Entries

英国民は「EUからの離脱」を選択するか? 西欧においてナショナリズム(国家主義・民族主義)が復活した背景を読み解く

白髪頭でズバリと斬る -じじ放談- 2016年06月18日

はじめに

フランス革命とアメリカ独立宣言に代表される「自由・平等・博愛(友愛)」を唱える理想主義(人権主義)は、被抑圧個人を国家の規制や共同体の呪縛から解放するものとされた。個人を絶対無二の「崇高にして犯すべからず存在」として確立したのがユダヤ・アングロサクソン同盟、共産主義者、社会主義者・社会民主主義者、無政府主義者であった。彼らは自らの意思で国を捨てた亡国の民、かつ自らの伝統宗教を捨ててユダヤ教徒となったアシュケナージ系ユダヤ人の精神的継承者である。

国家や地域共同体の呪縛(保護)から解放された個人は、又は国家や共同体という保護柵を奪われた個人は国際金融資本や多国籍企業の前では「か弱い子羊」であり抵抗する力がない。結婚もできない、子供も産めない劣悪な労働環境の下に置かれ、労働力の再生産機能を担うこともできない劣悪な環境に堕ちた。共産党一党独裁国家(中共)では中国共産党中央総書記習近平が約8千万人の共産党員と同官僚を指揮して、さらに中共軍や武装警察という暴力装置を総動員して13億人民(個人)を統括する。理想主義(人権思想)は人間を国家や共同体から切り離し、無防備な状態において直接管理する世界を創造した。器官を分子や原子に解体して横の連携を断ち、直接支配するという巧妙なる「支配構造(機制)」だ。個人は「人権」という名の透明の鎖につながれ管理されている事実を知らない。目覚めないよう洗脳され調教されてきたからだ。

西欧において、「反EU」を掲げるナショナリズム(国家主義・民族主義)が台頭している直接的要因は「イスラム過激派の相次ぐ無差別テロ」と「東欧やイスラム圏からの大量移民・難民が社会的・経済的混乱をもたらした」と認識されているためである。しかし、ナショナリズムは理想主義(人権主義・反国家主義)がもたらす社会的危機に対する自然発生的な反応という側面もある。国家の垣根を取り払い、民族の伝統を破壊した(ユダヤ人が主導した)グローバル経済主義と共産主義思想の害悪がナショナリズムを育み成長させたといえなくもない。西欧のナショナリズム(国家主義・民族主義)は怒りの矛先をグローバル経済と共産主義思想を主導した「ユダヤ人」に向ける虞れがある。歴史上、何度も繰り返されてきた風景が再現されるかもしれぬ。アシュケナージ系ユダヤ人の末裔でフランス人エマニュエル・トッドは「フランスから理想主義(人権主義)が消えた」と嘆いている。フランス社会における排外主義(反イスラム・反ユダヤ)の高まりを肌で感じている証左だ。

第1:「英国のEUからの離脱」は不可避か

英キャメロン首相は2017年までに実施すると公約した「欧州連合(EU)に残留するか、離脱するかを選択する国民投票」を2016年6月23日に実施すると決めたが、その理由はおそらく「2016年6月であれば残留派が勝てる」と考えたからだろう。そして、念には念を入れて、さらに離脱派を切り崩すべく「EUにおける英国の特権的地位の拡充」を承認させた。欧米だけでなく先進国のマスメディアを総動員して「英国はEUに残留すべき」の大キャンペーンを繰り返した。伊勢志摩サミット(G7)は「残留支持」を決定した。

1年ほど前、「残留派」は「離脱派」を10ポイント超上回っていたし、英キャメロン首相は「負けるはずのない戦争」と楽観していたが、数ヶ月前から雲行きが怪しくなった。「残留派」と「離脱派」の支持率が拮抗するようになった。そしてキャメロン政権はマスメデイアを総動員し連日連夜大キャンペーンを繰り返したが、6月には「離脱派」が「残留派」を上回る世論調査の結果が増えた。

英ニュースサイト「インディペンデント」は、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票についての世論調査で、離脱派が55%と33%の残留派を10ポイント上回ったと報じた。なお、4月の同調査では、離脱派が51%、残留派が49%だった。他の世論調査では両派の支持率はほぼ拮抗、予断を許さない戦いになっている。(12日付け日経より要約抜粋)

