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自民党安倍内閣による「1強多弱体制の強化」と、民主党の分裂・解党について考えてみる。

白髪頭でズバリと斬る -じじ放談- 2016年01月21日

はじめに

原油価格(WTI)は1バーレル30ドルの防波堤をあっさりと突破し、28.8ドルに急落した。底値は未だ見えない。これに連動して、鉄鉱石・石炭・天然ガス等の鉱物資源価格も急落した。資源産出国を初め発展途上国経済の悪化と通貨安が資金流出(キャピタルフライト)を誘発し、これが当該国経済のさらなる悪化をもたらす「経済悪化のスパイラル現象」が始まった。

今回の世界恐慌は「中国の公共投資バブルの崩壊→天文学的不良債権と過剰生産設備の発生→中国実体経済の崩壊と金融危機の発生→原油等資源価格の暴落→資源輸出国経済の崩壊→商品市場・消費市場の縮小→先進国経済の悪化懸念→世界株式市場の連鎖的暴落→」という特徴がある。

2007年頃から始まった米国発世界恐慌(金融危機)は主として「サブプライムローンによって創生された住宅バブルが崩壊し、天文学的な不良債権が発生した」のであったが、中国発世界恐慌は中国共産党中央・中央政府・地方政府が総力を上げて取り組んだ公共事業(高速鉄道、高速道路、大規模ダム・水路、住宅・都市など建設)のバブルが崩壊した」ことに特徴がある。ダムが崩落した中国発世界恐慌は、堤防が局所的に決壊した米国発世界恐慌(リーマン・ショック)とは比較にならないほど世界経済に大きな打撃を与えると推定されるのだ。我々は1920年代末に始まる世界大恐慌の再来を想定し備えを固めるべきである。

第1:日本の政治風土

我が日本民族は良く言えば「融通無碍」、悪く言えば「無節操」を特徴とする。原理・原則を神棚に奉りながら、情勢に応じて柔軟に運用し、解釈を変更する。天皇親政の律令体制下にあって、天皇の外祖父になって君臨した太政大臣藤原道長は「この世をば我が世とぞ思う望月の・・」と詠んだし、豊臣秀吉は関白に任ぜられて武家による統一政権を樹立、徳川家康は征夷大将軍に任ぜられて幕府を創設、260年に及ぶ幕藩体制を統括した。最高権力者は律令体制(天皇制)を温存し、自らの権力を天皇の権威で裏書して堂々と権力を行使した。職務権限を拡大解釈して政治を行ったといってよい。

朝廷(天皇)の権威と最高実力者の権力、名と実の二重構造こそが我が日本政治の特質であり風土なのだ。サミュエル・ハンチントンが「日本文明は世界から孤立した異質な文明」と言わざるを得なかったのも、近代西欧文明の「二元論」では解釈できなかったのであろう。日本文明は原理原則から逸脱した異常なる非定型文明と規定せざるを得なかった。二元論では解釈できない日本文明、ハンチントンは「何をやるか予見できない、気味の悪い日本民族」と感じ、警戒したのではなかろうか。「黄禍論」以来の白色人種の被害妄想ではあろう。彼らには、西洋キリスト教文明の物差し(2元論)では測定できない世界を「異端」とみなし、「排除すべき敵」と感じてしまう心性があるのではなかろうか。

我が国が、憲法第9条(武装放棄)を改正することなく、拡大解釈によって世界有数の軍事力を備えるに至っていることは、律令体制下にあって政治の在り方を一変させた幕藩体制に比べると、それほど重大な出来事ではあるまい。我が日本民族は有史以来、基本的ルールを温存したまま、情勢の変化に適うよう政治の在り方を改編してきた。幕末、大老井伊直弼が締結した日米修好条約は天皇の勅許を得ていない(適正手続の不備)ことが問題とされたのであって、条約の内容(不平等条約)は二の次であった。

