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トランプ政権の「敵」は中国 関係悪化のロシア、イスラエル、サウジアラビアと修復へ

産経新聞  2016.12.20

 ドナルド・トランプ次期米大統領が想定する「敵」は中国である。

 国際石油メジャーのエクソン・モービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏を国務長官に指名すると発表したことからもよく分かる。

 エクソン・モービルは、もちろん中国でも事業を行っている。だが、今年1月、同社CEOに就任したティラーソン氏とロシアとの関係は、ズバ抜けている。1998年にカスピ海地域の石油開発を展開する同社子会社社長に就任したことが、ロシア関与の契機となった。

 プーチン大統領と同じ旧KGB出身で、国営エネルギー企業ロスネフチのイゴーリ・セチン社長とは親友である。

 ティラーソン氏を国務長官に推したのは、ブッシュ政権(息子)国防長官のロバート・ゲーツ氏と、国務長官や大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたコンドリーザ・ライス氏である。ともに対中強硬派であった。

 さらにウィルバー・ロス次期商務長官の下で、米通商代表部(USTR)代表に就く、米大手鉄鋼メーカーの最高経営責任者(CEO)、ダン・ディミッコ氏も反中派経済人として知られる。

 ロス次期商務長官の主要スタッフに就任する、R・ライティザー、J・ゲリッシュ両弁護士は、中国の鉄鋼ダンピング問題や国際貿易訴訟を専門とする。

 改めて指摘するまでもなく、トランプ氏は大統領選で、中国を「為替操作国」と断じて、米国の雇用を奪っていると繰り返し批判した。

 人事だけではない。オバマ政権下で関係が悪化したロシア、イスラエル、サウジアラビアとの関係修復に乗り出す意向だ。

 そのトリガー(引き金)となったのが、先に石油産出国機構(OPEC)の15年ぶりの原油減産合意である。

 OPEC非加盟のロシアとOPECの盟主であるサウジを結び付けたのがイスラエルである。

 そして、トランプ氏の長女、イバンカさんの夫、ジャレッド・クシュナー氏と父親チャールズ・クシュナー氏は、イスラエルのネタニヤフ首相と家族ぐるみの付き合いなのだ。

 原油減産合意で価格上昇の恩恵を受けるのは、原油輸出に歳入依存するサウジと価格下落で経済低迷に悩むロシアだ。もちろん、大手石油メジャーも大歓迎である。

 ユダヤ教正統派のクシュナー氏は、サウジ王室最大実力者のムハンマド副皇太子とも親しい。

 トランプ氏が最も信を置く娘婿クシュナー氏が、ホワイトハウス(西棟)入りするのは間違いない。対中政策に「ロシア・カード」を手にしたのだ。 (ジャーナリスト・歳川隆雄)
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