プーチン失脚の可能性??――ウクライナ戦争の行方③
2023年01月25日
赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』 2023-01-25 00:00:00 | 政治見解
昨日からの続き
では、ウクライナ戦争には、「第三次世界大戦」「核戦争」以外の可能性はないのでしょうか?
あります。
一番良いのは、プーチンが辞めることです。
これも、全然可能性がないわけではありません。日本ではあまり報道されていませんが、実はロシアの支配者層がプーチン離れを起こしています。今監獄にいるアレクセイ・ナワリヌイを中心とする左、リベラルは、欧米にあこがれていて最初から反戦です。この人たちはつぶされて、逃げられる人は逃げ、欧州で反プーチン活動をつづけています。
今問題になっているのは、「右」の人たちです。彼らはこれまで、プーチンの支持層でした。ウクライナ侵攻大歓迎だったのですが、「プーチンが戦争に弱い」ことに気づいてしまった。それで不満になっているのです。
例えば、「プーチンのメンター」と呼ばれるアレクサンドル・ドゥーギンという男がいます。娘のダリア・ドゥギナがテロで爆殺され、世界的に有名になりました。そのドゥーギンが今、プーチンに激怒しているというのです。
なぜでしょうか?
ロシアは9月30日、ウクライナのヘルソン州を併合しました。
ところが併合から40日後、ウクライナ軍がヘルソン州の州都ヘルソン市を奪回した。これに激怒したドゥーギンは、何を言ったのか?
時事11月14日です。
「ドゥーギン氏は10日、通信アプリでヘルソン市撤退について『ロシアの州都の一つ』を明け渡したと指摘し、完全な権力を与えられた独裁者は、国民や国家を守るものだと強調。失敗時には、英人類学者フレイザーの古典『金枝篇』中の『雨の王』の運命をたどるとした。干ばつ時に雨を降らせられない支配者が殺されるとの内容を指しているとみられる。」
ということで、ドゥーギンは「領土を守れないプーチンは殺されるぞ」と言っています。ダイレクトに言っているわけではないですが、知恵のある人なら「『雨の王』か。そうか、殺されるんだな」と分かるのです。ですから今、左からだけでなく、右からもプーチンを見限る声が出てきている。
それで2023年、プーチンが失脚する可能性があります。これはむしろ実現してほしいです。
これは悲しいことですが、プーチンが失脚したらよくなるかというと、そうとも限りません。ただ、少なくとも核による恫喝とか、戦術核の可能性はかなり減ると思います。
プーチンが失脚したらどうなるのか?
最も可能性が高いのは、安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフの息子、ドミトリー・パトルシェフが大統領になることです。
ロシアでは、トップに大統領がいて、名目上のナンバー2は首相のミシュスチンです。しかし、実をいうと実質的なナンバー2は、ニコライ・パトルシェフなのです。
どういう人かというと、1951年生まれです。プーチンと同じく、レニングラードで生まれました。レニングラード造船大学を卒業した後、KGBに勤務するようになった。大学卒業後KGBに入ったのは、プーチンと同じです。1990年8月、プーチンの後を継いでFSBの長官になりました。FSBは元KGBです。
2008年から現在にいたるまで安全保障会議書記を務めています。ニコライ・パトルシェフは、プーチンと同じレニングラード(今のサンクト・ペテルブルグ)で生まれ、プーチンと同じくKGB、FSBで出世してきた。
そして、プーチンと同じ世界観を持っているのです。ですからプーチンに一番近く、信頼されている男です。しかし、パトルシェフが次期大統領になるのは難しい理由があります。
彼は、1951年生まれで、71歳なのです。71歳というと、日本ではまだまだいけそうな感じですが。しかし、ロシアの平均寿命、男性は67歳なのです。平均寿命プラス4歳。日本人男性の平均寿命は81歳なので、プラス4歳というと85歳になります。ニコライ・パトルシェフは、日本人の感覚でいうと、85歳という感じになり
ます。そのため、年齢の観点から、この方が大統領に就任する可能性は高くない。
しかし、次期大統領はニコライ・パトルシェフの息子、ドミトリー・パトルシェフになる可能性が高いといわれています。ドミトリーは44歳で、ちょうどいいのです。彼は現在、農業大臣です。その前は、ロシアの大手銀行VTBの副頭取でした。VTBはロシアの2位の銀行で、国営です。その他に、ロスセリホズバンク頭取、ガスプロム取締役などを務めた。もちろん、父親のコネでしょうが、いい経歴なのです。
ですから、若いドミトリー・パトルシェフを大統領にして、バックでプーチンとニコライ・パトルシェフが院政を敷くというシナリオがあるのです。
2023年は、第三次世界大戦が起こるのか、プーチンが辞めるのか。辞めてドミトリー・パトルシェフが大統領になるのか、そういう感じです。私は、プーチンが失脚し、ドミトリー・パトルシェフが大統領になるほうが、
まだましだと思います。当たり前ですね。
戦術核使用から第三次世界大戦勃発よりいいに決まっています。ロシアの大統領というと、選挙もあります。
しかし、実のところ、選挙は関係ないのです。ロシアの選挙は、プーチンが「ドミトリー・パトルシェフを次の大統領にしよう」と決断すれば、必ず勝ちます。
ロシアでは、「投票する人ではなく、数える人が選挙結果を決める」と言われています。国民が誰に投票しようが、関係ないのです。
昨日からの続き
では、ウクライナ戦争には、「第三次世界大戦」「核戦争」以外の可能性はないのでしょうか?