水戸浪士を初めとする勤皇の志士にとって、朝廷(天皇)の権限を侵奪した大老井伊直弼を許すことはできなかったから、江戸城に登城中の井伊直弼の行列を襲撃し天誅を加えた(テロ)。自らが「正義」と信じる(目的)ためになされるあらゆる行為(手段)は正当化されるとすれば、中国共産党がいう「反日無罪」による暴力行為や、米国の原爆投下・ベトナム戦争・アフガン戦争・イラク戦争や、ロシア軍のウクライナ侵攻や、ナチスのユダヤ人虐殺やISの無差別テロ等すべての非人道的な戦時体制下における行為を容認しなければならない。修羅の戦場においては「暴力こそ正義」なのだ。

我が安倍総理は「積極的平和主義」の旗を高く掲げ世界中を駆けまわっているが、何しろ我が民族の性向は「融通無碍」「無節操」など情勢に応じて自在に動くと見られており、周辺国が警戒する背景となっている。ただし、可変的なのは我が日本民族の表層意識であって、深層意識においては普遍に拘ってきたとみなしてよい。我が日本民族(大倭)は7千年以上も前から太陽神を崇め、太陽神の祭主たる天皇を尊崇してきた。世界に類をみない古代文明の嫡出子なのだ。したがって、総理大臣たるもの靖国神社への参拝を一部省略することがあっても、太陽神が出向されているはずの伊勢神宮への参拝を怠ることは許されていないのだ。

第2:我が国の政治情勢

自民党が「自由と民主主義の価値観を共有し、天皇制を護持し、資本主義体制(私有財産制)を擁護する政党」であるとすれば、その対極にあるのが日本共産党だ。日本共産党の党是は「共産党一党独裁政権の樹立、天皇制の廃止、資本主義体制の打倒(私有財産の否定)」である。自民党と日本共産党は決して融合することのできない「不倶戴天の敵」である。

そして、その中間に、民主党、社民党、公明党、生活の党、維新の党、おおさか維新の会、社民党などが分散している。中間政党は、自民党に親和的な保守グループと、共産党に親和的な左翼(リベラル)が混在し、離合集散を繰り返す。時と、場合と、課題によって左右にブレ動揺を繰り返す。

我が国の政治は目下、自民党の引力、日本共産党の引力、中間政党の引力という3つの異なる方向性をもったベクトルで動いている。1991年の冷戦終了直後、我が国では不動産バブルが崩壊し金融危機が襲った。政治的・経済的動乱の時代(失われた20年)が始まった。そして、自民党から小沢・羽田一派らが離脱、民主党・日本新党・みんなの党・維新の会等の中間政党が雨後の筍の如く生まれ跳梁跋扈した。

我が国の政治的・経済的混乱と賞味期限の切れた自民党政治に対する国民の怒りが中間政党に活躍する場と、力と、チャンスを与えた。しかしながら、細川内閣(8党連立)も、民主党内閣も、政権を運営できる準備をしていなかったため千載一遇の好機を生かすことができなかった。中間政党は「何でも反対」の楽な野党ぐらしに慣れ親しみ、政権運営を担う胆力と能力を培う努力を怠っていた。

(現下の政治思想別政党図)

1.与党(自民党を除く)

(1)公明党(衆院35人,参院20人うち7月改選9人)

公明党は創価学会政治部が立ち上げた政党で、現在でもその体質は変わっていない。創価学会は現世利益を第1とする日蓮正宗の信者団体として宗教法人格を取得したが、日蓮正宗から破門されたから自動的に宗教法人としての適格性を欠いていると思料されるところ、宗教法人格を失ったという話は聞かない。おそらく、公明党の政治力によって宗教法人としての既得権を維持しているのであろう。これが、公明党が政権与党に留まりたいと欲する最大の理由であろうが、その他、山口代表は「安倍内閣の暴走にブレーキをかける役」と公言し、現世利益を求める学会員や公明党支持者が期待する福祉制度の充実を図ることに執念を隠さない。福祉政策の充実等現世利益をもたらすことが創価学会(公明党)のレーゾンデートル(存在意義)であり、組織維持に不可欠と認識されている。自公連立政権において、公明党は最大の利権官庁である「厚生労働省」と「国土交通省」に狙いを絞り担当大臣を送り出してきた。

