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2016年“第3次世界大戦”は始まっていた(1)「2008年米国の一国支配が崩壊」

Asagei plus 2016年2月2日 1:55 AM 渡邉哲也

 中東の大地には連日ミサイルや爆弾が降り注ぎ、欧米では報復テロにより多くの市民が犠牲となっている。中国の人工島の周辺ではアメリカが軍事作戦を展開、朝鮮半島では核実験が行われた。そう、世界構造は激変したのだ。人知れず開戦した「第3次世界大戦」、日本列島はすでに戦時体制に突入している‥‥。

「世界はすでに戦時体制下に置かれている」
 日本のメディア報道を見ていると、これに気づいていない人が多いと言えよう。
 ここ2年、頻発した世界の安全保障体制を揺るがす事件を列挙しよう。

 14年2月欧州で「ウクライナ危機」が勃発。NATO体制が復活して、再構築が行われようとしている。対国家ではないものの、「IS」(イスラム国)に対して中東では空爆が行われている。軍事アクションを起こしているのは、第1.2次大戦のキープレイヤーとなった国である。

 15年10月27日には、アメリカが軍事オペレーション「航行の自由作戦」を開始することを発表。同時にフィリピンやインドネシア、NATO諸国もこの作戦に賛同、日本も同様である。アジアにおいては、南シナ海問題を中心に、アメリカが中国と直接的敵対関係を明確にしたことは明らかだ。

 2年前、今のような世界の環境が生まれると想像した人はいただろうか。ほぼいなかったに違いない。現在が「平和」であると言えるのだろうか? 決して言えるわけはない。これらの事態へ至る経緯を、過去に遡ってみてみよう。

 アメリカを代表とする西側の資本主義・自由主義経済の勝利によって、共産主義は弱体化し、東側体制は消えると、多くの人が思っていただろう。冷戦構造終了後、敵のいなくなったアメリカによる、ワンルールによる世界の統一が行われた。これこそが、「グローバリズム」の実態である。

 アメリカが金融資本世界を跋扈して、世界中の富を操ることによって一種の一国支配構造が生まれた。中国にしてもロシアにしても、アメリカという経済体の中に依存し、アメリカ資本を受け入れることによって経済発展をしてきた。そこにおいては、日本もキープレイヤーの一つとして、中国に出資、投資、技術移転などを積極的に行い、中国を中心に新興国を発展させてきた当事者であった。

 先進国の経済モデルとは、金融によって新興国からお金を吸い上げ、それをサービス業等に回すことによって、成立していた世界である。多くの日本人は、

「私は新興国からお金をもらっていない」

 と言うかもしれないが、実は間接的にほぼすべての日本人が、その恩恵にあずかっている。日本の金融機関が新興国投資を行い、金融機関の金利や配当という形で還付されているからである。年金などを運用し、新興国投資を盛んにしていたことは記憶にあるはずだ。

 世界のファンドは新興国に投資を行い、高い利益を得ていた。先進国にとって新興国は、資金を回収する新たな植民地という構造であったと言える。

 ところが08年、リーマンショックが起こる。

 資金のパイプ・ポンプの役割をしていたのが金融機関だ。その中心地であるアメリカで低所得者向けの住宅ローン─サブプライムローン─が焦げ付き、連動してリーマンブラザースが経営破綻。世界的な株価大暴落を招く。

 これ以降、力をつけた新興国が先進国に対して、異を唱え始めたわけである。こうして、世界は再び冷戦構造となる。約25~30年近く、時計の針が巻き戻されたというのが、現在の世界構図と言える。

 おおまかな流れを押さえたうえで、中国・北朝鮮の間で戦時体制下に置かれた日本に話を移そう。

2016年“第3次世界大戦”は始まっていた(2)「平和主義者が戦争を起こす」
2016年2月3日 1:55 AM

 昨年、日本で最も話題になった政治トピックの一つが、集団的自衛権である。政府は2年も前のアジア安全保障会議の時点から進めていたことなのだから、実は決して新しいトピックではない。しかし、政府が集団的自衛権の法制化を急いだことは事実だ。

 背景にあったのは中国の存在だ。

 14年、中国は南沙諸島で人工島建設を急ピッチで進め始めた。ベトナム・フィリピンなどは強く反発、軍事的衝突も辞さない姿勢を見せた。この問題は、同年のアジア安全保障会議で大きなトピックとなる。仲介する形でアメリカが中に入り、話し合いでの解決を進めようとした。中国はそうした席で、「人工島の建設を中止する」と明言。しかし実際にはやめなかった。

