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「米国抜きTPP」二正面作戦 FTA交渉の内容近づけへ、相手が準備不足の今が好機

zakzak 2017.04.27 【日本の解き方】
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 政府は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、米国以外の10カ国と現行の枠組みを維持する方向で調整に入ったと報じられた。米国抜きTPPはどの程度経済的な効果が見込まれるのか。そして、米国が求めている自由貿易協定(FTA)交渉にどのような影響があるのだろうか。

 TPPで米国の存在は圧倒的なものだった。TPPに参加していた12カ国中、国内総生産(GDP)で米国は65%(2015年)、貿易輸出入総額で43%(16年)を占めている。このため、米国抜きTPPでは、経済効果は半減するだろう。

 そのため、日本を含む11カ国は、米国にTPPに戻ってきてもらいたいところだ。しかし、トランプ大統領が大統領選で公約し、既に大統領令も出しているので、復帰は絶望的である。その米国が求めているのが、日米FTA交渉だ。

 実は、日米FTAの内容がTPPと同じであれば、日本にとってはTPPと同じ経済効果である。TPPから乖離(かいり)するにつれて、日本の損得が出てくる。このため、筆者としてはTPPをベースとして日米FTA交渉を行うのは検討に値すると以前に本コラムで書いた。

 日本国内の一般的な意見は、農産物についてはTPPでもギリギリだったのに、日米FTAでは、より日本に厳しい条件になるので受け入れられない-というものだ。

 しかし、貿易自由化は、国内産業保護のコストを払ってもおつりが来る。仮に農産物で日本に厳しくても貿易自由化のメリットを受ける余地は残っているので、それでも日本にとって損にはならない。こうした経済学の歴史からみると、日米FTAは選択肢にないという論調は理解できない。

 実際、日米FTAをTPPベースで交渉すれば、9割以上はTPPと同じ内容になるだろう。農産物や医薬品で多少日本が譲歩しても、工業品などでは日本が有利になる分野もあるので、米国との交渉は日本が不利になるとはかぎらない。

 今の時期はチャンスでもある。というのは、トランプ政権は、トップの大臣級の人事が遅れて、その下の実務官僚に至ってはまだ手つかずだ。通常ならば4000人程度の政治任用官僚が入れ替わるが、その動きは本格化していない。米国の官僚人事が固まっていない間隙を突き、交渉するという手はあると思う。

 先日、ペンス副大統領が訪日して、日米経済対話がスタートしたが、米国側の体制がまったく整っていなかった。そのため、決まったことは「年末までに再び対話を実施することを期待している」だけだ。それも、「期待している」というのは、米国側の事情だ。日本としては「100日計画」のように短期決戦を仕掛けるべきだったのではないだろうか。

 米国以外の10カ国と作る「TPP11」を進めるとともに、日米FTAをTPPに近づけるという二正面作戦が必要で、米国の準備が整わないうちに先手をかけるべきだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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