2.野党

(2)おおさか維新の会(衆院13人、参院7人うち7月改選2人)

「大阪副首都」をテコにして「中央集権から地方分権へ」との政治構造の抜本的改革を志向する。憲法改正や安全保障では安倍内閣に協力し(貸しをつくる)、安倍内閣の支援を得て(テコにして)、自らの政策を前進させ実現する戦略を描く。自民党大阪府連と犬猿の関係にあった橋下徹前大阪市長が引退したこと、自民党大阪府連会長が柳本卓治(反維新)から、安倍総理直系の中山泰秀前外務副大臣に交代したことで、大阪維新の会、自民党大阪府連、公明党大阪府連の関係が改善された。14日の公明党大阪府連年賀会に招待されたのは、松井一郎府知事(代表)と吉村洋文大阪市長(政調会長)、自民党大阪府連中山泰秀会長、竹山修堺市長らであった。

松井一郎代表は同年賀会に出席していた公明党本部山口那津男代表に対して「公明党と一緒に大阪の政治を(前に)進めたい」と話しかけた。(公明党大阪府連は)昨年の年賀会では(大阪維新の会の)招待を見送ったが、昨年11月の大阪ダブル戦での松井・吉村両氏の圧勝を受けて招待した。」(アサヒ・コム1.14.16:47より抜粋。( )内は筆者)

目下、大阪維新の会は大阪府と大阪市の行政を前に進めるため、自公両党との関係を改善し、事実上の「自公お」の3党連立政権を試行して、近未来の「政権与党入り」を狙っているのだろう。一度、破綻した信頼関係は一朝一夕に改善することはできないから、実績を一つづつ積み上げる以外にない。信頼を壊すのは一瞬だが、信頼を回復するのは容易ではない。

(3)民主・維新・無所属(衆院93人,参院59人うち改選42人)

維新の党参院5人(いずれも比例当選)は参加せず別会派を結成。民主党を解体し新党を結成しなければ、維新の党参院議員は「正会員」としては認められないため、生き残るための必死の抵抗策だろう。維新の党衆院21人の大半(小沢一派残党組ら)も比例当選であり、江田憲司は「民主党解体と党名変更」を合体の条件として提起、足元が定まらない岡田・枝野執行部を脅迫している。

野党の再編なしで参院選に突入した場合、民主党・新緑風会の参院は改選42人で前回並みの当選とすれば、参院は現在の59人から30人台に激減する。岡田・枝野執行部としては「何が何でも野党再編の数合わせをして与党と対峙しなければ惨敗必至」と考え夜も眠れない。背水の陣で臨んでいる。政策の一致も、イデオロギーの違いも念頭にない数合わせゲームであって国民を愚弄するものといわれても抗弁できまい。このような弥縫策で国民を振り向かせることのできる魅力ある政策を打ち出すことは思えない。

民主党には旧日本社会党左派系(横路孝弘ら)と、自民党に親和的な保守が混在している。なお、左翼の首領輿石東(日教組山梨)と極左弁護士の親分江田五月が引退することになった。民主党において左翼勢力の減退は避けられない。なお、保守では山口壮(元外務副大臣)や松本剛明(元外務大臣)が離党した。山口壮は自民党に入党、松本は目下のところ無所属である。以上、左翼も勢いを失い、保守も櫛の歯が抜ける如くで、民主党の活力はさらに低下する。流れ解散コースか?