 15年、人工島の一件はさらに大きな問題となる。アメリカ、ASEAN諸国も、変わらず人工島の開発中止を強く要請。しかし、中国は「建設を中断した」と繰り返しながら、実際に建設を継続したわけである。中国の「ウソ」をアメリカが信じたわけではない。アメリカは軍事衛星を通じ情報を収集、日本の当局も100%把握していたのだ。

 そして昨秋、完成した人工島の写真が報道されることになった。

 南シナ海中央部2カ所に作られた中国の人工島は、日本にとって軍事的にも脅威となる。周辺にあるすべての国が、中国の軍事的支配下に置かれることになるからだ。

 日本にとってエネルギー政策に与える影響も、非常に大きなものになる。日本に運ばれる石油、天然ガスのほぼすべてがその海路を使用しているのだ。これを中国の領有とし、周辺海域12海里を排他的経済水域とした場合、石油や天然ガスを運ぶ道「シーレーン」を、中国は完全封鎖することができる。

 だからといって、アメリカが例えばベトナム、インドネシアというASEAN諸国と、直接的な軍事支援関係を結べるかというと、難しい事情がある。ベトナム戦争以降、一応和平状況にあるとはいえ、ベトナムのアメリカに対する心証は良くない。インドネシアはイスラム圏だ。アメリカとこうした国々との関係を考えた場合に、サポートプレイヤーが必要となる。それこそが日本の役割である。

 現実に昨年には安倍総理がフィリピンに対して、新しい巡視艇10隻を供与する方針を表明している。ベトナムに対しても日本がすでに船舶支援を行うなどの約束を発表。

 しかし、日本がこうした支援を実行するためには、法的な裏付けが必要だった。軍事的支援は100%違法とは言えないが、これを法律的に是認する必要があった。これが、ある意味集団的自衛権の本質である。逆に言えば、集団的自衛権成立が遅れたことで、中国とASEANばかりか、日中、中米との関係が、にっちもさっちもいかなくなってしまったというのが実態だ。

 中国の人工島完成前に、強い抑止力によって中止させることができていれば、今日のような軍事的緊張関係は、これほど高まらなかったのではないだろうか。そう考えさせられる事態が「航行の自由作戦」後、起こった。中国が人民解放軍を、これまでの7軍区から4選区に再編したのだ。それ以前の人民解放軍は政府軍ではなく共産党の支部という立場で、アメリカの州軍のような体制だった。再編によって、中央政府による一括した指揮命令系統ができあがった。つまり即時戦闘態勢となったのである。

 まさに、イギリスの首相だったチャーチルが、著書「第二次世界大戦回顧録」の中で書いた、「平和主義者が戦争を起こす」ということが、「平和主義者」がメディアを支配する、日本周辺で起こっている。日本はその当事者であることを、忘れてはいけない。

2016年“第3次世界大戦”は始まっていた(3)「中国か?我々か?を選べ」
2016年2月4日 1:55 AM

 次に、東アジアを取り巻く情勢を考えよう。1月16日、北朝鮮が「水爆実験」と自称した核実験が行われた。キナくさいムードは流れ始めている。

 東アジアの国々が何らかの意思決定をする場合、日本・中国・アメリカ・北朝鮮・韓国・ロシア、この6カ国の協議が前提となる。「日本」=「経済大国」、「ロシア」=「大国」、「中国」=「軍事大国」、アメリカの支配下にあり国連軍が在留したままの状態にある韓国、という構図だ。北朝鮮は常々休戦中の朝鮮戦争を終えて、自国を国家認証しろ、という要求を続けてきた。これは金体制の維持を前提としたものであれば、5カ国との話し合いに乗るという一種のメッセージであったと言えよう。しかしロシアも中国もアメリカも、首を縦に振らなかった。

 では朝鮮半島で北朝鮮と対する韓国では何が起こっていたのだろうか。まずは、その歴史を振り返ろう。

 冷戦構造下で韓国は、自由社会のショーケースとされてきた。発展モデルを東側体制に見せつけ、共産主義との壁=「反共の壁」が韓国の役割だったのである。日本が韓国に投資を続けていたのは、この意味が大きかったという。

 しかし、冷戦構造終焉とともに、韓国の「壁」という役割も終わる。

 そして04年、韓国では大きな変化が起こった。廬武鉉大統領による、初の左派政権が誕生したのだ。それまでアメリカに追従し続けた韓国の体制は、中国をはじめとする共産主義国に向けて大きく舵を切る。07年には廬武鉉大統領がアメリカに対して、戦時統制権の返還を求めることとなった。北朝鮮と「休戦状態」である韓国だが、再度戦争が起きた場合、アメリカが持つ韓国軍への命令権が「戦時統制権」である。