灰色の、物言わぬ、被抑圧大衆(サイレントマジョリティ)は、グローバル経済の勝者が国際金融資本と多国籍企業であり、これを推進したのがエスタブリッシュメントといわれる「政官財労の特権階級」であり、マスメディアもその一翼を担っていることを理解した。英米のマスメディアがいくら煽動しても大衆は踊らない。国際金融資本と多国籍企業及び彼らの代理人エスタブリッシュメント(特権的指導階級)は国境の垣根を壊し、ヒト・モノ・カネの移動を自由化し、中産階級を没落させ、下層階級から明日への希望を奪った諸悪の根源とみなされるようになった。グローバル経済又は理想主義(人権主義)の負け組とされる彼らは、ナショナリズム(国家主義・民族主義)にかすかな希望を求め夢を託す。

凶暴で狡猾、力(財力)と知恵のある植物連鎖の頂点に立つ肉食動物にとっては、規制のない、自由に振る舞うことができるサバンナは「最適環境」であるが、穏和で、誠実で、知恵と力のない植物連鎖の底辺に位置する草食動物にとっては「生き地獄」だ。グローバル経済又は理想主義(人権主義)にも勝者と敗者がいる。1930年代初頭、ヒットラーの「わが闘争」に共感し、ナチス党による独裁政権を支援し熱狂したドイツ国民の多数派についてエーリッヒ・フロムは「自由からの逃走」と名文句を残した。ヒトは苛烈な生存競争のサバンナの自由に耐え切れず、柵で囲われた不自由なサファリを求めたという趣旨の分析を残した。フロムは数百年前に生まれ、歴史の試練を経ていない「自由」という観念を神聖にして侵すべからずと考え、当為のものとして肯定した。「私(人権)以外を敬ってはならない」とする一神教の信者であった。

「EUからの離脱の是非を問う」英国の国民投票日が近づくにつれて「離脱派」が増えている現実を勘案した投資家は「世界の株式市場から逃げ(株価大暴落)日米独の国債購入(国債急騰や急激な円高)や現物金の購入等安全資産に資金を移動させた。しかしながら英国民がいかなる選択をしても大勢に影響はない。というのも、「反EU」は英国だけでなく、フランス、オーストリア、オランダ、ベルギーそしてEUの中核国ドイツでも大きなウネリとなって押し寄せているからだ。先進国各国が「EUからの離脱」を巡って先陣争いしている状態だ。

第2:西欧社会における不安の高まりとナショナリズムの台頭

辞書によると、ナショナリズムとは「他からの圧力、干渉を排して、その国家の統一、独立、発展を推し進めようとする思想や運動。国家主義、民族主義」とされている。戦後、西欧では中東やアフリカ、冷戦終了後は東欧から大量の移民を受け入れてきた。企業の国際競争力を維持し、企業利益の最大化を図るための開発途上国からの移民を大量に受け入れてきた。移民はハンデキャップを乗り越え、奮励努力して生活基盤を築き、子供に教育を施して、立身出世を遂げた者もいるが、多くは「下層移民」から抜け出すことができない。企業は「より安い賃金で雇用できる労働者」であれば出自に拘らないから、小さなパイを巡って下層原住民と下層移民が仕事を奪い合うことになった(敵対矛盾)。

現在、中東やアフリカ等の紛争地域及び開発途上国の東欧諸国から脱出して西欧に押し寄せる移民(難民)は年間100万人以上、下層原住民と下層移民の不満は高まるばかり。政府は無策だから移民(難民)の流入に歯止めがかからない。中道政権(左派・右派)が推進してきた「移民受け入れ政策」と「EU域内のヒト・モノ・カネの自由化政策」の勝ち組と負け組の色分けと固定化が進んでいる。閉塞感で不満のはけ口がない下層現住民はナショナリズム(国家主義・民族主義)に夢を託す。一方、西欧キリスト教文明社会で豊かな生活を享受できないイスラム教徒の青少年の一部は、イスラム過激派ISや同シンパに共感し、アフガン、イラク、シリア、リビア等の内戦に加わるか又は西欧に留まって無差別テロを企てる。