岡田代表は維新の党(江田一派ら)を懐柔するために、国家公務員の2割削減、公務員賃金の抑制等で合意。地方公務員の待遇は国家公務員に準じるものとされているから、民主党最大の支援団体(自治労・日教組)が激怒しているのではなかろうか。いわゆる「小さな政府(地方分権)」「規制撤廃」を第1に掲げる江田一派にとって、親方日の丸の自治労・日教組は真っ先に駆除すべき害虫に見えているはずだ。岡田代表は政治音痴で民主党の主要な応援団の意向が見えていないから、いずれ猛烈な抗議を受け江田憲司との約束を撤回し方針変更することになる。「なかったことにしてくれ」と謝罪に追い込まれるはずだ。

また、岡田代表は共産党志位委員長が唱える「野党が結集し参院選を戦う国民連合政府構想」に飛びつき賛同したが、民主党最大の応援団「連合」が「共産党排除」を打ち出したため方針を転換した。「国政選挙で共産党と共闘することはない。民主党候補を共産党が応援することはあるかもしれないが」にトーンダウン。要するに、岡田代表が取り組んでいる「野党との連携」には、戦略もなく、戦術もない、支援団体との調整も経ていない「その場の思いつき」なのだ。だから方針がくるくる変わる。

(4)日本共産党(衆院21人、参院11人うち改選3人)

日本共産党は党員の高齢化と赤旗読者の減少等党勢が右肩下がりの衰弱傾向にあるが、目下、左翼にとっては民主党にも、社民党にも期待できないから、唯一、日本共産党が左翼の受け皿になっている。かつ、前回の衆院選では小選挙区すべてに、前回の参院選でも全選挙区に候補者を擁立する人海戦術が一定の効果を上げた。前回の参院選では+4の7人、前回の衆院選でも約2倍増に躍進した。

仮に、今回の参院選(又は衆参同日選)で、共産党が立候補を絞込み、無所属の野党統一候補を擁立したとすれば、共産党の比例得票率は下がることはあっても上がることはない。志位和夫が掲げる国民連合政府を実現するための野党候補の一本化は「衆院解散による衆参同日選挙」を仕掛けられた場合は、前回衆院選で躍進した比例区での苦戦は免れないだろう。

ところで、ソ連邦崩壊(冷戦終了)によって、東欧の共産党(独裁政権)とイタリア・フランス等西欧の主な共産党は解体又は党名変更に追い込まれた。宗主国ソ連が崩壊したから自然の成り行きであったといってよい。しかるに、東アジアでは冷戦が終わっていないから、中国・北朝鮮・ベトナム・ラオス・カンボジア等共産党独裁政権が今も存続している。しかも先進国で共産党が存在しているのは唯一、日本だけ。つまり、東アジアの各国共産党の盟主中国共産党一党独裁政権が崩壊(東アジアの冷戦終了)すれば、自動的に日本、北朝鮮、ベトナム、ラオス、カンボジア等各国共産党も解体するか、党名変更に追い込まれる。中共が好きな「歴史を鑑にして」眺めて見るとそうなる。

(5)その他

生活の党と○○のなかまたち(衆院2人、参院3人うち改選2人)と、社会民主党・護憲連合(衆院2人、参院3人うち改選2人)は目下、日本共産党の補完勢力となっているが、まもなく政党要件を失い党名が消えるし、政局云々する力はない。

「日本のこころを大切にする党」という記憶されにくい、長たらしい党名の政党と新党改革は遠くない将来、自然消滅するか又は自民党に吸収される。

第3:自民党安倍内閣による野党対策の特徴

自民党大阪府連は「清和会・安倍派」の幹部塩川正十郎元蔵相や中山太郎元外相(現中山泰秀大阪府連会長の父)が取り仕切るシマであった。彼らが引退した後、谷川秀善、柳本卓治らに格落ち、自民党大阪府連を統括することが困難になった。自民党大阪府議団・市議団等の中堅・若手が立ち上げた大阪維新の会(自民党を除名するぞと脅され集団離党)は設立当初から安倍親衛隊的な雰囲気があった。菅官房長官は「連絡将校」という役割を引き受けているのであろう。女房いな参謀たるものは「主人ができない汚れ仕事」を一手に引き受けなければならない。眉一つ動かさず、取り仕切っている姿を外野席に披瀝しておかなければならない。

