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7.10参院選を総括する。なぜ、そんなに安倍・自民党は強いのか?


白髪頭でズバリと斬る -じじ放談-  2016年07月14日

はじめに

今回の参院選にあたり安倍総理は獲得議席目標を問われ「与党で改選議席の2分の1(61)」と表明した。結果は自民党が56(改選議席+5),公明党が14(改選議席+5)となり目標を超過達成した。与党は衆院では3分の2超、参院でも過半数を大きく超える146議席を得て長期安定政権の基礎を築くことができた。改憲を唱えるおおさか維新の会12,日本のこころ3,その他1を加えると162議席となったから、戦後、自民党が党是としてきた自主憲法制定(憲法改正)への足がかりをつかんだ。

東京都舛添知事の不祥事発覚と辞任、熊本直下型大地震の発生、国民投票による英国のEUからの離脱、バングラデッシュ首都ダッカにおける日本人等に対する無差別テロ事件などの大事件が頻発。安倍内閣はこれらの危機対応に追われ選挙運動を自制せざるを得ないこともあった。マスメディアも参院選よりも視聴率が稼げる事件報道に熱中したから、参院選は体力勝負の無風選挙になった。結果、自民党は「満足できるほどではないが、それなりに勝った」し、民進党は「想定以上に善戦し、負けを最小限に抑えることができた」と感じているのだろう。共産党は改選議席は倍増させたが前回(3年前)の参院選獲得議席8からマイナス2の6議席に留まった。

笑いが止まらないのは公明党だけ。おおさか維新の会は一枚看板であった橋下徹の政界引退によって組織の存亡を賭けた戦いであったが共産党を上回る7議席を獲得(計12議席)、参院の法案提出権を得ることができた。「次回衆院選への足がかりができた」とニンマリしていることであろう。弱小政党(社民、生活、こころ、改革)は党の存立が危ぶまれるほど厳しい結果となった。弱小政党の淘汰がさらに進む。

第1:選挙とポピュリズム(大衆迎合主義)

党総裁や党代表を少人数の所属議員が選任する場合は、「協議」、「談合」、「取引」及び「買収」が主要な手法になるが、不特定多数の有権者を対象とする選挙(党員投票や各種選挙)においては有権者の支持を獲得する必要上、いかなる候補者も程度の差はあってもポピュリズム(大衆迎合主義)を軽視することはできない。

ポピュリズム(大衆迎合主義)は選挙制度が内包する宿痾(しゅくあ)であって、その程度が抑制的で常識の範囲内に留まっているか?それとも非常識なレベルなのか?の違いしかない。経済が破綻し、政治が大混乱に陥って自浄能力を失い、将来に対する展望が見えない時、大衆はレーニン、ムッソリーニ、ヒットラー、毛沢東、トランプ等の異常人格者に魅力を感じるようになる。「もしかしたら閉塞感(不安)を打ち破ってくれるのではないか」と。

候補者(ポピュリスト)はさまざまな欲求を持つ選挙民の利益を図り、権利を拡大し、願望を実現させるように見える政策を提示する。この場合、財政的な裏づけを欠くバラマキ政策は「民主党政権の3年」や「ギリシャの急進左派連合ラプラス政権」と同じくたちまち政権運営に行き詰まり破綻する。騙されたと感じた大衆は何十年も怨念を抱き続けるから、一度マイナスイメージが定着した政党は名を変える(民主党→民進党)。

共産主義者・ファシストはプロパガンダ(煽動)によって大衆の恐怖心を煽る手口を常用する。「ウソも100回いうと真実になる」というナチス党ゲッペルス宣伝局長の相続人は日本共産党、社民党、民進党、小沢一派及び極左暴力集団(トロッキスト)だ。曰く「戦争法案反対」「9条守れ」のプロパガンダ(煽動)を呪文のごとく唱えている。彼らは事実を曲解して自己流に解釈し、政敵を倒すための道具とする。彼らは「目的のためには手段は正当化される」(反日無罪・造反有理)と考えているから非合法活動や虚言に抵抗を感じない、何でもやる。という訳で、理性(知性)には理性(知性)で、プロパガンダ(煽動)にはプロパガンダ(煽動)で反撃しなければ敵の情報戦・謀略戦を粉砕することはできない。もともと、理性(知性)は感性の前では無力なのだ。