第3:英国におけるナショナリズム(国家主義・民族主義)

英国は形式上は連合王国(イングランド、ウエルズ、スコットランド、北アイルランド)とされているが、実態はイングランド王国が隣接する3王国を軍事制圧して併合したもので、現代風にいうと、資金力に勝るイングランド王国が隣接する王国に敵対的買収を仕掛け吸収合併したのと同じ。1995年公開の米映画「ブレイブハート」で、メル・ギブソンはスコットランドの英雄ウイリアム・ウオーレス役を演じた。ウオーレスはイングランド王国の圧政に対する抵抗運動を続け、武装蜂起してイングランド王国軍を潰走させたこともあった。現在でもスコットランドの英雄として各地で顕彰されている。2014年実施された「スコットランド独立の可否を問う住民投票」では独立反対派が僅少差で勝利したものの、スコットランド独立の火種は700年前からくすぶり続けている。スコットランド独立をめざす地域政党は「英国のEU離脱」が決まったならば、スコットランドはEUに留まるべく英国からの独立の可否を問う住民投票を行う」と表明した。

英国保守党キャメロン政権は、西欧主要国の中道政権と同じく、「移民・難民の激増」と「イスラム過激派の無差別テロ」に対する有効な手段を持ちあわせていない。今や、「ナショナリズム(国家主義・民族主義)」という妖怪が西欧全域を徘徊するようになった。

ユダヤ・アングロサクソン同盟と共産主義・社会主義・社会民主主義を信奉する左翼は「ナチス=凶悪」という図式を描く。「賢明なドイツ国民がなぜ、ナチスというマンガチックな悪党に騙されてしまったのか?」と考える。もとより、1930年代のドイツ国民は人格障害者でもなく、ナチスの一方的な煽動と宣伝に騙された訳でもない。大恐慌以降の暗黒時代、既成政党の「決められない政治」に我慢できなくなったドイツ国民はナチスに「地獄に仏」を感じたのだ。ナチスの国家主義・民族主義に賭けたのだ。ドイツ国民の「不安」がナショナリズムを高揚させ高みに押し上げたのだ。

英国の独立機運を高めている「不安」とは何か。西欧社会が共有する大量移民の流入による失業者の増加と社会福祉制度の崩壊及びイスラム過激派による無差別テロに加え英国独自の「不安」もある。

(欧州連合(EU)はドイツが主導する大陸同盟)

欧州連合(EU)28か国中、海洋国家は英国だけで、地政学的にみても英国は特殊な地位にある。英国の宿敵ドイツは豊かな経済力によってEUの覇者となって「大陸同盟」を統括する立場を確立した。「EU=ドイツ経済圏」といってもよい。ドイツ国歌が唱える「世界に冠たるドイツ」が実現した。ヒットラーが戦争で敗北し未完に終わった「世界に冠たるドイツ」を、メルケル首相は経済戦争に勝利して実現した。(いつまで続くか分からないが・・)

「英国のEU残留」がもたらすもの、それは英国の主権の一部を放棄して欧州連合(ドイツ)の軍門に下ること、その代償として経済的利益を得られるということに尽きる。金儲けのために主権の一部を譲渡するか?それとも「武士は食わねど高楊枝」を貫くか?の選択なのだ。英キャメロン首相と同オズボーン財務相は「離脱すれば英国経済に破滅的悪影響が出る」と絶叫している。キャメロンとオズボーンは「英国経済の未来」を悲観し焦っている。世界最大の人権侵害国家の習近平総書記を国賓として招き破格の接待を行った。エリザベス女王陛下は習近平の「礼儀をわきまえない傍若無人な態度」に立腹された。キャメロンとオズボーンは金銭亡者に成り下がった。

