チベット人虐殺こそ、はるかに世界記憶遺産に登録される価値があります。いずれ問題提起する人も現れるでしょう。つまり、歴史問題でユネスコを利用した今回のPRCの戦略は、自らにとってはいつか「やぶ蛇」となって返ってくる可能性があるわけです。

 一方で、慰安婦問題はまったく別です。慰安婦のような戦場売春婦は今日までのすべての戦争に存在します。慰安婦を世界記憶遺産登録に採択すると、対象となる被害者は世界人口の半分を占めるすべての女性となるだけでなく、貧富の差や格差の問題にまで飛び火してしまう可能性があります。いくらユネスコといえどもこれを採択することはできなかったのだと思います。PRCの提出した根拠資料がいい加減だったこともあるのでしょうが。

 一方、今回ユネスコが慰安婦問題を不採択とした事実を日本が利用することも考えられます。今後海外のどこかで慰安婦像を建てる動きが出れば、「ユネスコも拒否したではないか」との議論を展開できるからです。

 つまり、南京大虐殺や慰安婦問題のユネスコへの申請は、中韓にとって良いことばかりではなく、自らの首を絞めることにも繋がりかねないわけです。

 10月の朴大統領の訪米中に、在米ベトナム人権団体が、ベトナム戦争時の韓国軍によるベトナム女性への性暴行への謝罪を朴大統領に要求した件はまさに象徴的です。

 これからの日本は、こうしたPRCと韓国にとって不都合な状況を、戦略的にうまく利用して戦っていくべきです。ロビイストも積極的に使いましょう。

習近平に呆れたオバマがついに軍艦派遣

 去る9月22日、習近平はアメリカを訪問しましたが、同時期に訪米していたカトリック教会の最高指導者であるローマ法王への歓迎ムードに溢れたアメリカ国内では、驚くほど注目されませんでした。

 さらに米国防総省は、習近平一行がシアトルに到着したその日に、「9月15日に中国軍機がアメリカの偵察機に異常接近した」という、1週間以上前に黄海上空で発生した事件の発表を行ないました。わざわざ習近平訪問のタイミングにこの種の発表を行なったことからも、アメリカがいかにPRCを警戒しているかがわかります。

 かつてあれほどの親中ぶりをアピールしていたオバマ政権も、いまやPRCに信頼を置いていません。その大きな理由は、PRCによるサイバー攻撃と、南シナ海における覇権拡大の動きです。

 今回の米中両政府は、互いにサイバー攻撃を容認せず、閣僚クラスの対話メカニズムを構築することで合意しましたが、自らも「被害者だ」と開き直る習近平に対して、オバマ大統領は珍しく、「問題は実行するかどうかだ。場合によっては経済制裁も辞さない」と強く迫っています。じつは、現在米中間で繰り広げられているサイバー戦争の実態は凄まじいものがあり、PRCもまた、アメリカから仕掛けられる情報戦争を極度に恐れています。なぜなら、アメリカとの情報戦争に敗北すれば、共産党政府が必死に隠しているあらゆる「秘部」が公になってしまい、人民の猛烈な怒りに火がついて、共産党による一党独裁体制の崩壊すら招きかねないからです。

 また、人工島の埋め立てと戦闘機用滑走路を急ピッチで建設している南シナ海の問題では、米中はまったく合意に至ることができず、アメリカの深刻な懸念表明に対し、習近平は「南シナ海島嶼は中国古来の領土であり、中国は合法、正当な海洋権益をもっている」と強気の姿勢を崩しませんでした。さすがにオバマ大統領も呆れ返ったらしく、ついに軍艦派遣を決断しました。

 ロイター通信は10月27日、米国防当局者の話として、横須賀基地に配備しているイージス駆逐艦「ラッセン」を南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で中国が建設している人工島の12カイリ(約22キロ)内に派遣したと報じています。

 ちなみに、今回の訪米で面白かったのは、シアトルで財界人らが参加した習近平歓迎のための歓迎晩餐会のメニューです。まず、前菜のサラダには大根が使われたのですが、その英語表記は「ラディッシュ」ではなくて「DAIKON」、続く主菜で出された「ワサビ入り」のマッシュドポテトには「WASABI」と記載されていました。また、ベジタリアン用のメニューには「EDAMAME(枝豆)」の記載もあり、極めつきは、習近平に出されたワインが1本1500円程度の「超お手頃価格」の品であった、ということです。

 到着早々シアトルのボーイング社で旅客機300機を爆買いした「国賓」に出すべきメニューにしては質素に感じられますが、あるいはこんな「辛口メニュー」も、PRCに対する日米初の「集団的自衛権行使」であったとしたら、ワサビとウィットが効いた、なかなかのメッセージであったといえるでしょう。

全世界的には「大成功」だった反日軍事パレード

 もちろん、習近平もコワモテばかりではいけないことは百も承知です。訪米後の9月27日、軍事パレードで手なずけておいた潘基文国連事務総長と共同主催した「ジェンダーの平等と女性の地位向上」のためのサミットにおいて、「中国指導部は女性の権利を尊重している」と強調しました。アメリカ国内の女性に向けたイメージ戦略のつもりだったのでしょうが、これを聞いてひっくり返った人も多かったに違いありません。

 なぜならPRCでは、今年3月8日の国際女性デーを前に、公共交通機関でのセクハラ抗議イベントを計画していた5人の女性活動家を当局が拘束するという事件が起こっており、また、2010年のノーベル平和賞受賞者で、現在投獄中の民主活動家・劉暁波氏の妻も、今日まで5年間、自宅軟禁状態にあるからです。

 習近平の国連での発言に対して噛みついたのは、自らもフェミニストであるヒラリー・クリントンでした。次期大統領選を控え、共和党候補の不動産王ドナルド・トランプ氏に対する牽制もあるのでしょうが、彼女は自身のツイッターで、「女性の権利を主張する人たちを迫害しながら、国連で女性の権利のための会議を主催する?この恥知らず!」と、習近平を強烈に批判したのです。

 今年4月の米議会演説において、安倍総理は、「女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません」と女性の権利向上に言及し、スタンディング・オベーションを受けました。安倍総理を意識した習近平の試みは失敗しましたが、そもそも訪米自体が大失敗だったというべきでしょう。アメリカはもはや、自らの言行不一致を恥とも感じない「二重人格」と、軍事面での「好戦性」、法律の運用や経済における「不透明さ」を解決できないPRCを信用できないのです。約束の履行さえ期待できない国家と、TPPのような国際協定を結べるはずがなく、「人民元」の国際通貨化もありえません。

 今後のさらなる市場開放を求めていく上で、アメリカはPRCの社会を民主化したいと願っていますが、それは中国共産党による一党独裁体制の崩壊に直結しますから、彼らには受け容れられないでしょう。

 PRCのように、公にできない「袖の下の怪しい関係」で物事を推進する国は、透明性を最も嫌います。しかし、透明性を確保しないかぎり、PRCが本当の意味での先進国の仲間入りを果たし、また日米をはじめとする諸外国から本物の信頼を得ることはありません。

 反日軍事パレードと習近平の訪米は、PRCの「二重人格」と「好戦性」、および「不透明さ」を世界にアピールし、善良な日本人に国際機関の胡散くささを気付かせたのみならず、親中一辺倒だったあのオバマ大統領に、人工島への軍艦派遣を決断させたという点で、全世界的に見れば「大成功」だったといえるでしょう。
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