第2:自民党は参院でも単独過半数を獲得した

参院は定足数は242で過半数は121。今回の参院選で自民党参院は121人となったが、昨年12月、無所属の井上義行が自民党会派に加わったから、自民党参院(会派)は単独過半数122となっている。周知の通り、井上義行は安倍内閣官房長官(当時)の秘書となり、第一次安倍内閣では総理補佐官に抜擢された。現在、自民党清和会(細田派)に所属。なお、参院岩手選挙区から当選した(2013)平野達男(民主党政権復興相・現在無所属)が自民党に入党届を提出した。その他、「日本のこころ」の参院非改選組3人も自民党入党予備群とみなしてよいから、事実上、自民党参院会派は126人以上となる。

官邸及び自民党執行部が「参院でも単独過半数を獲得した」と喧伝しない理由は友党の公明党に配慮しているからだ。参院選1人区では自民党候補を公明党が支援しその見返りに自民党が公明党の比例を支援、3・4人区で公明党が擁立した選挙区では公明党公認候補を自民党が推薦し応援するバーター取引を行った。国政選挙における自公両党の相互依存関係は定着しつつある。自公連立政権が安定するのも、崩壊するのも「自公両党の選挙協力次第(共存共栄)」という訳だ。思想・信条・信仰も異なり、相性も悪い相手と、ちょっとしたハズミで同棲して暮らすうち「一人では生活できないが、二人だと豊かな生活を送れるわ」と感じズルズルと不倫関係を続けているようなものだ。

「人間はパンのみにて生きるに非ず」という言葉がある。その真意は「人間にとって最も大事なものはパン。食い物が保障されているから倫理、道徳、安全を考えることもできる。だが、食い物にこだわりすぎる人生は心の貧困をもたらすだけ」ということだろう。安全保障問題や憲法改正問題は選挙の票に結びつかないから、各党とも、社会保障や教育等身近な問題を政策の基本におく。何しろ「ヒトはより良い環境とパンを求めて動く原始的哺乳動物である」からやむを得ない。大衆は高尚な学問、天下国家の重大事である国防、安全保障、憲法改正等は代理人(国会議員)や有識者に任せておけばよいと達観している。これらの重要な案件には関心がないし熟考したこともない。「何十時間説教されても理解できないわ(馬耳東風)」という感じだ。マスメディアはわざわざ世論調査をやったことにして「議論が尽くされていないとの回答が70%超」と騒いでいるが、これは左翼メディアによる悪意をもった世論操作又は誘導質問と考えてよい。客観性は全くない。

中国共産党の指令を受け、又は意向を忖度した日本共産党は「日本軍国主義の復活を企てる安倍内閣は諸悪の根源であり打倒しなければならない」とか、「格差是正のためには法人税課税を強化し、富裕者税を創設すべき」とか、「自衛隊は憲法違反の軍隊であり、東アジアの平和を実現するためには自衛隊を解体すべき」とかの荒唐無稽な煽動を繰り返している。付言すると中国共産党中央は「日中関係が悪化した責任のすべては保守反動の安倍晋三が背負わなければならない」と強調する。しかし「過ぎたるは及ばざるが如し」であって、煽動でもやり過ぎると逆効果だ。誰も信用しなくなる。13億中国人民が中国共産党中央の繰り返すプロパガンダ(煽動)に不感症になり踊らなくなったように。