約500年前、シェイクスピアは戯曲「ベニスの商人」で、ユダヤ人金貸しの金銭亡者ぶりを批判し聴衆の大喝采を受けたという。西洋キリスト教文明に「排他的ではあるが健全な精神が宿っていた時代」の話だ。当時は「人はパンのみにて生きるに非ず」というキリスト教の精神は残っていた。現在、ユダヤ人の金貸しが流布し創造した金銭万能社会の悪臭が世界を覆っている。これに反発する健全なキリスト教徒の怒りが、地の底(深層意識)から噴出する時代になった。ナショナリズムは「人権思想」という名の抑圧機制を解き放つ。活性化した深層意識は巨大なマグマとなって地表を突き破り噴出する。

かって、英国の後ろ盾となってきたアメリカ合衆国は重心をアジアに移した。(オバマのリバランス政策)、そして次期大統領候補トランプは「国益第1」(国家主義・白人優位主義)を表明した。これまで不磨の大典とされてきた「人権主義」に対し、公然と異議申し立てを行い、共和党予備選を勝ち抜くことに成功した。西欧社会と同様、米国社会においてもナショナリズム(国家主義・民族主義)が台頭している。英国はドイツを盟主とする大陸同盟に対抗して海洋同盟を組む仲間がいない。米国の支援なしには強大な大陸同盟に対抗する手段はない。英国は今、EUに残留してドイツ経済圏の一員に甘んじるか?それともEUを離脱して孤高の道を選ぶか?の岐路にある。

米国が「英国のEU残留」を求めるのは、独仏を中核とする大陸同盟が米国から自立しないよう「監視役」として英国を配置しておきたいからだろう。米英にとって、独仏がロシアと談合して決める「ウクライナ停戦方式」は好ましい出来事ではない。米英抜きでヨーロッパ問題が処理されるのは困る。歴史的経緯もあって、ロシアとドイツを信頼していないポーランドとバルト三国は米英に懇願、それぞれにNATO軍(米英独)千名を派遣し駐留してもらうことになった。

ドイツが「英国のEU残留」を求めている理由は、英国のEUからの離脱が引き金になって、西欧全域で「反EU」の火の手が燃え上がることを恐れているからだ。もっとも、EUが解体すれば、ドイツは「親ドイツ国」を糾合してドイツ第4帝国の結成を急ぐ。幼少期から「世界に冠たるドイツ」という国歌を斉唱させられ刷り込まれたドイツ国民が野望を捨てることはない。

国民投票の1週間前(16日)、「EU残留」の運動に従事していた英労働党ジョー・コックス下院議員が銃殺(刺殺)された。容疑者は犯行現場で「ブリテン・ファースト」と叫んでいたという。この「英国が第1」という意味が大英帝国への回帰という意味なのか、それともドイツに屈しない自立した英国中心の政治を(国益第1)という意味なのかは判然としないが「反EU]であることは明らかだ。暴力で言論を封殺する蛮行を肯定する個人・団体・政党はいないであろうが、英国民の投票行動にどのような影響を与えるかは不明だ。「同情票が残留派に集まる」という見方もあるが、アングロサクソンはそれほど人情に厚い、軟弱な民族とは思えない。

第4:ロシアによる「EU分断戦略」と「反EU勢力支援」

EU(NATO)の東方拡大は「東欧→バルカン半島→ジョージア(グルジア)→ウクライナ・ベラルーシをロシアの勢力圏から剥ぎ取ってロシアを丸裸にして解体する」との大戦略をもって推進されてきた。これに危機感を抱いたプーチンのロシアは「対グルジア戦争」を仕掛けて一部を併合、ロシア黒海艦隊の拠点クリミア半島を奪取、ウクライナ東部の親露派武装勢力を支援してウクライナ内戦に介入した。親欧米のウクライナ政権に圧力をかけ瓦解させることを当面の目標とする。プーチン大統領は「いかなる犠牲を払っても、ロシアの防衛ラインは死守する」と考え、一歩も譲る意思はない。ナポレオン軍のモスクワ侵攻(1回目)、ヒットラー軍のカフカス侵攻(2回目)に続く3回目の国家的危機がEU(NATO)の東方拡大と位置づけ「必要があれば核兵器の先制使用も躊躇しない」と覚悟しているはずだ。