安倍総理と菅官房長官が橋下徹と松井一郎を呼んでたびたび慰労するのは、「野党分断工作の一環」ではなく、官邸が「おおさか維新の会」を直参旗本とみなしている証拠だ。これまでの自民党大阪府連には三河以来の譜代大名もいたが、「いざ鎌倉」という場面でどちらに転ぶか分からない外様大名もいた。目下、直参旗本の中山泰秀前外務副大臣(清和会・細田派)を送り込んで自民党大阪府連の再建を担わせている。

1.民主党の内紛に介入し、民主党の分裂を促す

民主党の事実上のオーナーで最大の支援団体は日本労働組合総連合会(連合)であるが、連合は日本社会党を支持する官公労中心の総評と、民社党を支持する大企業労組(労使協調)が中心の同盟および中立労連が合流したもので、発足当初から内部に深刻な矛盾と対立を抱えていた。日本社会党(総評)は日米安保条約廃棄路線であり、民社党(同盟)は日米安保条約容認路線であった。「連合の労使協調主義」に反発する日本共産党系の自治労連(自治体労働者)、全教(教職員)、国公労連(国家公務員)等が全国労働組合総連合(全労連)を結成し対峙した。

なお、公務員労組では「連合」傘下の単産(自治労・日教組)と「全労連」傘下の単産が(自治労連・全教・国公労連)が減少している組合員の争奪戦(ゼロ・サムゲーム)にしのぎを削っている。政治音痴の岡田代表が「共産党が提案している国民連合政府実現のための野党共闘」に色気を見せ、乗る気満々になったから連合幹部が激怒し、岡田代表を叱りつけた訳だ。「連合の意向も聞かず、勝手な真似をするのであれば、民主党支持を見直すぞ」と脅しつけた。

民主党や連合にとって「原発再稼動問題」「憲法改正問題」および「安全保障問題」は鬼門なのだ。触ると内部対立が激化する。左に引っ張られ、右に引っ張られるから一貫した方針がとれない。無理にどちらかの方針を打ち出すと組織が分裂する。前述の課題についての国会審議において民主党が「安倍内閣の揚げ足取り」と、「適正手続瑕疵論」を繰り返すのも、内部分裂を避けるための苦肉の策だ。国民はシラケるばかり。

民主党は「親中左派」と「親米保守」の内部対立に加え、維新の党(江田一派)との統一会派結成に踏み出したことで新たな火種を抱え込むことになった。旧総評系の官公労出身の議員は「大きな政府」と「親方日の丸」の最大の受益者である。「小さな政府」と規制撤廃・既得権解消のグローバル経済を志向する江田一派が打倒すべき敵が民主党最大の応援団(自治労・日教組)なのだ。安全保障、憲法改正、原発再稼動であれば、「適正手続瑕疵論」と、「安倍内閣の揚げ足取り」で何とかその場を取り繕うことができたが、民主党応援団の生活と処遇に直結する公務員賃金の2割カット等「民主党・維新の党の合意事項」が、国会審議や参院選で貫けるとは思われない。

戦国時代であれば、構造的矛盾を抱え、内紛が絶えない城(民主党)を攻略する有効な戦法は「調略」である。目星をつけた有力武将を懐柔して謀反を起こさせ、城を無血開城に追い込むこと。そういえば、倒幕軍の総大将西郷隆盛は幕府の全権委任大使勝海舟を抱き込み、江戸城を無血開城させることに成功した。もっとも、総理官邸が直接、民主党の内紛に介入するとは想定できないが、論功行賞目当に、何者かが先駆けすることはあり得る。密かに、民主党内に工作員を潜入させ、内部撹乱工作を仕掛け、又は一本釣りしていないとはいえない。以上の撹乱工作は「成功すれば」勲一等の評価となるが、「成功しなくても元々」で相応の叙勲は期待できる。戦争が始まる前に敵陣を撹乱するだけでも立派な勲功なのだ。