 現実問題として、韓国軍に戦時コントロールする能力はないとされている。しかし要求に対してアメリカは、12年までの戦時統制権返還に合意した。冷戦が終了し役割を終えた韓国という荷物を下ろすことができるのは、アメリカにとっていい厄介払いができると考えていたようではあるが。

 ところが、08年廬武鉉政権は倒れ、右派政権である李明博政権が誕生した。韓国は、再びアメリカに接近、15年末までの統制権返還の延期をアメリカとの間で結ぶ。この際、アメリカ側が要求したものは、高高度ミサイルシステムの導入であった。中国や北朝鮮から発射された中長距離ミサイル等を捕捉し、早い段階で撃墜するための防衛システムである。アメリカばかりかアジア諸国の安全保障にとって、必須と言えるものだったからだ。

 ところが李明博大統領も、現在の朴槿恵大統領も、「導入を検討する」と言いながら、実行には移さなかった。アメリカ当局が幾度となく強い警告を発し、痺れを切らせていたのだ。さらに朴槿恵大統領は中国への接近をどんどん進め、軍事同盟を結ぶ直前まで行った事実がある。アメリカは、「中国側か、アメリカ側か 態度を明確にしろ」と、韓国に強い態度を示し続けてきた。そんな中で、今回の「航行の自由作戦」が開始されたわけである。

 韓国が中国につくのであれば、アメリカにとって、もう不要な存在でしかない。裏切る可能性がある味方ほど厄介なものはなく、韓国はそのような国と判断されていた。

 そして昨秋、米中首脳会談が開かれた。

 中国の「人工島」建設を把握していたアメリカ側が、習近平国家主席を冷遇したのは、ご存じのとおりである。結果、オバマ大統領と習主席の、まったく異なる見解の首脳会見が開かれることとなった。

 その後、アメリカは朴槿恵大統領を招く。国賓として招かれた形の朴槿恵であるが、中国以上の冷遇で迎えられた。

 この時に、韓国はある約束をアメリカにさせられたという。そのことが昨年末の日韓関係の激変に、大きな影響を与えていたのである。

”2016年“第3次世界大戦”は始まっていた(4)「ついに韓国はアメリカを選択」
2016年2月9日 1:55 AM

 15年末に突如解決に向かった「慰安婦問題」。その背後には、アメリカによる強大な力の働きがあった。フランスのパリで相次ぐISによるテロや中東の分断など、イスラム圏ではすでに戦争が起きている。日米英と対する中国・ロシア・テロ組織との世界大戦はどう動いていくのか。

 2015年10月16日、韓国の朴槿恵大統領(63)をアメリカは国賓で招いた。とはいえ朴大統領への態度は、冷遇そのものだった。この時、韓国が約束させられたのが日中韓3カ国による首脳会談の実現である。

「アジアの安全保障を握る上で、3カ国で話し合い、和解の場を作ろう」

 というのが、アメリカの思惑だった。そして、同年11月1日、安倍晋三総理大臣(61)、朴大統領、李克強首相(60)による日中韓首脳会談がソウルで行われる。アメリカのカーター国防長官が臨席していたことから米国主導での3カ国会談であったことは明らかだ。同日共同記者会見も開かれたが、会談の内容は発表しないとされ、安倍総理は短いコメントを読み上げるにとどまった。地域協力について総理は、

「気候変動への対応など国際社会が抱える諸課題についても話し合い、協力していくことで一致した」

 としたものの、会談で話し合われた内容は、安全保障を軸としたものであったとされている。しかし韓国は、この場においてもアメリカ支持を明確にしなかったのである。

 日米同盟を中心にアジア諸国の動きは加速した。

 同年11月2~4日には第3回拡大ASEAN国防相会議「ADMMプラス」が開催。カーター国防長官は、3カ国会談からそのまま「ADMMプラス」にも出席。再び韓国に、「どちらか?」と選択をせまり、ついに韓国がアメリカ支持を表明させられたわけである。

 その後、発表されたのが、2015年内の慰安婦問題等、日韓に存在する問題の全面解決だ。問題が解決しない限り、日本当局は、「韓国との話し合いに応じられない」という強い立場を維持し続けた結果でもある。