第3:「日本共産党」もジリ貧コースに突入

今回の参院選で、民進党、共産党、社民党、生活の党の4党は「改憲阻止の護憲共闘」を立ち上げ選挙協力を行った。ジリ貧コースの4党が選挙互助会を立ち上げ延命を図ったもので、「未来を展望した前向きの政策」は皆無だった。終末期政党の寄り合い所帯から未来を展望した明るい話が生まれるはずはない。

日本共産党の全盛期は50年ほど前、党員は50万人弱、党機関紙「赤旗」の読者は約350万人。現在は党員の高齢化も進み、それぞれ半数以下に激減した。50年ほど前、東京・大阪・京都・神奈川・福岡・北海道を初め主要な都府県や大都市では日本共産党と日本社会党が共闘する「社共統一候補」が首長選挙を勝ち抜き、いわゆる革新自治体が雨後の筍の如く誕生した。当時、日本共産党は「平和的手段(選挙)によって共産党が主導する社会主義政権(民主連合政府)を樹立する」と豪語していた。

今、我が国は「少子高齢化」の進展により、中山間地域においては耕作放棄地が激増、多くの集落が消滅しつつある。足腰の弱った高齢者や通院加療を要する病人にとって、家族もいない、病院もない、スーパーもない、コンビニもない、郵便局もない、交番もないの「ないないづくし」の田舎暮らしを続けることは「拷問に耐えること」と同じだ。自然環境の豊かさを楽しむどころか、生活の不便さを呪わざるを得ない切羽詰まった心境におかれている。都会で暮らしている子供や孫は数年に一度も帰ってこない。

英国がEUから離脱し、年間1兆6千億円の分担金収入が減ると、欧州連合(EU)加盟国は分担金を増額して穴埋めするか、又は欧州連合の経費(職員給料や事務費・運営費等)を削減せざるを得ない。組織の人員や経費を増やすことは容易であるがリストラは簡単ではない。必要があるとして新設した部署や人員のリストラを企画すると関連部局や職員の命がけの抵抗に遭遇すると考えなければならない。リストラを断行すれば多くの血が流れ返り血を浴びる。リストラを断行する者は「一命を賭す」覚悟が求められるから、平凡な知的エリートはリストラを先送りする。かくして、ゾンビ企業は生き残り、無駄な組織が温存され、症状はさらに悪化する。結果、悪性腫瘍を摘出すべき手術のタイミングが遅れ、悪性腫瘍が全身に転移し「死に至る病」となる。大阪府民や大阪市民が大阪維新の会を評価しているのも、同会が既得権益者との血みどろの戦いを展開し一定の成果を上げたと評価しているからだ。大衆(サイレントマジョリティ)は「見るべきところはちゃんと見ている」のだ。

日本共産党は党員と党機関紙読者の減少による収入の激減に伴い、本来であれば、職員や党活動に専念しているプロ活動家を大幅に減らして支出を抑えるべきであろうが、「共産党が資本家と同じことをやってよいのか?」との反発が出て紛糾するから、肥大化した組織のリストラが進んでいるとは思えない。日本共産党全体が「ゾンビ企業化」しているのではなかろうか。党機関で働いている職員やプロ活動家の生活費(給料)は定期的に支払われているのか?給料遅配で専従活動家の生活も困窮しているのではなかろうか。生活を維持するためアルバイトに精を出し無断欠勤する者、いつの間にか出勤しなくなる者が増えているのではなかろうか。

かって、京都・大阪は日本共産党の牙城であり、現在でも主要な拠点とされている。今回の参院選における京都・大阪の共産党候補は京都では第2位当選民主党候補の約半分、大阪では第4位当選おおさか維新の会候補の約半分しか得票していない。つまり、日本共産党に往年の力はなく、これを補うため仇敵であった極左暴力集団(トロッキスト)と手を組み、「民共合作」によって民進党の一翼を取り込むことで延命を図っているように見える。