ところで、民主党のホープといわれていた山口壮(野田内閣外務副大臣)は民主党を離党し自民党に入党、二階派に所属している。先般、松本剛明元外務大臣が民主党を離党。両氏が民主党を離党した背景は明らかではないが、おそらく、外交・安全保障政策について岡田・枝野執行部の容共左派路線(何でも反対の)、非現実的な反米親中路線に反発したものであろう。山口・松本両氏と同じ感覚の民主党衆参議員が少なく見積もっても20ー30人はいるであろう。民主党は「分裂」か、「ジリ貧」かの岐路に立っている。

2.民主党の支援団体又はシンパを切り崩す

4月から、反自民・反安倍の旗手であったニュースステーションの古舘某とクローズアップ現代の国谷某が姿を消す。民主党政権を誕生させてやったと豪語していた左翼がテレビ業界から閉め出さている感じだ。むろん、これは官邸が指図したものではなく、NHKや民放各社の経営方針で行った人事であるから、門外漢がイチャモンをつけることは控えるべきだろう。日本国憲法第21条によって「報道の自由」は保障されている。

日本医師会は民主党支持から自民党支持に回帰した。反安倍内閣の急先鋒であった全国農協中央会(全中)は「農協法や同関連法」が改正され解体されることが決まった。自民党の支持団体というだけで自動的に利権を保障されるものではないことが明らかになった。

大企業労組(単産)も官邸の後押しとアベノミクスの恩恵によって3年連続賃上げを勝ち取ることができたから「そろそろ民主党単独支持を改めるか?」と迷い始めていても不思議ではない。先般、朝鮮日報電子版(日本語版)は「在日韓国人系「民団」が民主党支持から自民党支持に鞍替えすべきか?」と苦悩している旨報じていた。民主党政権誕生に尽力した「民団」は自民党政権発足後3年、政権とのパイプが途絶えた。外国人に地方参政権を付与する法案と人種差別禁止法案の審議がストップし休眠状態に陥っている。民団としては、これら懸案の法律を成立させるためには自民党に擦り寄り、自民党応援団に鞍替えして安倍内閣のご機嫌をとるべきだという。民団は「安倍自民党とのパイプを持たざるリスク」に不安を感じている様子なのだ。

田中内閣以降の親中・親韓政権のように、我が国が一方的に貢ぐ贖罪外交は今や見る影もない。安倍内閣は民主党政権のように中韓両国に甘くはないし、何かを得るためには、より大事なものを失うかもしれぬとの覚悟を求める。安倍内閣との交渉では贖罪外交のように「濡れ手に粟」の大儲けを期待すべきではないのであって、先般の「慰安婦問題に関する日韓合意」のように「51対49」の結論に導き、双方が「赤い血」を流さなければならないのだ。これが「普通の国家間における外交交渉」というものだ。これまでの日中交渉・日韓交渉が異常であり、我が国は中共と韓国を甘やかし過ぎた。そして、彼らは「日本との倒錯した異常な関係」を当為と考えるようになっていた。

自民党安倍内閣を支援する団体が増えれば増えるほど、パイの分前が減る。支援団体が期待する優遇策を得られない事例が増える。「自民党安倍内閣を支援するメリット」が減るから、民主党支援に鞍替えするかと考えなおす団体があっても不思議ではない。この場合「自民党安倍内閣を支援しないデメリット」が判断基準となる。自民党安倍内閣を支援しないデメリットを回避する(リスクヘッジ)ためには、「掛け捨て保険」が有効であることを知る。「利権付与や便宜供与(アメ)」だけでは強欲な国家・団体・個人を統括することはできない。時には「利権剥奪や不利益処遇(ムチ)」によって威嚇することも必要だろう。戦国乱世(下克上)にあってでは、油断大敵、いつ何時寝首をかかれるか分からない。

第4:政権交代可能な二大政党制の賞味期限は切れたのか?