 一連の動きの中で明確になったのが、日米にイギリスを代表とするNATOが加わった「新連合国」体制ができあがったことである。

 これらの動きに合わせるように10月28日から開始した「航行の自由作戦」は完全な軍事オペレーションである。米軍──特に南シナ海を管轄する在日米軍のある沖縄は、すでに戦時下に繰り込まれている。

 米空母は、中国が一方的に設定した排他的経済水域を自由に航行。中国の潜水艦に半日以上追尾された際には、意図的にその事実を発表した。潜水艦の価値は見えないことにあるわけで、見える潜水艦など、ただの棺桶に過ぎない。

 また、一部情報筋によると中国潜水艦が米空母を追尾している間、別の米軍艦のソナーからは、中国の潜水艦に向かって繰り返し探信音「ピン」が打ち続けられたとされる。「ピン」が当たった、潜水艦内には大音響が響くという。中国潜水艦の乗組員たちはパニックになったに違いない。米艦隊は南シナ海の南北に配置され、中国を挟み撃ちにしている。

 沖縄の南側とインド洋の北側では恒常的に米軍が軍事演習を行っているが、日本とフィリピンさらには、イギリス、オーストラリアも参加を表明している。特にイギリスと日本は、1月8日に外務・防衛閣僚による2+2会談を開催。日本側から岸田外務大臣と中谷防衛大臣が、イギリス側からハモンド外相とファロン国防相が話し合った。その結果、

【1】今年イギリス空軍が最新鋭戦闘機「タイフーン」を日本に派遣し共同訓練をすること
【2】新型空対空ミサイル(JNAAM)の研究を共同で行うこと

 などで合意。中国に対して日米英が中心となった新連合国の関係は、強固なものになっている。

2016年“第3次世界大戦”は始まっていた(5)「“アラブの春”がISを生んだ」
2016年2月10日 1:55 AM

 フランスのパリではISによるテロ事件が相次いで起こり、イスラム教でシーア派とスンニ派が分断──中東圏をはじめとする、イスラム社会は完全な混乱に陥っている。

 中東・アフリカ・ヨーロッパというのは、各々が全く異なる文化や、地域性を持っている、と感じている日本人は多いのではないだろうか。これらの地域を隔てる地中海は、日本列島が一つ入る程度の大きさで、地球規模では湖のようなものだ。欧州・アジア・中東の中継地はトルコである。

 中東の問題は、この地政学的位置づけの理解から出発しなければならない。したがって中東問題は、中東だけの問題ではなく、アジア・アフリカ・ヨーロッパの問題だという認識を持つべきだろう。

 かつての文明の中心であり、核となるのが、3つの宗教の生まれたイスラエル・パレスチナ。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、3つの宗教はもともと同じ母体を持つ宗教である。そうした世界の中で、紛争・戦争が2000年続けられてきたわけだ。

 キリスト教は大きく分けてプロテスタント、カソリック、オーソドックス、正教系‥‥といくつもの派を持つ。また一口にイスラムと言っても、一つの宗教ではなく、さらに細分化されているというのが実態だ。では、今中東で何が起きているのか考えてみよう。

 スンニ派の最大国・サウジアラビアと、シーア派の最大国・イラン。この両国が国交を断絶し、実際に戦時下に入った。中東は完全に分断されたのだ。日本を取り巻く状況同様に、サウジとイランが直接対峙するわけではなく、イエメンなど、中核にある小国で代理戦争を行っているのが、今の中東情勢である。

 分断によって、完全に崩壊したのがOPECだ。

 原油価格を維持するために生まれた、OPECは、スンニ派、シーア派というイスラム教の宗派とは無関係に、中東を中心とした産油国の生産調整、価格維持のための団体だった。ところが、2つの主要国である、サウジとイランが対立したことによって、生産調整の話し合いは絶望的になった。

 ここに出てくるのが、IS(イスラム国)である。ISが生まれた背景は様々あるが、その理由の1つに、「アラブの春」が存在する。

 中東・イスラム圏というのは、支配部族が被支配部族を従える完全な階級社会と言える。支配部族とは、中東アラブの王族たちであり、それぞれの国の間で血縁関係を結んでいた。例えばアラブ首長国連邦は6~7つの王様の集合体である。

 そのような形で成立していたのが、中東における力の構造であり、均衡だったわけだがアラブの春によって、支配民族がそれぞれの地域で打ち倒されてしまう。次に石油利権をめぐるトップ争いがイスラムの各国で繰り広げられ、それぞれの国の治安体制は、完全に崩壊してしまったのだ。
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