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中国の外交戦略

外から見る日本、見られる日本人 2017年08月15日10:00

中国にとって本当のライバルは誰でしょうか?

アメリカでしょう。国家の規模、人口、経済を通じて最終的に地球の中で一番チカラのある中国に育て上げたいはずですがアメリカにその進路を邪魔されがちです。それは20世紀に入って世界中に影響力をばら撒いたアメリカの足元にはまだ及ばないともいえます。

AIIB(アジアインフラ投資銀行)や一帯一路等は影響力を及ぼすための代表的施策であり、21世紀の覇者を中国とするための種まきの一つであります。習近平国家主席が毛沢東氏をしのぐ勢いを持つのはその野望が大きく、かつ、それを着実に実行しているからであり、国内でも対抗馬はそうそう現れないのかもしれません。

これは中国の中華思想、つまり、中国の天動説のそのものであり、地球は中国を中心に動くようあらゆる仕掛けを地球上の各地にセットしています。確かに経済支援ではうまくいっているとは思えません。アフリカ支援もギリシャの港湾の買収も世界各地での鉄道事業も南米ベネズエラへの巨額資金援助もどういう勝算があるのか、分かりにくいところです。但し、そのうちの一つでも二つでも芽が出ればいいし、習近平氏は自分の国家主席としての就任期間という短いタームよりも更に長期的な視点に立って外交政策を進めているように思えます。

そんな中で対北朝鮮政策は習近平氏の試金石であり、日々刻々と情勢が変化する北朝鮮問題に当然ながら、何らかのプランは持っているはずです。

歴史的になぜ、中国は北朝鮮をかばい続けたか、と言えば中国の周りに外敵であるアメリカ色の資本主義国家が来ないようにするためでしょう。中国の国境をぐるっと見渡すと実はさほど強い国はありません。東は海、南は東南アジア諸国で深い絆がある国が主体です。インドとは揉めていますが、国境の接点は全体に比して小さいものです。中央アジア諸国は基本は小国(カザフスタンは国土では世界9番目ですが)で、北はモンゴル国境が主軸でロシアとの接点はシベリアなど人口希薄地であり、外交的にロシアとも一定の友好関係を維持しています。

となれば朝鮮半島は北朝鮮を傀儡的で緩衝地帯にしておくのは中国にとって極めて有効な手段でありました。ところが計算違いは北朝鮮が勝手に暴発してしまい、アメリカの単純で分かりやすい大統領を揺り起こしてしまったのであります。

私が思うのはここからです。中国は北朝鮮という緩衝地帯が機能しなくなることを予見したとすれば次の対策は何か、であります。韓国をアメリカ色から中国色に変えることではないか、としたらどうでしょうか?

この1年ぐらいの中国の韓国いじめはかなり過激であり、かつ、尖閣問題でこじれた日中関係とは比べ物にならないぐらい長期間にわたり、韓国経済にダメージを与え続けています。つまり、オセロゲームで赤い石の中国は北朝鮮の赤がアメリカの青に変わった場合、韓国を赤に変えて北朝鮮の青も取るという作戦は可能であります。

幸いにして韓国は小中華思想があり、どれだけ苛めても対日本のように恨みつらみではなく、「中国さま、お許しを」の姿勢であります。事実、あれだけ中国で損をしているロッテも現代自動車も中国に表立って文句は言わないでしょう。韓国国民はTHAADを導入した朴槿恵氏を罪人として葬り去りましたが、そこまで込み入ったマインドコントロールをしたのは北朝鮮を介した中国ではないかという気がしてなりません。

アメリカにも弱みがあります。「20世紀の覇者アメリカ」は21世紀も引き続きその力を維持することが難しくなっています。それとアメリカが仕掛ける戦争が本当に強かったかは疑問が残るところです。ベトナム、アフガン、イラク戦争は一定の成果があったといえども、アメリカが負った傷も大きかったでしょう。もっとさかのぼれば朝鮮戦争も結構危ないところでした。

その中でオバマ元大統領の時代から世界の警官を辞しました。経済的にはヨーロッパがユーロを形成しドルのアメリカに形の上ではライバル関係となりました。ベイビーブーマーがリタイアする中で「良きアメリカ世代」からより民主的で新しい価値観をもつ若いアメリカに変わってきています。

つまり、私にはトランジションの時代(移行期)に入っているように感じるのです。ではかつて英国からアメリカにバトンが渡されたとき、何が起きたか、と言えば戦争であります。それが起きたちょうど100年前の今はまだ第一次世界大戦の最中でした。

今、北朝鮮問題を個人的に注視しているのはそのような大所高所の観点からすると事の成り行き次第では地球儀の色を変えることすら起きうると考えているからです。世界が大きく変わったのは両大戦間の1920年代から30年代でした。

日本からすると中国に好意的視線を持たない人は多いと思います。一方で日本が今、この二大大国に影響を与えるような力は残念ながらありません。そんな中、舌戦を繰り返すトランプ大統領を週刊誌ネタ的にみるのではなく、日本がこれからどうしたいのか、この難局をどう乗り越えたら得策なのか、独立国家としてもう一度じっくり考えて対策を練るべきでしょう。韓国が赤い石になったら日本にも飛び火するかもしれません。大変なことになるというリスクは考えておくべきだと思います。
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