日本共産党志位和夫委員長は原理原則を貫く従来の路線を投げ捨てて無原則的現実主義(ポピュリズム)に転換した。羅針盤(戦略)なき現実主義は古参党員の求心力を弱め遠心力を強める。自社さきがけ政権を立ち上げた日本社会党村山富市委員長(当時)は総理大臣に就任する必要上、結党以来の党是であった「日米安保条約廃棄」の大看板を投げ捨てた。結果は周知の通り、日本社会党は急速に求心力を失い分裂し消滅した。後継の社民党も風前の灯だ。志位和夫は「天皇制廃止」と「憲法第9条違反の自衛隊解体」という結党以来の党是を投げ捨て、「将来の国民の意思に委ねる」と路線を大転換した。教条主義的立憲主義を投げ捨て、臨機応変・融通無碍・何でもありの現実主義に転換した。

第4:民進党(民主党)の存在意義は「プラットホーム」

自民党が野党に転落したとき、自民党の選挙区支部には多くの「空白」があった。現在、自民党の選挙区支部には「空白」がほとんどない。自民党には政治家志望の新人が食い込む余地はほとんどないから、政治家を志望する野心家は思想や信条を棚上げして「空白」の多い民進党(民主党)の選挙区支部に駆け込んだ。

電力総連・自動車総連・電機労連等連合傘下の企業内組合(連合)は、業界と労働者の利益代弁者を国会に送り出すことは必要不可欠と考える。そこで、これまでは「民主党への政治献金」を行い、「民主党の選挙活動」を全面的に支援し、連合傘下の産業別組合は代理人を「民進党公認候補」として擁立させて国会に送り込んできた。今回の参院選では民主党公認の比例当選者10人中8人が連合(単産)の代理人だ。連合(単産)は民進党に代わるプラットホーム(例えば(新日本維新の会)が誕生するまでの期間、民進党を支え、民進党は労組に依存するという共依存関係が続く。

第5:おおさか維新の会は「第1野党(プラットホーム)」を狙う

おおさか維新の会は橋下徹商店から株式会社「おおさか維新の会」に脱皮した。今回の参院選は「背水の陣」で臨んだ。見栄も外聞もかなぐり捨てたようで、自民党堺市議会議員を引き抜いて擁立し大阪選挙区で当選させた。自民党の地盤を切り崩す戦略が功を奏し、大阪選挙区(4人区)で2人を当選させることができた。おおさか維新の会は大阪選挙区で、自民党と公明党の合計得票数に匹敵する約140万票を獲得した。おおさか維新の会が議席を獲得した大阪選挙区(定数4)と兵庫選挙区(定数3)では民進党と共産党は惨敗。かって社会党(民主党)や共産党に流れていた浮動票の多くが維新の会に移動した。維新の会が浮上すると民進党と共産党が沈むという関西様式が全国に普及し一般化するかもしれぬ。

おおさか維新の会は旧みんなの党代表渡辺喜美を比例で擁立し当選させたほか、東京選挙区に元長野県知事田中康夫を擁立したが次点に泣いた。名古屋市河村市長(減税日本)とは「おおさか維新の会の党名変更」を条件として合併するとの合意をとりつけているといわれている。おおさか維新の会は国政政党らしく「(新)日本維新の会」に党名変更して、既成政党に距離をおく国会議員や政治家志望の素浪人らのプラットホーム(受け皿)を狙っている。

「民共合作」に不満を抱く連合(単産)や民主党保守系議員が民進党から離脱するよう唆し、離脱させ、そして提携して、次回衆院選で「野党第一党」の座を狙う段取りだろう。「維新の会」の当面の戦略は(1)自民党地方議員を地盤ごと取り込み、(2)民進党を切り崩して保守系を取り込み、(3)はぐれ狼や天下の素浪人をかき集め、(4)政権交代可能な責任野党(プラットホーム)を構築するということだろう。

第6:自民党が甲信越・東北の1人区で惨敗した背景

自民党は28年ぶりに参院でも単独過半数を制することができた。その中で、自民党は甲信越3県と東北6県において1勝8敗と惨敗。その理由は(1)野党が候補を1人に絞った、(2)安倍内閣が公約違反のTPPに合意したことに対する農家の怒りがくすぶっている、(3)安倍内閣が断行した農協改革や農地法改革に対する農協の不満が鬱積している等が指摘されている。