あります。
一番良いのは、プーチンが辞めることです。
これも、全然可能性がないわけではありません。日本ではあまり報道されていませんが、実はロシアの支配者層がプーチン離れを起こしています。今監獄にいるアレクセイ・ナワリヌイを中心とする左、リベラルは、欧米にあこがれていて最初から反戦です。この人たちはつぶされて、逃げられる人は逃げ、欧州で反プーチン活動をつづけています。
今問題になっているのは、「右」の人たちです。彼らはこれまで、プーチンの支持層でした。ウクライナ侵攻大歓迎だったのですが、「プーチンが戦争に弱い」ことに気づいてしまった。それで不満になっているのです。
例えば、「プーチンのメンター」と呼ばれるアレクサンドル・ドゥーギンという男がいます。娘のダリア・ドゥギナがテロで爆殺され、世界的に有名になりました。そのドゥーギンが今、プーチンに激怒しているというのです。
なぜでしょうか?
ロシアは9月30日、ウクライナのヘルソン州を併合しました。
ところが併合から40日後、ウクライナ軍がヘルソン州の州都ヘルソン市を奪回した。これに激怒したドゥーギンは、何を言ったのか?
時事11月14日です。
「ドゥーギン氏は10日、通信アプリでヘルソン市撤退について『ロシアの州都の一つ』を明け渡したと指摘し、完全な権力を与えられた独裁者は、国民や国家を守るものだと強調。失敗時には、英人類学者フレイザーの古典『金枝篇』中の『雨の王』の運命をたどるとした。干ばつ時に雨を降らせられない支配者が殺されるとの内容を指しているとみられる。」
ということで、ドゥーギンは「領土を守れないプーチンは殺されるぞ」と言っています。ダイレクトに言っているわけではないですが、知恵のある人なら「『雨の王』か。そうか、殺されるんだな」と分かるのです。ですから今、左からだけでなく、右からもプーチンを見限る声が出てきている。
それで2023年、プーチンが失脚する可能性があります。これはむしろ実現してほしいです。
これは悲しいことですが、プーチンが失脚したらよくなるかというと、そうとも限りません。ただ、少なくとも核による恫喝とか、戦術核の可能性はかなり減ると思います。
プーチンが失脚したらどうなるのか?
最も可能性が高いのは、安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフの息子、ドミトリー・パトルシェフが大統領になることです。
ロシアでは、トップに大統領がいて、名目上のナンバー2は首相のミシュスチンです。しかし、実をいうと実質的なナンバー2は、ニコライ・パトルシェフなのです。
どういう人かというと、1951年生まれです。プーチンと同じく、レニングラードで生まれました。レニングラード造船大学を卒業した後、KGBに勤務するようになった。大学卒業後KGBに入ったのは、プーチンと同じです。1990年8月、プーチンの後を継いでFSBの長官になりました。FSBは元KGBです。
2008年から現在にいたるまで安全保障会議書記を務めています。ニコライ・パトルシェフは、プーチンと同じレニングラード(今のサンクト・ペテルブルグ)で生まれ、プーチンと同じくKGB、FSBで出世してきた。
そして、プーチンと同じ世界観を持っているのです。ですからプーチンに一番近く、信頼されている男です。しかし、パトルシェフが次期大統領になるのは難しい理由があります。
彼は、1951年生まれで、71歳なのです。71歳というと、日本ではまだまだいけそうな感じですが。しかし、ロシアの平均寿命、男性は67歳なのです。平均寿命プラス4歳。日本人男性の平均寿命は81歳なので、プラス4歳というと85歳になります。ニコライ・パトルシェフは、日本人の感覚でいうと、85歳という感じになり
ます。そのため、年齢の観点から、この方が大統領に就任する可能性は高くない。
しかし、次期大統領はニコライ・パトルシェフの息子、ドミトリー・パトルシェフになる可能性が高いといわれています。ドミトリーは44歳で、ちょうどいいのです。彼は現在、農業大臣です。その前は、ロシアの大手銀行VTBの副頭取でした。VTBはロシアの2位の銀行で、国営です。その他に、ロスセリホズバンク頭取、ガスプロム取締役などを務めた。もちろん、父親のコネでしょうが、いい経歴なのです。
ですから、若いドミトリー・パトルシェフを大統領にして、バックでプーチンとニコライ・パトルシェフが院政を敷くというシナリオがあるのです。
2023年は、第三次世界大戦が起こるのか、プーチンが辞めるのか。辞めてドミトリー・パトルシェフが大統領になるのか、そういう感じです。私は、プーチンが失脚し、ドミトリー・パトルシェフが大統領になるほうが、
まだましだと思います。当たり前ですね。
戦術核使用から第三次世界大戦勃発よりいいに決まっています。ロシアの大統領というと、選挙もあります。
しかし、実のところ、選挙は関係ないのです。ロシアの選挙は、プーチンが「ドミトリー・パトルシェフを次の大統領にしよう」と決断すれば、必ず勝ちます。
ロシアでは、「投票する人ではなく、数える人が選挙結果を決める」と言われています。国民が誰に投票しようが、関係ないのです。
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