(ロシアから見ると)幸いにも、EU28か国は同床異夢の互助会組織で、重大案件(移民対策等)になればなるほど利害対立が深まり統一した対応がとれない。加えてNATOは「米国・英国・カナダ」がロシア敵視組、「フランス・ドイツ」がロシアと是々非々を維持、「イタリア・ギリシャ」がロシアに融和的、「ポーランド・バルト三国」が反ロシアの看板を掲げ米英依存を深めているという具合だ。プーチンはメルケル(独)とオランド(仏)と談合してウクライナの停戦合意を成立させた。さらにプーチンはギリシャとイタリアを訪問して首脳会談を行う予定で、本年末には訪日の予定も計画中だ。プーチンは「優柔不断な理想主義者オバマの任期が終わる2017年1月までに局面を大転換させる」との決意をもって着々と布石を打っている感じだ。

西欧社会は「大量に押し寄せる移民・難民対策」と「頻発するイスラム過激派による無差別テロ対策」に翻弄され国論は分裂。各国政府は有効な対策を打ち出すことができないから国民のイライラは募るばかり。「人権思想」を絶対視しないナショナリズム(国家主義・民族主義)への期待が急速に高まっている。仮に、英国の国民投票で「残留派」が勝利したとしても、西欧全体を覆うナショナリズムの台頭を食い止める手段はない。プーチンはこれら「反EU勢力」を支援し「EU解体」を狙う。西ユーラシアにおいては「EU解体」と「NATO弱体化」、東ユーラシアにおいては「中共解体」と「日米同盟弱体化」がロシアの国家安全保障戦略の基軸と位置づけられていると考えてよい。

まとめ

仮に、英国民が当面の利益を保持するために「EU残留」を選択しても「EU解体」の流れは変わらない。特に「受益は少なく、負担は増える一方」と感じている英国、フランス、ベルギー、オランダ、オーストリア(最近はドイツも)の中道政権(右派・左派)は、国民の怒りを抑えて政権を維持すべく「国益第1」(ナショナリズム)の旗を掲げざるを得なくなった。その代表格がフランス社会党のオランド大統領だ。もはや「国益第1」(ナショナリズム)は極右や極左の専売特許ではなくなった。戦後、「人権主義」を掲げて政権を担ってきた中道政権(右派・左派)は、これまでの政策を堅持して自滅するか、それとも国家主義的・民族主義的要素を取り入れた政策に変更して生き延びるか、の岐路に立っている。欧州における国家主義及び民族主義政党の伸長と米国におけるトランプ・サンダース旋風は戦後の「人権主義」が崩壊しつつあることを示している。

各国が「国益第1」で動くようになれば、EUは機能不全、統制不能に陥る。参加国は「国益第1」を優先し「EUの全体利益」を軽視するからだ。重要な課題で統一した政策を打ち出すことができないから、参加国はそれぞれの損得勘定で行動する。移民・難民受け入れ問題でEUの弱点が露呈した。

「国益の最大化」を求めて、参加国がそれぞれ「国益第1」を選択したならば、参加国は、国益の最大化を達成できないばかりでなく、これまで確保していた権益も失う。将来獲得できたであろう利益(得べかりし利益)も失う(合成の誤謬)。

「国益の最大化」は、トランプが主張するように、他国を威圧して屈服させ、負担を押しつけることでは達成できない。「国益の最大化」は短期売買で稼ぐのではなく長期投資を基本とすべきであろう。近江商人の三方良し精神「相手国にも恩恵があり、第3国にもメリットが波及し、自国もそこそこ儲けることができる」を国家戦略の基軸におきたい。そうすれば、仲間は増えることはあっても減ることはない。利益は薄くても「塵も積もれば山となる」だ。「薄利多売」ではなく「薄利長売」を心がけたいものだ。
白髪爺 at 21:58