戦後、農協は歴代自民党政権を支えることで農産物市場を独占する特権的地位を保障されてきた。「濡れ手に粟」のオイシイ商売で農協組織は肥大化。農協は自民党歴代政権とオンブニダッコの二人三脚の蜜月関係を築くことで、既得権益を守ってきた。農協は「政商」ならぬ「政農」として農産物関連の仲介業務だけでなく、豊かな資金を活用してスーパー経営等に手を出す等守備範囲を拡大し地場産業の雄となった。

筆者は参院選の結果を見て「明治維新直後の奥羽列藩同盟」を想起した。徳川御三家を初め親藩や三河以来の譜代大名家が「時の流れ」に身を任せ、新時代に適応すべく生まれ変わりつつある時、時代の潮流に抵抗し果てた長岡藩や会津藩の矜持又はタナトス(自殺願望)を想起した。

日本列島(本土)の植生や昆虫の分布は糸魚川ー松本ー諏訪ー静岡という中央構造線(大断層)の東と西で異なっているという。植生や昆虫だけが異なっているのではない、味噌汁の味、電気の周波数も違う。この事実は偶然とみなすべきではなく、我が日本列島(本土)の形成過程、日本国の形成過程、日本人の形成過程に起因するものではないかと推察する。「方言」が「標準語」に置き換わり始めて百余年。とりわけ東北・鹿児島・沖縄の方言は難解だ。

数万年前から我が日本列島の住人であったとされる縄文人(旧モンゴロイド)は高温多湿の照葉樹林帯の豊かな自然環境の下で、独自の先進的文明を発達させてきたといわれている。巨大な木造建築、栗や粟などの栽培、河川や沿岸での漁労そして縄文式土器による調理や食物保管など、山川草木と調和する循環型社会を築いてきた。

古代日本人(縄文人)の原型を色濃く残しているのは、日本列島の南端と北端、つまり沖縄・奄美諸島と北海道のアイヌと推察される。性向は温和、胸幅は厚く、体毛は濃い。縄文人は日本列島の先住民族(古代日本人)であった。そして数千年前、江南・渤海沿岸・半島南部を経て日本列島に漂着した稲作農耕民(倭族)と若干おくれて漂着したツングース系騎馬民族の一派が西日本と房総半島や関東内陸部に侵攻して先住民族を征服した(神武東征神話)。白人がアメリカ大陸の先住民を殺戮して征服した何千年も前に、日本列島でも同様の事態が生起していた。

大和朝廷や京都朝廷は、東方の先住民(蝦夷)の相次ぐ反乱に苦しんだ。平安時代には坂上田村麻呂を征夷大将軍に任じて征討させた。まもなく陸奥の国で安倍貞任一族(安倍総理の祖)らが率いた「前九年の役」や「後3年の役」が発生した。先住民から見ると「十分な説明もなく、負担を一方的に押しつけてくる中央政府(大和朝廷)は許せない」ということであろうが、中央政府(大和朝廷)から見ると「我が強く従順でない」と感じたのであろう。朝廷は源頼朝を征夷大将軍に任じて鎌倉に幕府を開設させ、同じく徳川家康を征夷大将軍に任じて江戸に幕府を開設させた。

明治維新政府軍は会津・長岡両藩を中核とする奥羽列藩同盟を征討すべく大軍を派遣した。徳川将軍家の居城江戸城は無血開城されたが、長岡藩と会津藩は徹底抗戦。長岡藩と会津藩は損得計算(理性)で動いた徳川将軍家と異なり、道義を重んじ、憤怒の情(感性)を優越させたというべきだろう。感性が豊かな縄文人と理性的な弥生人の混血と同化が進んでいる西日本・関東と、混血と同化が進んでいない甲信越・東北・沖縄はもとより相性が悪い。常に被害者的立場に置かれてきた東北(蝦夷)と沖縄には中央政府(朝廷)の指示・命令に従いたくない深層心理(集合的無意識)が積み重なっている。