いかなる政治体制であっても政権交代はある。徳川幕藩体制、帝政ロシア等の君主制国家及び共産党一党独裁国家では政権交代の周期が長い。北朝鮮では建国後3代目、一政権が約30年、中共では毛沢東・4人組・華国鋒・鄧小平・江沢民・胡錦濤・習近平で、一政権平均が約10年となる。

北朝鮮の場合は、父親の独裁政権を支えた側近とその一族郎党を尽く粛清し銃殺する等して恐怖政治を断行、名実共に独裁者となって君臨する。中共の場合は、鄧小平・江沢民・胡錦濤の3代は仲間や一族郎党を党中央、中央政府及び中共軍の最高幹部として抜擢することで権勢を固める傾向があったが、習近平は、仲間や一族郎党を抜擢して登用する点は前例踏襲しつつ、合わせて江沢民一派を尽く粛清(処刑)したほか、胡錦濤一派の粛清(処刑)にも着手する等、次第に、北朝鮮型恐怖政治と近似した政権交代になりつつある。

仮に、日本共産党や社民党が主張するように、すべての議席を比例代表選挙で選出したとすれば、おそらく中小政党が10も20も誕生するであろう。つまり、多党連立政権が常態化し、政権与党間の意見対立が発生すれば政権が崩壊し、新たな組み合わせを模索せざるを得ない。イタリアの如く何か月も政権を樹立できず政治の空白が度々訪れることになる。安定した政権運営が不可能となる。もっともロシアのように、例えば、比例得票率が5%以下又は10%以下の政党は議席を獲得できないと予め決めておけば小党分立を防ぐことはできる。

すべての議席を小選挙区で選出するとした場合、中小政党は生き残ることができないから「政権可能な二大政党制」になる可能性がある。多様な国民の意見を無理やり二大政党に集めた場合、例えば米国の民主党や共和党の如く「党内の意思統一」は断念しなければならないし、我が国のように党議拘束をかけることはできなくなる。民主党オバマ政権が推進するTPPに民主党上院・下院議員の相当数が反対し、共和党の大半が賛成するというネジレ現象がテーマごとに発生して政治が混乱することもある。大統領の所属政党と議会の多数派が異なり、野党が予算を人質にとって政権を立ち往生させることもないとはいえないのだ。

二大政党制は英仏独でも定着してきたといわれているが、ドイツでは多党化が進み、第1党と第2党が連携して国政を担う大連立政権を立ち上げた。英国では第3党・第4党が躍進しており、二大政党による政権交代から連立政権に転換せざるを得ないだろう。そしてルペン党首の率いる国民戦線が第1党を狙う勢いを見せているから、中道右派と中道左派の大連立時代が訪れることになろう。

韓国の二大政党はそれぞれ分裂含みであり、それぞれ離合集散を繰り返すはずだ。国会審議も紛糾し、必要な法案が審議されないまま放置されているとメデイアの報道もある。かつ、北朝鮮や中共と同様、前大統領や同側近とその一族郎党の犯罪を暴き出し、収監することが慣例となっている。前政権の悪事を暴くことが、現政権の正当性を保障すると考え、躍起になって血祭りに上げているのかもしれぬ。韓国と同様、軍事独裁政権から民主主義国家に移行した台湾の政権交代にも前総統を獄舎にぶち込む行為があったが、どの程度成熟したか要経過観察だろう。「歯には歯を、目には目を」という諺があるし、怨念も残っている。

第5:政権交代のメリット・デメリット

「溜水にボウフラが湧く」ように、権力が固定化し動かなくなれば腐敗するといえるであろう。しかし、短期間のくるくる変わる政権は腐敗しないとはいえないし、長期政権であるとの理由だけで必ず腐敗すると断定することもできない。

権力者は甘い樹液を出してくれる大木であり、多様な昆虫が蜜を求めて集まってくる。ある人物を支援し、その人物が目出度く最高権力者に登り詰めた時は、一族・郎党と支援者が「もっとも美味しい蜜にありつける」ということになる。その意味では、韓国でも米国でも異なる点はないが、豊かな米国では上品に上手くやるが、貧しい韓国では手当たり次第にかぶりつくから刑事事件に発展する。