この記事へのコメント

1. Posted by 大和は国のまほろば 2016年06月19日 11:24
どんな結末が待っているか?アメリカの大統領選挙より私には(きっと世界中が)興味深いです

しかも、EUからイギリスが独立して大混乱になれば各国は安心するけど意外とGDPはマイナス3%程度で大きな混乱もなければ・・フランスもドイツも真っ青でしょうね

しかし中国にとって痛手のはずだった『パナマペーパー』がイギリスのEU離脱を助けてしまうなんて・・皮肉です

2. Posted by 白髪爺 2016年06月19日 14:40

国家や個人単位で見ると、経済的にはプラス○%、マイナス○%となり、政治的、経済的、安全保障でもプラス・マイナスがある訳で、その判定が難しいと思い悩んでいるということでしょうね。世界のカネとチカラの総量が一定だと仮定すれば、Aの利益はBの不利益に、A国の利益はB国の不利益に移転します。
英国は第1次世界大戦(1911-14)で体力を消耗し、第二次世界大戦で国家の命運が尽きるところでしたが、権謀術数の大家チャーチル首相が孤立主義(不関与主義)で閉じ籠もっていた米国を騙してヨーロッパ戦線に誘い込むことに成功、何とか生き残ることはできました。戦後、ジョージ・ソロス一派に「ポンドの空売りを仕掛けられ」破産寸前に転落したこともありました。
英国(シティ)が没落して最大利益を得るのは、独仏でしょうか、モスクワでしょうか、それともウオール街でしょうか?さらに、通貨の負け組はポンド、ユーロ、同勝ち組通貨は円、米ドルでしょうか。
損得勘定はいろいろな要素を勘案しなければなりませんから、人工知能(AI)も相当苦労しているのではないかと拝察しているところです。
想定外の損・得が発生することもありますし。

3. Posted by 三毛 2016年06月21日 08:25

 「自由・平等・博愛(友愛)」を唱える理想主義(人権主義)は、各国のナショナリズムを破壊し人権意識という洗脳をしてきました。その反作用なのか特権階級やマスコミが情報を占有出来なくなってきたせいか、各国のナショナリズムが目覚めてきています。しかし今までのレジームを根本的に変えて、大多数の主に先進国の国民がごく普通の生活を送れるように出来るのかが疑問です。

 こうして反グローバルという視点からロシアを見ると、プーチンのしている事はロシアにとっては良い選択をしているようです。そして岸田外相は、北方領土問題を含む日露平和条約締結交渉を22日に東京で開催する予定を発表しました。これは戦後レジームを終わりに出来る可能性が出て来たということでしょうか?ただいままでも米国は日ロの接近は反対で、外務省もその意を汲んで動いていたようなので、今回の交渉で安倍総理は条約締結までやり遂げることが出来るでしょうか?

4. Posted by 白髪爺 2016年06月21日 12:16

1950年代、鳩山内閣が取り組んだ日露平和条約交渉は合意直前に米国の横槍りで頓挫しました。田中内閣も日中・日露平和条約交渉に乗り出したましたが、同じく米国の横槍りで前進しませんでした。当時は「米ソ冷戦時代」でしたから、米国が反対したのにも合理的理由がありました。
米国の東アジア戦略は、(1)中共を味方に抱き込みソ連(ロシア)を孤立化させる。そのため、(2)日韓台の軍事力増強を抑え(ビンのフタ論)、米中がウインウインの戦略的同盟(密約)を構築する。というもので、この構造は冷戦終了から25年経過した現在も続いております。
米国は日米同盟、米韓同盟、台湾関係法を劣後させ、米中秘密同盟を優越させてきたといってよいと思います。冷戦終了後、日米安保条約は「日本防衛」という性格よりも、米中による「日本共同管理」という色彩が濃厚になったと思います。
したがって、日露平和条約を締結できれば、米中談合による東アジアの管理体制に風穴が開くことになり、東アジアの戦後体制(レジューム)が大きく変わることになります。もっとも、既得権を堅持したい米中両国は役割を分担して必死でこれを阻止する行動に出ることでしょう。
「優柔不断で、心優しい、喧嘩するのが嫌いなオバマ大統領の任期中に、一気にカタをつける」という判断で動き出しているのではないでしょうか。
日露平和条約締結とシベリア開発がワシントンの超党派エスタブリッシュメントやウオール街の一部にとっても「シベリアの共同開発」など利益になると思わせ、共同共謀正犯に引き入れることが肝要で、彼らが喜びそうな「おみやげ」を提示できるかどうか「ない知恵」を絞る必要があると思います。
スポンサーサイト
  • コメント : -
  • トラックバック : -

Appendix

最近の記事