西日本と関東平野に進出した新モンゴロイド(弥生人)の性向は、情勢に応じて臨機応変に自らの態度を変える現実主義を特徴とする。TPPや農協改革等環境の変化に合わせて自らの対応を変える柔軟性があると言い換えてもよい。西日本の農協では「もはやTPP反対とか、農協改革反対に拘泥している場合ではないし、新たな情勢を視野に入れた農業経営の在り方、農協の企業化と企業との連携の在り方を模索している」と考えてよい。一方、甲信越・東北・北海道の農協は「安倍・自民党の契約違反は許さない」と激怒し自民党支持を撤回した。「怒りの感情を行動で示さないと憤怒の川を渡ることはできない」ということであったのかもしれぬ。

季節の変化は西日本で始まり、東北・北海道で終わる。

まとめ

米英独仏伊蘭等先進国の政権は「国益第1」を掲げる国家主義・民族主義政党(ナショナリズム)によって政権基盤を掘り崩されている。今や「2大政党による円滑な政権交代」という平和な時代は終わった。戦後体制(レジューム)を主導してきた米共和党と民主党は内部対立が激化し分解寸前にある。英独仏伊蘭を初め西欧各国においては民族主義政党が第1党の座を狙えるまでに勢力を拡大した。戦後70年続いてきた潮の流れが反転した。

安倍総裁率いる自由民主党は世界の趨勢に反して、衆院選と参院選に連勝して政権基盤をさらに固めた。左翼系マスメディアが喧伝しているように「野党第1党の民主党(民進党)が内部抗争に明け暮れ、対案も出せず、何でも反対の万年野党路線に陥っているために、選択肢が自民党しかない」という消極的な選択なのか。自民・公明両党は「敵失に救われ、安定した政権基盤を整えることができた」ということか。いかにも、自民党の優越さを認めたくない左翼メディアや左翼学者らしい我田引水的解釈であって客観性は全くない。

戦後長らく単独政権を担ってきた自由民主党は「大企業・中小企業・農家(農協)および業界団体」の利益を代弁し、万年野党の日本社会党は「労働者(組合)」の代理人であった。そして、派閥の権力闘争に敗れた小沢一郎や羽田孜らが自民党を脱党したことが契機となり、細川8党連立政権を初め不安定な連立政権(失われた20年)が続いた。そして捲土重来、復活・再生した安倍晋三総裁は自民党の支持団体を固め直し、さらに労組や学生にウイングを広げている。

自民党は「ムラ社会型ちゃんぽん政党」であって、ナショナリズムを信奉する者もいればグローバリズムを推進したいと考える者もいる。国家統制を強めるべきと考える者もいれば、規制撤廃を唱える者もいる。米国を基準にとると、共和党と民主党を合体し、トランプとサンダースの味付けをしたような政党なのだ。常に分裂の危機を内包しながらも「利権」や「権力」が接着剤になっている。

安倍総理は「正規・不正規労働者の賃上げ」「最低賃金の引き上げ」「保育所の拡充や育児費用の支援」「奨学金制度の改善」等の社会民主主義的政策を取り込んでいる。民主党(民進党)や共産党が独占してきた領域に大きく踏み込んでいる。結果、与野党の政策が近似し「争点なき選挙」が始まった。野党の存在意義(レーゾンデートル)が失われた。

安倍・自民党はグローバル資本主義と、自由主義・民主主義と、国家社会主義の「ちゃんぽん政党」をめざしているのではなかろうか。「国益の最大化」を求めて、必要に応じて硬軟使い分け、情況に応じて色を変えるカメレオンを理想型とみなしているのではなかろうか。「○○主義は国益第1を実現する手段にすぎない」と。
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