1990年代以降の連立政権時代は「失われた20年」といわれている。政権は1年単位で政権が交代、デフレ経済で国民総生産もやや右肩下がり、労働者の賃金も大きく下がった。国債発行残高だけが右肩上がりで積み上がった。政権交代をやり過ぎたデメリットは、小泉内閣5年の金融改革と不良債権の処理を除いて大局的・戦略的・抜本的な改革を行うことができなかったということだ。外科手術をすべきなのに、短命政権であったから内科治療で誤魔化し容体を悪化させてしまったのだ。

短命政権は「腐敗の程度は軽微」といえるが、「やるべき事を為さない」という不作為の悪を撒き散らす。長期政権は「権力の集中が進行し、腐敗度も深まる」という危険性があるが、うまくやれば、国家100年の礎を築くことができる。危険を冒さないで安全牌を捨てるよう努めるか?(ジリ貧コース)、それとも若干の危険を犯して勝負を賭けるか?(満貫狙いコース)の選択の問題であって善悪の問題ではない。各国の生き方・死に方の問題に過ぎない。

まとめ

二大政党制の発祥地であった西欧社会は今、多党分散化又は三極化が進んでおり、連立政権が常態になった。「二大政党による政権交代」という図式は例外中の例外になった。我が国でも約20年前から、8党連立政権(細川内閣)、自社さきがけ政権、自公保連立政権、民主・社民・国民新党3党連立政権等が誕生しては消えた。

以上の経緯を踏まえると、仮に自民党が参院で単独過半数を獲得しても自民党単独政権に戻ることはあるまい。自民・公明の選挙協力が深まり、自民党が独力で勝ち取った議席ではないから、公明党が離脱を申し出ない限り自公連立政権は続く。問題は、自公連立政権が「おおさか維新の会」や少数政党にウイングを広げ、憲法改正の発議要件(衆・参両院議員定数の各3分の2以上)を目指すか否かであろう。

(以下は仮説である)

民主党が分裂する時期は?早ければ参院選前の4月頃、遅くとも参院選又は衆参同日選の直後となろう。民主党の軍資金が払底し、民主党に在籍しても当選確率が20%以下となれば、民主党衆参議員が液状化現象を起こす。小政党単位に空中分解するか、あるいは三々五々流れ解散となるかのいずれかであろう。おそらく、生活の党、社民党は参院選又は衆参同日選で政党要件を失い消滅する。維新の党は江田憲司ら小選挙区当選組若干名を除いてほぼ壊滅。

参院選では改選議席が多い民主党(42人)が半減、維新の党(4人)、日本を元気にする会(3人)、生活の党(2人)、社民党(2人)は実力相応に議席を減らす。参院選で改選議席の少ない日本共産党(3人)と、おおさか維新の会(2人)は若干の議席増。衆参同日選となれば、衆院で基礎体力がない維新の党以下弱小政党は淘汰される。

参院選又は衆参同日選を経て、自民党、公明党、おおさか維新の会、民主党内保守分裂し、憲法改正の発議事項について協議を始める。その過程を通じて、徐々に「大連立与党体制」を構築する。これに反発する反体制の日本共産党は左派・極左系議員をかき集め急進左派連合を立ち上げる。かくして、我が国は、大連立与党と反体制の急進左派連合の二大政党に収斂される。

世界経済は今、世界の同時株安、原油の大暴落、通貨の下落、実体経済の失速等、世界大恐慌の再来を思わせるほどの危険材料が次々に発生している。このような時代の荒波を乗り切っていける知力と体力の差が生死を分ける。

我が国は世界有数の資産国家である。だから世界は、破産国家予備群となりそうな国の通貨を売って、安全な国の通貨(円)に乗り換える。円を買う者が多いから円高になる。現在、通貨が上昇している「円と米ドル」は「大恐慌の勝ち組」と見られているのであろう。

如何なる困難をも乗り越えることのできる、我が国の経済力にふさわしい、強力で安定した保守政権を樹立しておきたいものだ。

白髪爺 at 00:22
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