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中国の起業家マインドは回復したが資金は脱兎のごとく逃げている。

おゆみ野四季の道  新 (29.1.2)

 ここにきて中国経済に復活の兆しが見えるという記事をロイターやブルームバーグといった西側の報道機関が発するようになっている。
根拠は一種の企業家マインド調査で、3300社の国有企業と160名のバンカーに聞き取り調査を実施して集計したものだ。
主として売上高、利益、雇用状況、設備投資に関して聞き取り調査を実施しており定期的に行っているが、その回答が10月から12月間でいずれも上向くようになっており、中国経済の回復の兆候が見られるといったものだ。

 この結論には二つの相反する見方が存在する。一方はロイターやブルームバーグのように直接の聞き取り調査であり、起業家マインドを完全に反映しているので、中国経済は長い停滞を脱したという見方だ。
もう一方は、この調査もついに中国政府の息がかかり政府統計と同様に意味を持たなくなったという見方だ。

 現在中国統計局の発表が全世界で嘲笑の対象になっており、「なにがあってもGDPは6.7%」と揶揄されてきたが、中国では統計数字が自身の出世と切り離せないためすべて粉飾されている。
そのため唯一の景気動向を知る手段として、この起業家マインド調査が重要視されていたのだが、ついにそれまでも中国政府の手が回ったという判断である。
私は後者の立場をとるが理由は以下の通りだ。

 中国では統計数字に客観的な数字という概念がない。報告主体とそれで評価される主体が同じ共産党幹部のためすべてが厚化粧されており、すべてが政治的数字で簡単に言えばウソだ。
ところが一方で「起業家マインド調査」というものがあってそれが真実だということになると共産党幹部の立場がなくなってしまう。しかもこの起業家マインドの報告者は国営企業と政府の息のかかったバンカーだ。 
「あんたらが勝手に起業家マインドなるものを報告するから、政府の統計と齟齬が発生して面目が立たないじゃないか。これからは党中央の指示に従って報告するように」

 一方で、実体経済を裏面で支えている金融環境を見ていると中国の置かれている状況はまさにタイタニックといった様相を呈している。
ここ一年間だけとってみても外貨準備は約1兆ドル(120兆円)も減少しているが、16年度の経常収支が270兆円の黒字なのにこの有様だ。
本来は積みあがらなければならない黒字なのに、実際は都合400兆円規模で流出している。
なぜこのような数字になるかというと、中国から資金が一斉に逃げ出しており中国国債の売却やM&Aを偽装した資金流失や、ブラックマーケットによる不法送金など、ありとあらゆる方法が使われている。

 中国経済は龍隆たる発展をしているが一方で資金は脱兎の如く逃げ出しており、これほどひどい矛盾はない。
「逃げる資金が悪いのか~~、それともおいら(中国政府)が悪いのか~~」などという恨み節が聞こえるが、やはり中国経済を見るときは経済の裏側である資金の動きを追っていくのが最も正確な分析方法だろう。
玄関は掃き清められているが裏口は掃除もなく腐臭が漂っているというのが実態だ。

 ロイターやブルームバーグといった統計数字一辺倒の分析は中国経済では全く当たらない。統計はすべて出世の道具という中国の在り方を見据えた分析でないと意味をなさない。
はっきりわかる「元」相場などはアメリカの利上げもあって低下の一途をたどっており、ここ3か月で4%程度も低下した。1ドル7元の防衛ラインが突破されるのも時間の問題だ。
「今のうちにため込んだ元を使わないとそのうちに紙くずになるかもしれない」金持ち階級の焦燥感は相当なものであり、今年も中国から雪崩のように資金が流出するだろう。
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