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【安倍政権考】全ては1年前の訪米から始まっていた! 伊勢志摩サミットへつなげられるか…安倍首相の対中戦略

zakzak 2016.05.02

 安倍晋三首相が議長として臨む5月26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、自ら掲げてきた3年4カ月にわたる「地球儀を俯瞰する外交」で得た成果を示す舞台でもある。その一つが、覇権主義を振りかざし、アジアの軍事的脅威となっている中国を牽制するため、先進7カ国(G7)としていかに強いメッセージを打ち出すことができるかだ。アジア唯一のサミット参加国として、安倍首相に課せられた使命は重い。
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 首相が再登板した平成24年12月の日本を取り巻く国際情勢は、最悪のレベルだった。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設をめぐり同盟関係が漂流しかけた米国をはじめ、日本の国有化を機に尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で威圧的行動を繰り返す中国、そして慰安婦問題で歴史認識を振りかざし反日的言動をいとわない韓国…。その3カ国との関係は厳しい環境にあった。同じ米国を同盟国とする韓国ですら、歴史認識をめぐって中国と反日で共闘し、次第に日米の自由主義陣営から離反していく始末だった。

 だが、この構図を一変させるきっかけは、ちょうど1年前の安倍首相の訪米だった。

 首相は27年4月26日から8日間の日程で、オバマ大統領との首脳会談に臨んだ首都ワシントンをはじめ、東部ボストン、西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルスの計4都市を一気に駆け抜けた。

 安倍首相の米国滞在中、日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を米ニューヨークで開催し、自衛隊と米軍の役割を定める「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定を正式決定した。安倍首相はオバマ氏との首脳会談で、ガイドライン再改定を踏まえ、一方的に軍事的緊張を高める中国をにらんだ連携と、強固な同盟関係を確認した。

 さらに安倍首相は、日本の首相として初めて米議会の上下両院合同会議で演説する機会を得た。

 日米首脳による会談の成果もさることながら、オバマ氏の安倍首相に対する厚遇ぶりが日米同盟の絆の強さを示した。
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 「1957年、晋三氏の祖父、岸信介首相は米議会で演説をした。岸氏は『日米新時代』のドアを開けた。明日、孫の安倍首相がそのパートナーシップをさらに一歩前に進める。関係を強化する新しい石を刻む」

 オバマ氏は安倍首相を招いたホワイトハウスでの公式夕食会でこうたたえ、首相の地元・山口県の地酒で乾杯した。その2年前に訪米した際の昼食会では、オバマ氏の手元にある飲み物はミネラルウオーターだけだった。打ち解けた両首脳の姿から、いかに距離が近づいたかが分かる。

 「世界の警察官」の座を降りたオバマ氏にとって、安倍首相は世界戦略上、欠かせないパートナーになっている。歴史認識をめぐり反日攻勢で共闘する韓国や中国の言い分よりも、安倍首相の「未来志向」の同盟関係を優先させた方が得策と確信したのだろう。

 安倍首相は「希望の同盟へ」と題した議会演説で、先の大戦について「戦後の日本は痛切な反省を胸に歩みを刻んだ。アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目を背けてはならない」と言及したが、韓国が戦後70年の安倍首相談話に求める「侵略」「植民地支配」「おわび」の文言は使わなかった。そして、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法を「夏までに成就させる」と宣言した。安倍首相はこの約束を守り、昨年9月、安保関連法を成立させた。

 中国は日米同盟を強める安保関連法に激しく反発した。力による現状変更を試みるには、日米同盟の関係強化ほど邪魔なものはない。反発は当たり前だった。

 ただ、その中国にべったり寄り添ってきた韓国にとっては、外交戦略を再考させされる機会になったようだ。国境を接する北朝鮮は、国際社会の制止を無視して核・ミサイル開発を強行する無法国家だ。金正恩第1書記体制になって、さらに不確実性が増している。韓国はじわりと日米に傾いた。ただ、自らの過ちに気づくにしては遅すぎた。
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 安倍首相は4月下旬に始まる大型連休にあわせ、サミットの成功に向けた協力を求めるため、欧州主要国を歴訪する。途中でロシアにも立ち寄り、プーチン大統領と会談する。ロシアによる一方的なウクライナ南部クリミア半島の併合を機に悪化した関係を改善させるためだ。北方領土返還には、プーチン氏との対話継続以外に道はない。ロシアのクリミア併合には日本政府も欧米各国と歩調を合わせ、強く批判するが、対話の扉を閉ざすわけにはいかないのだ。

 また、今年は日中韓首脳会議が日本で開催される。安倍首相は議長として、韓国の朴槿恵大統領、中国の李克強首相を迎える。

 韓国とは昨年末の慰安婦問題に関する日韓合意で、2国間関係の改善に期待が寄せられているが、韓国国内の政治情勢がそれを許さないおそれがある。今月の韓国総選挙で与党セヌリ党が惨敗し、朴氏は今後、厳しい政権運営を強いられる可能性が高い。求心力を保つため、再び反日的な行動に転じ、約束通り日韓合意を履行できなければ、修復軌道しつつある日韓関係は一気に崩壊しかねない。

 また、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた日朝交渉に明るい兆しは見られない。それどころか、北朝鮮は核実験や弾道ミサイルの発射を強行し、国際社会からの孤立を深めている。拉致被害者家族も高齢化し、一刻も早い解決が望まれる。ただ「交渉」や「約束」が通じない相手だけに、国際社会を巻き込んださらなる厳しい制裁措置が必要になっているが、いまだに中国からの“抜け道”が存在し、制裁の実効性が疑われている。

 北朝鮮とともにアジア最大の安全保障上の脅威となっている中国は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海や軍事拠点化を図る南シナ海で領土、領海を拡張させようと力による現状変更を試みている。安倍政権は日中関係を戦略的互恵関係と位置付け、改善を図る方向だが、軍事的挑発行為や北朝鮮への水面下の支援を一刻も早く封じなければならない。
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